第131話 『暗殺師団』
数人のプレイヤーは毒無効のスキル、もしくは装備を所持していたのだろう。しかし、付近にいたプレイヤーの大半は毒で死んだ。
ただ、範囲を絞ったせいで、森の中に待機していたプレイヤーは無事のようだ。かなりの人数がいるし、これではあまり倒せていないな。
先生がトラップを起動させたのかトラップにかかっていたプレイヤーもいなくなった。
「まだ続ける?君たち程度じゃうちのメンバーを害することなんてできないと思うけど。」
(うわっ!なんだこれ!?)
イヤホンから聞いたことがない声が聞こえてくる。
「大丈夫?」
(大丈夫だ。壁をぶち抜いて入ってこようとしたプレイヤーが罠にかかっただけだ。この罠から逃げることはできないだろうし、罠にかからず中には入れないからそっちはそっちに集中してくれ。)
「さすがだね。了解。」
近くにいたプレイヤーたちはさっきの俺の発言に蜘蛛の子を散らすのよう逃げていく。毒無効を持つほどのプレイヤーでも俺と正面からやり合うなんてことはしたくないんだろうな。
しばらくすると拠点付近にプレイヤーの姿は無くなった。
「こっち視点だともういなさそうだけどどう?」
(もう近くには潜んでないから戻ってきていいぞ。)
そう言われて戻ったはいいものの、拠点には罠で捉えられたプレイヤーがそのまま放置されていた。
「パンドラ、コイツらがどこのギルドの連中かわかるか?ぱっと見『青藍の薔薇』っぽいけど」
「いや、あなたたちは『暗殺師団』だね。うまく『青藍の薔薇』を装っているみたいだけど、誤魔化せると思った?」
「何を証拠に?俺たちは『青藍の薔薇』のメンバーだぜ。」
「そのイヤリング。それは『暗殺師団』のギルド武器の「暗殺者の耳飾り」でしょ?その程度の情報も調べてないと思ったの?」
そう言いつつ相手の横髪を掻き分けて耳飾りが見えるようにする。
「どこからの情報だ?このことを知る奴はうちのメンバー以外にいないはずだ。」
「さぁ?どこからの情報だろうね。少なくとも私は主要ギルドのギルド武器がなんなのかは抑えてるよ。」
「さすがユニークプレイヤーと言ったところか。狂ってやがる。」
「そう思うならそう思ってもらって結構。うちのギルドは狂ってない人材にはお引き取り願っているからね。」
「そうかよ。それにしてもそんな呑気に喋っていていいのか?」
「大丈夫。あなたたちに仕掛けたトラップはイベント終了まで外れないし。まぁ、情報を渡したくはないから殺すけど。」
「外から奇襲されたらどうするんだ?」
あえて不安を煽ってこっちの動揺を引き出したいのかそれともその対策についての情報を知りたいのか。まぁ、どっちにしてもその揺さぶりは効かないけど。
「外の連中はみんな逃げて行ったよ。戻ってくることもないだろうしね。」
「その根拠は?」
「さぁ?まぁ、これ以上おしゃべりするつもりもないし、さっと殺しちゃうね。」
そう言いつつ、短剣を取り出す。
「まぁ、あんたらのとこ1人死ぬのとうちのギルドで俺だけが死ぬのならうちの勝ちだしな。そのうちあんたの仲間を殺しに俺の仲間が来るだろうぜ。」
「あっそ。興味ないし、相手にならないと知ればいいさ。それじゃさようなら」
さっと首をはねた。




