第102話 死の翌日
俺がユーオン内で初の死を体験した翌日、昨日と同じく俺と恭平は宿題を終わらせるべく、俺の家に集まった。
「昨日は災難だったな。」
「まぁな。ほら上がれよ。」
そういって俺は恭平を迎え入れる。
「それにしてもよくあんなボスと戦えるよな。俺たちだったら瞬殺だよ。」
「だろうな。俺も特殊なステータスを与えられているから戦えるだけであって普通のステータスじゃ太刀打ちできないって。」
「どうだかな。お前のPSならそれなりにやり合えそうな気もするが、今は置いとくか。で、例のボスについて何か情報あるか?」
「昨日話した以上のことはないよ。レジェンドゴッドについても調べたけど、一切情報が出てこないし、多分今この情報を知っているのはパンドラの箱のメンバーと他のユニークプレイヤーたちだけじゃないか?」
「そうか。どうするんだ?イグザミナに売りつけるのか?」
「それなんだよねー。あとで情報が出てきた時に知ってたことがバレても厄介だけど、向こうが知りたがっているのはエクストラモンスターとユニークプレイヤーに関する情報だけだし、契約に関してもその2つだけなんだよな。」
「それじゃ教えないつもりか?」
「そこなんだよな。こっちが例外の情報を教える代わりに向こうからもこっちの知りたい情報を一つ提供させるって形でもいいんだけど、今回に関しては秘匿性の高い情報だし、あんまり雑に扱いたくはないんだよな。」
「一旦様子見でいいんじゃないか?レジェンドゴッドに関しての情報を向こうが得てから戦ったことがあるって言って情報を渡してもいいわけだし。」
「それもそうだな。それにしてもあれってどうやって倒す想定なんだろうな。多分ユニークプレイヤーの中で一番相性がいいであろう俺が勝てなくて、他のユニークプレイヤーに関しては束になってかかっても負けたんだろ?倒せるようにプログラムされてるのか?」
「ダメージの状況を見ても特殊勝利型のモンスターじゃないしな。{虐殺者}が効かなかったってことは生き物の扱いでさえないんだろうし、実体を持った霊体系のモンスターって感じか?」
「矛盾してるけどそういう感じなんだろうな。肉体の性質的には実体のある「生き物」なんだろうが、本質は精霊とかそっち系に近くて判定的には生き物ではないとされる。もはや物体と何ら変わらないような扱いなんだろうな。」
「ゴッドっていう表現も気になるが、これまで神とかゴッドってつくモンスターは確かに出てきてないんだよな。」
「多分それがつくのがレジェンドゴッドなんだろうな。」
「いや、レジェンドゴッドっていうのは通常のゴッドとか神さらに上位なんじゃないか?レジェンドってついてるくらいだし。」
「確かにそうかもな。そう考えるとあの強さも納得がいく。のか?」
「いやそれは無理があるだろ。実際に戦っているのをみても化け物だとしか言いようがない強さだったし。」
「だよな。まぁ、そんな話をしている暇があったら宿題しようぜ。俺は昨日ちゃんと進めたが、お前昨日ほとんど進んでなかったよな。夏休み後半は忙しいんだからさっさと終わらせるぞ。」
「わかったよ。そうだ一つ伝えとかないといけないんだった。」
「なんだよ?」
「おまえ、ヴァルたちの結婚式どうするか悩んでたじゃん?」
「まぁ、どうするか悩むよな。ゲーム内で性別を偽ってるわけだし。」
「それなんだが、もし女として出るんなら俺の姉貴がドレス貸してくれるってさ。身長も体格も同じだろ?」
「おまえ、何でそんなこと家族に話してるんだよ。」
「いいじゃんか。何ならメイクまで教えてやるって言ってたし、せっかくなら女装して行ってみたらどうだ?」
こう言ってはいるが、確かにこいつのお姉さんが教えてくれるならアリかもしれない。こんな感じの弟とは違って化粧品の会社に勤めていて、その系のことには詳しいし、とてもオシャレに気を遣っている人だ。それに弟以外の人には優しいしな。




