第111話 拠点への帰還とパンドラの毒霧
「おーおかえり。どうだった?」
俺が拠点に戻ると事前に出迎えを頼んでいたキキョウが出迎えてくれた。拠点の入り口は見事なまでに塞がれており、外からだと全くわからないほどだった。
「結構集まったよ。それにしても見事なもんだね。」
中に案内してもらって奥に歩いていきながらキキョウと話を続ける。
「本当な。あそこまで完璧にできるとは思ってなかったよ。」
「先生の采配のおかげだね。こっちの宝箱も相当な数集まったし、結構いいものもあったからあとはみんなで生き残るための引きこもりだねww」
「そうだな。まぁ、中に入ったら確認させてくれよ。」
そう言いつつ拠点に辿り着いた俺は言葉を失った。中は家の中のようになっており、壁も洞窟の壁ではなく、木でできた家の壁のようになっていて、カーペットが敷かれており、ソファ、ベッドまで用意されている。事前に話していた監視カメラのモニターも設置されている。ユイユイは今日ずっとインしていて疲れていたのかベッドで眠っていた。
「ユイユイは疲れて寝てる感じ?」
俺は一応声をひそめて尋ねた。起こしてしまっても申し訳ないし。
「はい。さっき眠そうだったところにキキョウさんが気を遣ってくれて。寝てていいって言われたらすぐに寝てしまいました。」
「そっか。それじゃ宝箱の中身の確認は2人とヴァル達が入れ替わってからにするね。ここで出してキキョウが騒いで起こしても悪いし。それに3時間の休憩で入れ替わりだったよね?」
「その予定です。」
「それじゃあと1時間もないし、ゆっくりさせてあげよ。」
「ありがとうございます」
「ちなみにどのくらい手に入ったのですか?」
珍しくハンスが宝箱の数について触れてきた。こういう時は大体キキョウが言ってくるんだけどな。
「1人10個ずつの80個で切り上げてきたよ。結構いっぱいあったし、幸運値に左右されるのかもしれないけどミミックとかトラップにも当たらなかったし。」
「それはすごいですね。予定していた2倍とはさすがパンドラさんですね。」
「そうでもないよ。宝箱自体はたくさんあったし、他のギルドも付近には強力なギルドがいなかったから。」
「それでもさすがだな。キキョウ、頼まれてたものできたぞ。」
「先生、どこいるのかと思ったら奥に鍛冶場まで用意してたんだ。で頼まれてたものって?」
「キキョウからさっき頼まれたんだよ。全く、無理を言いやがって。」
「キキョウ。先生に無理させないの。」
「ごめんって。ありがと。」
キキョウに手渡されたのは何かのポーションのようだ。
「これ何?」
「これはパンドラの毒霧っていう投擲用の毒ポーションだ。」
「だから鍛冶場での作成なんだ。通常のポーションだったら鍛冶場じゃないもんね。」
「あぁ。それにこのポーションは超特別性で毒ポーションとはいうが、このポーションはお前の{毒霧}を遠隔かつ、触れたものにだけ発動させるというものだからお前のスキルが強くなればより強力になるんだよ。俺のアイディアを形にしてもらいたくてな。」
「それはいいけど、いくら時間があるからってギルド戦中にやらなくてもいいじゃん。」
「ごめんって。好奇心が勝っちゃって。」
「今回だけだからね。」




