第144話 ハンスとの戦い
さて、どう攻略したものかな。向こうは数多のスキルを使ってこちらの速度、戦術に対応してくる。ならばそのスキルを全て吐き切らせて無防備な状態を殴るしかないか。それなら接近戦に持ち込むべきか?いや、向こうが火力のあるスキルを持っていた場合にそれを喰らって死にかねない。ただ、遠距離攻撃のスキルもある。そっちに関しては大した威力がないし、それで即死するなんてことはないはずだ。
ハンスは相変わらずカウンターの構えをとっている。つまり、スピード値250についていけるほどのプレイヤースキルもしくはスキルを所持していないと言うことだ。それなら近接でもこっちに軍配が上がる可能性が高い。ただ、このゲームのスキルは全てが情報として出回っているわけではない。自動でカウンターや攻撃を命中させるスキルや、必中の高火力スキルがないとも言い切れない。
なるほど。これこそがスキルコントローラーと言われる所以か。スキルを駆使し、相手の行動をコントロールするだけでなく、相手の思考までコントロールするかのような圧倒的情報量。これは厄介ってレベルじゃないな。
「いろいろ考えたけど、めんどくさいしいーや。」
ハンスの表情が曇る。何が不都合でもあるのか?今の言葉は本音なんだがな。
「それじゃ行くよー。」
俺は体勢を低く取り、一気に加速、あとはこのまま足を払って、スキルを使用するまもなく瞬殺すればいいだろ。
「その手にはかかりませんよ。」
足払いが効かない!?どうなってるんだ!
「私には他人に体勢を崩されることがないスキルがあります。これがある以上足払いは意味がありません。」
「そりゃすごいね。それじゃちょっと本気を出そうかな。」
また同じ姿勢で急接近。ただ、今回は足払いをせずにハンスの足元で急停止、ハンスがカウンターでの攻撃をしてくるのでハンスの周りを回って逆側に移動する。カウンターの向きが変わったハンスが体勢を崩した。
読み通り、ハンスのカウンターは自動追尾もしくは必中の効果がついている、つまり、カウンターの対象が急に移動するとそっちに引っ張られる。
それを利用すれば他人に干渉されることなく人はバランスを崩す。
そしてこちらに向かって倒れてくるハンスに対して地面を強く蹴り、強力な突きを放つ。
「ぐはぁっ」
ハンスが倒れる。
「終了!結果レジェンドプレイヤーのお二人の勝利です!」
桔梗の方を見ると向こうはもう終わってたみたいだ。
無事勝利した俺たちは、控え室に戻った。
「それでは追加報酬についてのお話なのですが、今回でより話題になるでしょう。特にハンス選手とパンドラ選手の一戦は素晴らしいものでした。そこでお二人への報酬は元の報酬の1.5倍75000円でお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「そんなにいいんですか?」
「もちろんです。ファザオンが盛り上がるのなら安いものですよ。それにお二人の今後も応援させていただきたいですし。」
「それじゃそれで。」
「ありがとうございます。」
「それでは事前にお教えいただいていた講座の方に今日中には75000円振り込みますので、ご確認をお願いします。」
「はい。ありがとうございます。」
「それじゃ、俺はこれで。」
「私も失礼します。」
そう言って2人でファザオンからアウトし、ユーオンで再び落ち合った。




