犯罪の事情
女子大学生の私は大学の授業が終わってからそのままコンビニのバイトに向かう。4時間のバイト。夜10時半にバイトが終わる。着替えながら
「うわー。携帯の充電切れてんじゃん。仕事中に充電しておけば良かった~。」
コンビニから住んでいるアパートまでの帰り道は徒歩で7、8分程度とかなり近い。連絡がバイト中に来ていたとしても、返信がちょっと遅れるだけである。
「お疲れ様でした~。お先に失礼しま~す!」
コンビニの通りから路地に入り、住宅街に入っていく。アパートまでの距離を半分程まで歩いたところで、後ろで男性の声が聞こえる。
「…ぅ…ん。…ぇ…ぃの?そうそう。じゃ…の打ち合わせの時刻は10時からに…で。…え?じゃどうする…」
ちらっと振り返ると、どうも後ろで男性が電話をしながら歩いているようだ。歩幅は女性の私よりも大きく少しずつ近づいてきており、声が少しずつ明確に聞こえてくる。
「うん。じゃやっぱ変更ね。先方にはこちらから話しておくから。」
私の住んでいるアパートが目前に迫り、後ろの男性も通話しながらで、あと10秒程もすれば私を追い越すだろうと思っていたのだが、
ぶぅぅうううん!! ドカッ!!! ガシャァァァァン!
なんと、バイクが脇道から飛び出してきて、後ろで電話をしていた男性に突っ込んだようなのだ。衝突音で私が振り返ると、轢かれたと思われる男性はピクリとも動いていない。フルフェイスのバイクを運転していた人物が転倒したバイクを起こし、轢いた男性を救助することなくアクセルを開ける。
「ちょっとっ!!!」
走り去ってしまったが、私は何とか轢き逃げしたバイクのナンバープレートの数字を憶える。
「警察?救急車?って携帯の電池切れてるんだった。…あ!轢かれた人のスマホ!!」
轢かれた男性は依然動く気配が無い。男性の携帯は男性から2m程離れたところに落ちていた。画面にヒビが入っているが通話履歴の画面が出ているので壊れてはいないようだ。拾い上げた際に何気なく通話履歴から先ほどの通話の相手を確認しようとする。ここ1カ月程、通話の履歴が無かった。まさかと思い倒れている男性の方を見てみると右手に包丁が握られていた。




