第115話 『完璧』な戦い
「あれを回避し切るなんてあなたなかなかやるみたいね。それじゃこれはどうかしら?{時空の矢}」
ネイはそう言い放つと今度は弓矢を取り出し、こちらに構える。いくら弓でもこっちには反撃領域もあるし回避は容易い。それに{不壊}も発動中だし大丈夫でしょ。念のためあれも使っておこうか。情報を渡すのは嫌だけど
「{不壊の目}」
これによって相手の攻撃が{不壊}を貫通するか否か分かるようになる。これならこいつらに負けるなんてことはない。
ネイの矢が放たれる。それと同時にその矢が姿を消す。どこに行った?おそらくスキルの影響だろう。そうなると放った矢をどこかに転移させて不意打ちといった感じか。
それならこれが一番確実だ。
俺は10本全てを腕を取り出し、全てに盾を構える。念のためにあらゆる種類の武器と防具を揃えておいたのだ。
その盾で結界全体を覆い、矢が中に侵入できないようにする。これでネイの攻撃は完全に遮断されたことになる。
カンっ
その音で盾に矢が刺さったことを確認すると俺はすぐさま盾を短剣に持ち変える。矢がブラフだった場合、ここで追撃が来る可能性が高い。
盾で塞がれていた視界が開放され、俺の目に映り込んできたのはネイとパルフが2人揃って俺に両手剣で攻撃を仕掛けようとしている姿だった。{反撃領域}がある以上この程度なら問題ないか。
「{重撃化}」
「{筋肉増強}」
ネイが使用した重撃化は一定以上の重さの武器の攻撃力が5分間倍になるスキル。パルフが使用した{筋肉増強}はその名の通り筋力つまりSTRの値を5分間だけ3倍まで上昇させるスキル。その代わり5分が経過すると10分間すべてのステータスが10%低下する。
両方とも使用者の多い強力なスキルだ。その分こちらにも情報があるのだから戦いやすい。5分間耐久できればパルフは簡単に倒せるだろう。問題はネイだな。あれはかなり厄介だし、攻撃手段も多彩だ。
2人の攻撃は{不壊}を貫通する威力だったため回避に専念する。そして相手のバフが切れる前にこちらの{反撃領域}の効果がきれ、相手のバフは残り2分弱といったところか。逃げよりも攻めに徹した方がいいかもな。
現状ネイは斧、パルフは両手剣で戦っている。一見{大地の覇者}で一網打尽にできそうだが、おそらく何かしらの対策は施しているだろう。そうなると向こうの重い武器によって失われたAGIをこっちのアドバンテージとして戦うのがいいか。
急加速した俺に対応しきれなかったようで2人は周囲を見ている。しかしすぐにネイは俺の姿を捉えたらしく、こちらの軌道を読んで攻撃を叩き込んでくる。俺は逆にそれを読んで回避をする。どちらがより先を見通せるかの勝負だ。
ネイが妨害の攻撃をしたタイミングで俺はパルフに10連撃を叩き込む。急な方向転換で予測ができなかったんだろう。今、この場で戦いについていけていなかったパルフであれば簡単に葬ることができる。今の攻撃は耐えられてしまったみたいだが、今度こそ仕留める!




