第141話 ファザオンと公式チート
「お疲れ様です。本日はよろしくお願いします。」
「レジェンドプレイヤーの責務だと思ってますし、私も楽しみですので。」
「そう言っていただけるとありがたいです。それでは控え室の方にご案内しますね。」
ファザオンにログインすると、運営の男性が迎えてくれ、そのままウィンドウを操作して控え室えと転移させられた。
「そういえば昨日ユーオンのギルド戦でしたよね?」
「そうですね。うちは人数が少ないのでずっとインしっぱなしで大変でしたよ。」
「それはお疲れ様です。」
「キキョウはまだきてないんですか?」
「はい。連絡はしているのですが・・・」
おかしいなイベントまであと40分くらいしかないし、早めに入るように言われてるはずなのにな。
「多分寝てるんでお姉さんにメール送ります。」
「いいんですか?」
「はい。あいつがあんなんなのはわかってたのに起こして来なかった私の責任でもあるので。」
多分疲れてそのまま寝てるんだろうな。まぁ、気持ちはわかるけどさ。確か瑠奈さんは朝からユーオンに入るって言ってたし、チャットのほうがいいかな?多分あいつが起きてないことにも気がついてないだろうし。今日はミルナとヴァルが付き合うって言ってたし。それにハンス以外みんな来てるだろうから紹介も済ませとくって言ってくれたしね。ネイはこっちにきてるらしいけど。
「はい。送りました。向こうは今ユーオン内だと思うので、数分したら多分起こしてきてくれると思います。」
「お姉さんもユーオンやってるんですね。」
「昨日始めたばっかりで、友達に手解きを受けてるみたいです。」
「ではパンドラの箱にはいらっしゃらないのですね。」
「はい。うちは少人数で圧倒するのをモットーにしてるので。」
「面白いですけど、確かにプレイヤースキルの高いメンバーが多いという噂ですし、理にかなってますね。」
「そういえば、キキョウのリスポーンをここに設定することできますか?」
「はい。時間も少し押しているので、すでにしてあります。」
「それなら良かった。」
数分して瑠奈さんに叩き起こされたと見られるキキョウが入ってきた。
「すみません。寝坊しました。」
「まだ、ギリギリ間に合いますし大丈夫ですよ。」
「甘やかしたらダメですよ。代わりに後でユーオンで素材集めね。」
「なんでだよー!ってかわざわざ姉貴に言わなくてもいいじゃねえか!めちゃくちゃ怒鳴られたんだけど。」
「そりゃお金もらってきてる以上仕事なんだから怒られて当然でしょ。」
「とりあえず時間もあまりないので、今回のイベントに関して詳しい説明をしていきますね。」
それから20分強の時間いろいろな説明があった。大まかには俺とキキョウは他の前プレイヤーと戦う。人数以外のハンデは一切なしだ。つまり素の状態の俺とキキョウは今回の参加者計1500人を相手取って勝利しなければならない。
「気休め程度ですが、システムサポートをつけさせていただきます。お二方のスピード値の上限を320まで解放させていただきます。ゲームシステムというか演算処理上これ以上のスピードは出せないほどのスピードです。」
「流石に俺めちゃくちゃ調子いい時で250にギリ対応できないくらいだからあんま意味ないんだけど。」
「もちろん近く速度にも補正を入れさせていただきます。」
「私はそれなしで。自分がどこまでやれるかやってみたいので。」
「わかりました。それではキキョウさんの近く速度に補正を入れさせていただきます。通常時でも250に反応できるくらいの近く速度になっていますので。」
「ありがとう。参加者にこれは伝えられているのか?」
「いえ。この後、開会式があるのですが、そこで改めてルール説明と今お話しした補正について説明する予定になっています。」
「チートだと騒がれることはないわけか。」
「はい。そこは心配ないかと。」
「後少し時間あると思うんですけど、少しこのスピード試してみてもいいですか?」
「もちろんです。それではそれぞれ闘技場にお送りしますね。10分後には会場に入っていただくので、チャットをお送りして1分後に転移させますのでそのおつもりでお願いします。」
「わかりました。」
「了解だ。」
さてと、スピード値320ね。どこまでの速度なのやら。数値的には時速320km、つまり1秒あたり88m移動する。今回のイベントステージとこの闘技場同じ広さらしいけど。めちゃ広いな。1辺が500mの正方形だ、面積的には25万平方メートルか。1500人が戦うとなると狭いくらいか?まぁ、厳密には1500対2だしこのくらいが妥当か。
それじゃちょっくら320で移動してみるか。対角に移動するとなると、だいたい700mくらいと仮定して移動し切るまでが8秒と言ったところか。一瞬だし、気をつけないと激突して死にかねんな。
とりあえず走ってみるか
壁に足をつけ、最高速まで加速し体格へと向かう。周囲の様子はほぼ見えない。だが、だいたいどのタイミングで体をひねれば壁に足をついて方向を変えれるかは感覚でわかる。
ここだ!そして次は距離の読めない斜め方向。
これも成功!今度は近い場所!これもOK。
これならいけそうだ!




