第140話 ネイとキキョウとギルド戦報酬
「ねぇ、見えてきたとはいうけど、私にはディクティオンの百穴しか見えないんだけど、気のせい?」
「気のせいじゃないね。」
「あのダンジョンって確か少し前から閉鎖されたというか入れなくなってなかった?」
「そりゃギルドホームにはギルドのメンバーの案内がないと入れないようになってるでしょ?それと同じ。」
「ちょっと待って。ってことはパンドラの箱のギルドホームって・・・」
「ディクティオンの百穴の最奥部だね。」
「あの地龍ガイアがいる場所?なんでそんな危険なところにギルドホームがあるのよ!?」
「私もわからないよ。なんかガイアを倒したらホームの内覧の表示が出て、良さげだったしそのまま買ったんだよ。」
「確かにここなら他のギルドに場所がバレることもないし、いいかもね。」
「でしょ?」
「私たち今からこの中に入るの?私まだレベル1なんだけど。」
「大丈夫。ルナのことは私たちで守るから。」
「そうよ。私だって強いんだから。」
「それなら安心だね。」
3人でそのままディクティオンの百穴に入り、ギルドホームまで向かう。ギルドホームが近づくと、向こうからキキョウの絶叫が聞こえてきた。多分ネイに気がついたんだろうな。
「何この叫び声?」
「キキョウでしょ。多分ネイに気がついたんじゃない?うちに勧誘したって言った時もなんか嫌がってたし。」
「あいつ人煽るの好きなくせにやり返されるとすぐトラウマになるからねー。」
「そうなの?」
「うん。昔からあんな感じだよね。」
「そうだねー。」
「昔からあんなんなんだ。」
そしてホームにたどり着いた。キキョウは固まっている。
「おかえりー。キキョウのお姉さんとそっちの人は?」
「ネイか。久々だな。」
「ヴァルじゃん。おひさー。」
「ヴァルと知り合いだったんだ。」
「うん。初期の頃パーティー組んでたんだー。」
「へー。でそこで固まってる愚弟、何か言ったらどうよ。」
「なんでネイが・・・?」
「イロアでパンドラを見かけてねー。声かけてそのまま着いてきたんだ。あんたにこれまでのお礼参りもしたいしね。」
「ってことで、2人の登録するからちょっと待ってね。」
ギルドの管理ウィンドウを開き、ルナのギルド登録と、ネイの所属ギルド変更を行う。ネイにはギルド変更確認の通知が行き、それを押してもらう。これで正式に2人はパンドラの箱のメンバーとなった。
「よし、これで完了だね。帰郷へのお礼参りしてもらう分にはいいけど、先にギルド戦の確認をしよっか。」
「どうせここが1位でしょ。私は個人報酬そこそこ取れたし、ギルド報酬はなくてもいいかな。」
「ギルド報酬ってなんだろうね。事前告知なかったし。」
「それじゃ開くぞ。」
キキョウがスクリーンに結果画面を表示させる。結果は予想通りだ。各ギルドにそのギルドの順位が告知されるのみで、順位の公開は後から行われるらしい。
『ギルド対抗戦 ギルド『パンドラの箱』
所属プレイヤー8人 参加プレイヤー数8人 生存プレイヤー数8人
最終生存率100%
最終順位1位
報酬:ギルド武器ステータス上限の引き上げ』
「報酬はギルド武器のステータス引き上げか。うちはまだ作成できてないしちょうどいいな。」
「ちょっと待って。ギルド武器がないって本当?」
「本当だね。それこそ素材もあるし、そろそろ装備形式とか、能力とか相談して決めようかなと思ってたんだけど。」
「相談してって、そこまで詳細に能力なんて決めれないでしょ?」
「うちの生産職は優秀だからね。それができるんだよね。」
「すごい人なのね。」
「いやいや、おかしいでしょ!?それじゃあまりにも無法じゃん!」
「ネイ、私さ、あなたたちが拠点近くまで来たら私が襲撃をかけたじゃん?」
「そうだね。」
「なんで気がついたと思う?うちのメンバーは少ないから偵察させるなんて危険なことはできないはずだよね?」
「偶然近くにいたとかじゃないの?それか探知系のスキルを持ってるプレイヤーがいるとか。」
「甘いな。うちの生産職はとんでもないんだぜ。」
「なんか急にヴァルが口挟んできたけど、その通りなんだよ。うちの拠点近くには大量の監視カメラが仕掛けられていて、それをモニターで監視してたんだよね。しかもプレイヤーが映ったらブザーが鳴るようにもしてたんだよ。」
「無法すぎでしょ!?それじゃこっちの動きが筒抜けだったってこと?」
「そ。他にも襲撃仕掛けてきたところはあったけど、いろんな手を使って全部返り討ちにしたよ。」
「恐ろしいわね。何か特殊なスキルでも持ってるんじゃないの?」
「それはまたのお楽しみね。私時今日は明日も朝早いし、もう休みたいからさ。」
「そっか。明日ファザオンのイベントだったわね。てかあのゲームのPS最強格2人が揃ってるギルドって。ここにきて良かったわ。敵対したくないもの。それじゃキキョウ、明日夜入ってきてね。決闘をしたいから。」
「なんでよりにもよって明日なんだよ!俺だって疲れてるのに。」
「まぁ、これまでのツケが回ってきたと思って諦めるんだね。」
「パンドラまでー!」
そんなこんなで新メンバーを迎えた俺たちは明日に備えて休息を取るべきログアウトしたのだった。




