第124話 深夜帯ラストの2時間
「パンドラさん、起きてください。もう直ぐ強制ログアウトの時間ですよ。」
「おはよ。ありがとねハンス。あとの2人はどうしてる?」
「ボードゲームで遊んでます。襲撃などは特になかったので安心してください。」
「それはよかった。多分この辺にうちの拠点があることはバレてると思うからここから気を引き締めないとね。」
「拠点の位置がバレてるんですか?」
「今はバレてないかもだけど、そのうちバレると思うよ。だって、ここから半径5kmの位置のギルドが全滅してるんだし、その中央に私がいるって警戒するのは当然でしょ?」
「そういえば全部滅ぼしてたんですね。キキョウさんが聞いたら起こりそうですけど。」
「まぁ、仕方ないよ。それに頭数は減らしてるし、相手がここに来るまでに時間もかかる。」
「そうですね。それではまた10分後ですね。」
「そうだね。それじゃまた後で。」
手を振りながら強制ログアウトの時間を迎えた。さてと、ここから2時間が肝だな。戦闘力を持たない先生と、疲労が溜まってきている俺、ヴァル、ハンス。このメンバーで6時まで耐えなければならない。俺はゲーム内ではあるが休憩できたからまだ余力があるが、2人はそうもいかないだろう。ここから2時間頑張ってもらって、あとは残りのメンバーでどうにかしないとな。ユイユイたちとキキョウたちがちゃんと起きてくれればいいけど。ミルナは早いけど、ヴァルがこの休憩時間に起こすことになっている。そこから食事を取ったり、色々と済ませて6時に合流する予定だ。ヴァルが休憩でアウトしたあとの食事とかまで準備してから戻ってくるなんて言っていた。ラブラブで羨ましいよ。
全員が戻ってきたらヴァルとハンスに休憩に入ってもらう。先生には申し訳ないけど、先生はここからはゲーム内でしか睡眠が取れない。8人中6人が常にインしていなければいけないから、ハッキリ言って戦闘要員の休憩にしか割くことができない。俺は常にインし続けるけど、キキョウはともかく、ユイユイとレントルをずっと拘束するわけにもいかないし、ヴァルと見るなも休憩が欲しいだろう。日中は基本的にみんなインして休憩を取りたい人に合わせてその場で調整する予定にしている。
キキョウとレントル、ユイユイが全員起きてこなかったら6人いないからゲームオーバーだ。まぁ、多分キキョウは起きてくるだろうし、ヴァルとハンスには全員が揃うまでは待機しててもらうから大丈夫だとは思うけど。ちゃんと6時になる前には入ってきてくれるといいんだが。
おっと、考え事ばかりしてたらそろそろ時間だな。
「お、よかった。寝落ちでもしたのかと思ったぜ。」
「そんなわけないでしょ。ミルナは起きた?」
「あぁ。一応起きてたけど、まだ眠そうだったよ。まぁ、あと2時間あるし、いつもの感じでインしてくると思うぞ。」
「そっか。それじゃこのまま拠点の防衛を続けよう。みんな疲れてきてると思うし、絶対に離れないように。常に一緒に行動ね。」
「なんでだ?」
「仮に少し気が抜けた時に先生が襲撃されたらいけないでしょ?2−2 ならまだしも1−3に分かれて三の方にいる先生は2人で絶対守り切れるともいえないでしょ?だからみんなで行動ね。」
「わかりました。私も少し疲れてきていたのでそうしてもらえると助かります。」
「了解。それじゃ俺ちょっと寝ていいか?」
「ダメ。ここから2時間はうちは4人しかいないことと、拠点のある程度の場所、それに人数が少なくて疲労が溜まってることなんて他のギルドに見透かされてるんだから。」
「えー。ちょっと蔵いいだろ。」
「あと2時間とちょっと耐えたらしばらく休んでいいから。」
「わかったよ。でもこんな時間に襲撃なんて来るか?」
「来ないとは言い切れないね。来るとも言い切れないけど。」
「そうだよなー。ゲームしてていいか?」
「ゲームの中でゲームって変な感じだけどいいよ。私が見張りしとくからハンスと遊んどきな。先生はちょっと仮眠とってて。ゲーム内だけど、少しは疲れ取れるし、ここから先生が休憩できる時間取れないかもしれないから。」
「わかった。お言葉に甘えさせてもらうよ。見張りの時これ耳につけといてくれ。」
「なにこれ?イヤホンみたいだけど。」
「万が一寝落ちしても寝落ちしたことを感知して、カメラにプレイヤーが映った瞬間に大音量で警報が聞こえてくる。もちろん装備者にしか聞こえないから外に音が漏れて場所がバレる心配もない。起きていて画面が視界にある場合には警報が流れないようになっている。警報は2回ジャンプすれば止まるからな。」
「それは助かるよ。もう2組ある?」
「もちろん。おい、ヴァル、ハンス。これ耳につけといてくれ。」
「オッケー。これでカメラに何か映ったら俺たちには確実に警報が来るし、パンドラがサボってたら直ぐにわかるな。」
「そんなこと言わないでよ。それじゃ先生、そこまで長時間は無理かもだけど、おやすみ。」
「あぁ。仮眠をとらせてもらうとするよ。おやすみ。」




