第122話 マッハと霊体
1000をゆうに超えるAGIに加え霊体という特殊状態が付与されている。霊体は物理法則を完全に無視することができ、壁をすり抜けたり、飛んだりすることもできる。
最高速での移動から周囲にいるすべての敵プレイヤーの首を切り落とす。俺のAGIは現実の速度に戻すとマッハ14だ。そんな速度に反応することはできない。それに中に入る隙もない。近くにいるものから殲滅しているし、この攻撃を阻止したり、回避したりなんてことはできない。
それに俺はファザオンでの経験を経てさらに高いAGIでの動きが極まったようで、ファザオン以前に人型で戦ったときよりも動きやすく感じる。
あっという間に拠点から半径5km内にいたプレイヤーを殲滅し切った。もちろんその中にはかなりの数の拠点があったが、それらもすべて襲撃し、プレイヤーもおそらく全滅させた。
半径5kmくらいなら拠点から離れても大丈夫という判断のもとでこの行動を取ったのだが、そうしておいて正解だったようだ。
ヴァルから救援要請のメールだ。そこそこな人数が拠点近くにまだ残っていたらしい。
全速力で拠点へと向かう。現在地から拠点までは4km強。通常ならかなり時間がかかる距離だが、今の俺からしたら大したことはない。
そしてその1秒後、俺は拠点の中にいた。マッハ14というのは1秒間で4.8km移動することができる。つまり、壁をすり抜けられる今の状態であれば直線の5kmはほぼ1秒で移動できるのだ。
「なんだと!?今までいなかったはずなのに!どこから湧きやがった。」
どうやらヴァルが頑張ってくれたらしく残り4人のようだ。
「ヴァル、あとは任せて。」
「あぁ。頼んだ。それにしてもめちゃ速いな。」
「それについては後で教えてあげる。周囲の敵は殲滅したし、こいつらでラストかな。」
「殲滅した?あの数をこの数十秒でか?」
「うん。そうだよ。君たちは知らないのかな?あの第1回イベントで起こった惨状を。」
「知っているさ。でもなお前の本来のステータスは解放されていない。俺たちと同じ上限な以上そこまで高いAGIは出せないはずだ!」
「あっそ。それじゃ、秘密を喋るつもりはないし、さようなら。」
そう言い終わり、俺は全員の首をほぼ同時に刎ねる。本人たちも何が起こったかわからないままやられたことだろう。
「よし、それじゃ、しばらくは大丈夫だと思うし、もうちょっとみんなでゆっくりしよ?」




