第132話 {巨獣化}とスキル
「ちょっとまずいかもね。」
「だな。拠点の位置がほとんどのギルドにバレてそうだ。」
「かと言ってスポーン地点はここだし、更新できるアイテムもないから拠点を移すなんてことはできないだろ?」
「そうですね。どうにか拠点の位置がわからないようにできればいいんですけど。」
「無理じゃないかな。隠しても大体の場所はバレてるんでしょ?」
「一つ方法がなくはないんだけど、先生次第かな。」
「何か作ればいいのか?」
「うん。なんでもいいんだけど、木材を切断できるものって作れる?通常の武器じゃなくてそれ専用のやつ。」
「あぁ、魔力式のチェンソーのレシピがあるから作れるぞ。」
「それじゃ、それを急ぎでとその後でいいから扉をお願い。鍵付きのやつね。」
「わかった。」
先生が奥にこもって5分ほどで完成したらしくチェンソーを渡してきた。
「それじゃミルナかな。ちょっと重いかもだけど、手伝ってもらえる?」
「いいよー。」
「みんなは監視カメラでの警戒をお願い。」
そういってミルナを連れて外へ向かう。
「それじゃミルナは外に出ないくらいの位置で待ってて。」
「はーい。」
俺は少し離れてスキルを発動する。
「スキル{巨獣化}」
「わっ!急に外が見えなくなったけどどうすればいいの?」
「拠点の入り口に沿ってチェンソーで切ってもらえる?」
そう。拠点の入り口を塞いでいるのはパンドラの体。拠点の入り口に沿って切ることで扉を取り付けられるようにする。これで中に入ってもらって守る。縮んだ時にどうなるかわからないし、本当はやりたくないけど、もう背に腹は変えられない。木材を切ることに特化することで武器としての機能がなく、木製の宝箱ならば部分的に切り取ることができる。
「切れたよ。これすごく軽くて使いやすかったよ。」
「さすが先生だね。それじゃみんなを連れてきて照明とかを設置して行って。家具とかも全部この中に空井したほうがいいかな。」
「?わかったけど、この中ってどうなってるの?」
「大丈夫。説明は後でするから今は急いで。」
「わかったわ。」
そう言って奥に入って行ったミルナは先生以外の3人を連れてきて、中に照明を設置して行った。
「それにしてもやめとこうとか言ってたのに結局やるのかよ。」
「背に腹は変えられないからね。」
「まぁな。それに強制ログアウトについてはそこまで考えなくて良さそうだしな。」
「そうだね。」
「キキョウくん、これってなんなの?」
「まぁ、そのうちわかるさ。今は作業だ。ミルナは俺と家具の設置だな。中のものは全部インベントリに入れてきたから一緒に設置するぞ。ユイユイとレントルは照明の設置を頼む。」
「わかりました。」
「わかった!」
あっという間に家具の設置を済ませ、照明もいい感じに設置し終わった。
「扉できたぞ。お、いい感じの部屋になってるじゃねえか。」
「それは今入ってきたところに設置しといて。」
「わかった。鍵はダイヤル式にしてある。番号は1204だ。中からは鍵を開けなくても扉を開けれるが、外から入ってくる時は番号が必要だから気をつけてくれ。」
「ありがとね。あと、家具のストックってある?」
「ないな。どうせ拠点移動だと思って鍛治台はインベントリに入れて運んできてる。この中に鍛冶場を作っていいか?」
「いいけど、強制ログアウトの前に回収しておいて。」
「?わかった。」
「それじゃ、ここがどこかだけど、ここは私の中ね。{巨獣化}っていうスキルで大きくなってその中に入ってもらってる。強制ログアウトのあと小さくなるだろうし、その時に中にあるものがどうなるかわからないから、大事なものはインベントリに保管しといてね。」
「そうだったんだ。ってことは私が切ったのはパンドラちゃんの一部?」
「そうだね。木を切るものだからダメージもないし、痛みもないから安心して。」
「それならよかったわ。」
「強制ログアウトに関しては俺たちはプレイヤーだろうから大丈夫だろうけど、たしかにものはどうなるかわからないな。それで予備の家具を先生に頼んだのか。」
「そういうことなら最低限のものをさっと作ってしまうな。」
「おねがい。スキル解除後もそれに応じてサイズが変わって残ってくれたらいいんだけどね。」
「それが一番だな。」
「まぁ、残らなくても強制ログアウトはあと3回だし、そこまで問題はないでしょ。」
「だな。あとはパンドラの{不壊}を貫通できるプレイヤーがいなければいいが。」
「大丈夫でしょ。それに{毒霧}を半径1kmの範囲に撒いてるから近づけないだろうし。」
「なるほど。それなら大丈夫そうだな。」
「うん。万が一無理だとしてもパンドラのアバターって横と縦と高さのサイズが横80cm、縦と高さが50cmなんだけど、今横が横が12.5mで縦と高さが10mになってて、サイズが20倍になってるんだけど、それに応じてスキルの効果範囲も20倍になってるみたいなんだよね。」
「ってことは{大地の覇者}とか元が半径10mだから200mの範囲に剣山大地が発動するのか!?」
「そうなるね。」
「それはあまりにも難攻不落すぎるだろ。」
「でしょ?だからみんなは安心してゆっくりしといてね。」




