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ユートピアオンライン~ミミックのアバターを強制された俺はなんだかんだでゲームライフを謳歌する~  作者: 雲英侑李
第1章 ユートピアオンライン1

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第12話 {裏切の制約}

{裏切の制約}についての詳細な記載がUnique解説書にも追加されていた。

{裏切の制約}他のユニークプレイヤーを裏切ることを誓う制約。制約は自分自身で自分自身を縛る約定であり、他者が干渉することは出来ない。これを行うことで、UniquePlayerは通常のプレイヤー側につくことができる。ただし裏切のペナルティとして、UniquePlayer以外との戦闘中におけるステータスの制限、プレイヤーキルが認められたイベント以外でのプレイヤーキルにおけるペナルティの適応、プレイヤーネームの偽装不可という3つの制限が設けられる。

ざっとまとめるとこんな感じだ。自分自身で自分自身を縛る約定が制約、他者が絡むと契約といったところだろう。

更にユニークプレイヤーについてイベント後に通知された情報以外にももう一つ制限が告知された。

{裏切の制約}を行っていないユニークプレイヤーは宣言無しに通常プレイヤーのいる、《人間の支配領域》に侵入することができない。逆に通常プレイヤーはユニークプレイヤーの拠点となる《魔族の支配領域》に自由に侵入できる。

プレイ環境としてはエリアの雰囲気が違うだけでそう変わらないらしい。これが適応されるのは明後日午前0時だそうだ。《人間の支配領域》にいるユニークプレイヤーは自動的に《魔族の支配領域》に転移させられるらしい。

一度ログアウトはしていたが、強制転移の前に{裏切の制約}をしていた方がいいだろう。これをするには町にある教会訪れる必要があるらしい。それ以降の手順は行ってみないと分からないみたいだし。人の多い時間帯で行ってみるか。たぶん{裏切の制約}が成立した時点でゲーム内にいるすべてのプレイヤーに告知される。それならより人が多い時にやった方がいいだろう。

とりあえず今日は寝てまた明日起き次第やればいいだろ。明日は日曜だから人も多いだろうし。



そして今教会に向かっているのだが、ほかのプレイヤーの視線が痛い。もう俺の偽装プレイヤーネームとアバター、そしてユニークプレイヤーだということはばれてしまっている。イベントであれだけ派手にやったのだから仕方ないといえば仕方ないのだが。

とにかく厄介ごとに巻き込まれることなく教会までたどり着いた。通常プレイヤーは街中でのPKは町の外よりもペナルティが重い。それで誰も襲ってこないのだろう。


「いらっしゃいませ。どのようなご用向きでしょうか?」


教会は各町に一つしかないNPCによって運営される施設だ。この街の教会には聖女アグネスがいる。

それにしてもNPCがあまりにも自然すぎて少し気味が悪いくらいだ。


「{裏切の制約}を行いたいのですが。」


「UniquePlayerの方ですか?それでは確認のためモンスターの姿になってください。」


「わかりました。」


俺はミミックの姿に戻る。


「UniquePlayerNo1.パンドラ様確認いたしました。{裏切の制約}を行えるのは先着1名のみです。それでも行いますか?」


先着1名のみ?そんな記載はなかったはずだけど、まぁ、ほかのUniquePlayerなんてどうでもいいし、いっか。


「はい。大丈夫です。それでは人の姿に戻り、私についてきてください。」


そういいながら聖女アグネスは奥へと歩いていく。


俺はすぐに人型に戻りアグネスについていく。教会の奥の部屋に行くと、そこは暗く不気味な空間だった。

明らかに教会とは正反対な空間。魔の空間といった感じだ。どこが壁なのかもわからないほどに真っ暗それなのになぜかアグネスの姿だけははっきりと見ることができる。


「この空間は魔の者を飲み込む空間です。見た目はとても教会らしくないですが、ここは神の御力によりつくられた空間です。」


「魔の者を飲み込む?」


「はい。私の姿は良く見えているでしょう?でもあなたの体は自分でも見えない。それが魔を飲み込むということです。それがあなたに害を与えるわけではありません。それではこちらを。」


そういってアグネスは俺に純白の輝きを放つ短刀を渡してきた。彼女には俺のことが見えているらしい。


「これは?」


「あなたにはこれからその刃で自身の心臓を貫いていただきます。それが自身を縛る制約の儀式です。もちろんそれで亡くなることはありませんのでご安心ください。」


そういうことか。ゲームシステムを否定する行為を許すわりにペナルティが軽いとは思っていたが、ここで痛みか。それに一人は裏切らせることを前提としたような感じだな。


痛いのは嫌ではある。それでもこれはやらなければならない。

俺は自身の心臓めがけて刃を突き立てる。


思っていたような痛みが来ない?それ以上に体がぽかぽかとしている。これはどういうことなのだろうか?


「これで儀式は終了です。あなたの力は我々と同じ程度に制限され、ほかの方の信頼を得る。それがこの儀式なのです。」


その後、何の説明もないまま、俺は教会の外へ追い出された。


外に出た瞬間


ゴーン ゴーン ゴーン


町の中央の空に巨大なベルが現れた。3回鳴ると、アナウンスも聞こえてきた。


「UniquePlayerNo.1パンドラによる{裏切の制約}を確認いたしました。これにより、他のUniquePlayerの{裏切の制約}は禁止、UniquePlayerNo.1パンドラは一般プレイヤーの味方となります。さらにこれにより、UniquePlayerと一般プレイヤーの間による新システム《戦争》の解禁が行われます。」


《戦争》?

告知されるのは予想通りだが、新システムについては不明だな。すぐに運営から全体に詳細の連絡が来るだろうが、今は目立たないように行動した方がいいかもな。万が一ほかのユニークプレイヤーが町中にいたら厄介だ。とりあえず宿屋まで戻ってログアウトしてユニークプレイヤーたちが追い出されるのを待つか。

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