第110話 パンドラの襲撃・・・そのころ拠点では?
拠点近くのギルドを襲撃し、さっそうと逃げた俺は宝箱を探してひたすら走っていた。それなりの数も集まり、途中で見つけたギルドは大半を蹴散らした。時々先に気が付かれてこっちが襲撃を受けることもあったが、もちろんそんなもので死ぬほどやわではない。それに前回イベントでの上位ギルドや強力なメンバーを抱えているギルドに遭遇しなかったのも大きい。現在見つけた宝箱はちょうど50個だ。うちのギルドは8人だから一人平均5個で40個を目標にしていたのだが、早めに達成してしまった。まだギルドを出てから1時間くらいしかたってないし、もうちょっと頑張ろうか。
これまで見つけた宝箱は大半が装備品か消耗品のアイテム類だった。まだトラップやミミックには当たっていない。おそらく幸運値に左右されるのだろう。俺の場合幸運値が高い分遭遇しづらいのだろう。スキルスクロールはまだ3つしか見つかっていない。まだ詳細は見ていないから早めに切り上げて拠点で確認しようか。まぁ、あと1時間弱くらいやったら帰るとしようか。
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「せんせー。これくらいでいいー?」
「おっ、上出来じゃないか。」
ギルドに残された俺、先生、ユイユイ、レントル、ハンスの5人は拠点を整える作業を進めていた。パンドラから拠点の割と近くにほかのギルドの拠点があるって連絡もあったし注意しとかないとな。
「よし、10分くらいしかたっていないが外装の方は完璧だな。内装について少し話したいからみんな集まってくれ。」
先生がそう声をかけると外装のダミーの岩などの用意を担当していたハンス、ユイユイ、レントルの3人も戻ってきた。
「外装はもう大丈夫だから内装の方について話し合うぞ。基本的にはここで過ごすことになるから出来るだけ快適にしたい。そこでみんなに意見を出してほしいんだ。何が欲しいかとか。いわれそうなものは用意してあるが。」
「まぁ、ベッド、ソファ、カーペットは最低限だよな。」
「そうですね。こういうイベントで強欲ではありますが、長時間インする身としてはぜひとも欲しいですね。」
「僕も同意見です。」
ハンスとレントルは俺と同意見のようだ。ユイユイは少し眠そうだ。今日もかなり早い時間からインしていたし、休憩もあまりとっていないみたいだから疲れが来ているんだろう。
「それじゃそれに加えてモニターを設置しとくな。そこまで終わったらゆっくりしてていいぞ。ほかに何か欲しいものがあったら言ってくれれば作るからな。」
先生はそういうとカーペットを敷き、その上にソファ、モニターを設置、隅の方にベッドを設置した。さっき俺たちが外装をしている間に洞窟の壁一面に壁板が張られており、もはや家のような感じになった。
「こんなもんでいいか?」
「十分すぎるぐらいじゃないか?で、このモニターは?」
「外に仕掛けてある監視カメラとつながっていて、リアルタイムの映像を監視することができる。ここの入り口につながる道3か所と入り口の計4か所に設置してある。同時にも見れるし、1か所を指定してみることもできる。」
「いつの間に監視カメラの設置なんてしてたんだ?」
「パンドラに設置してもらってたんだよ。さっき出て行ったときにまずカメラを設置してもらってたってわけ。」
「なるほどな。確かに効率もいいし、あいつならいい位置に仕掛けてくれてるだろうな。」
「それにこのゲームにはカメラ系のアイテムは現状ゲルマさんが作るもの以外確認されていません。その情報も今ここにいる人とパンドラさんしか知らないので警戒もしないでしょうね。」
「確かに。ありもしないものを警戒するはずはないと。さすがパンドラさん!ここまで考えているなんて。」
ハンスは冷静に分析して、レントルは感心している。それにしてもユイユイが本当に寝そうだし、ヴァルたちには早めに来てもらうか。
「ユイユイ、まだいけそうか?」
「もうちょっとなら大丈夫。」
「眠いなら寝とけ。ゲーム内で寝ててもインはしている状態だし、実際の睡眠ではないとはいえ多少は休まるだろうし。」
「うん。おやすみー。」
そういいながら吸い込まれるようにベッドへと入っていった。そんなに眠かったなら無理しなくてよかったのに。俺が声を掛けなかったらどうする気だったんだ?




