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第5話:この手に限るわね

 魔石族。

 岩石族の一種であり、高い防御力を持つことで有名な種族だ。

 彼らの体はとても固く、高価な値段で取引できる。

 狩人ハンターに狙われて数が激減した過去を持つ。

 また、世界で一番有名な『あの人』と同じ種族だったりもする。


「わからない点が多いですね」


 たしかに魔物の名称やレベルが詳しく表示されていない。


「俺のスキルも無敵ではない。

 障害物が多いと、まれにエラーが起きて情報の一部が欠落することもある」


 俺は冷静にそう答えた。

 位置は特定できるのでそこまで焦る必要はない。


 地図を詳細モードに変える。

 索敵の範囲が狭くなる代わりに詳細なデータを集めることができるようになる。


 遺跡の中を慎重に進んでいく。

 通路を塞ぐように二匹のトレントとエンカウントした。



 トレント

 植物族 レベル11 


 トレント

 植物族 レベル17



 今回は俺が戦闘を担当する。

 抜刀と同時に踏み込んで、低レベルのトレントを真っ二つにする。

 そのまま高レベルのトレントと交戦する。

 敵の攻撃を避けて胴体に向かって一撃を放つ。


 カキン!


 残念ながらパワーが足りなくて刃が通らない。

 どうやら俺の限界はここまでのようだ。

 ……とはいかないのが狐剣の良さだ。


 剣を両手で握り直して、力を一点に集中させる。

 くるりとターンして横斬り。

 ズドンと音を立てて、強烈な一撃でトレントを一閃した。


 トレントの体が崩れ落ちる。


 これが狐剣の十八番の『回転切り』だ。

 狐剣は剣を尻尾と見立てて剣を振るうことが多い。

 回転によって剣の威力を大きく上げることができるのも狐剣の長所だ。


「流石ですご主人様!」

「ありがとう。今度はリリアが戦うか?」

「ぜひ戦わせてください!! 私もその技を覚えたいです!」

「リリアは勉強熱心だなぁ」


 迷路を進んでいく。

 遺跡はかなり広い。

 中央に近づくにも少々時間がかかりそうだ。


 次の敵はゴーレム。

 この遺跡にはトレントの他にもゴーレムがいる。

 一見するとただのオブジェにしか見えないが、近づくと音を立てて動き出した。

 全長三メートルほどの巨大な岩人形が俺たちを見下ろしている。



 ゴーレム

 岩石族 レベル23



 ゴーレムは魔物の中でも強い部類だ。

 こいつくらいの硬度になると流石に狐剣どころではない。

 ある程度のパワーがないとダメージは一切ない。


 大人しくリリアに任せる。

 自分に見合った敵と戦うのも冒険者の鉄則だ。


「回転切り!!」


 リリアは一発でゴーレムを倒してしまう。

 はへー、すごい威力。


 小細工なしでもリリアは強い。

 ちょっとずるいなと思ってしまうこともある。

 でも、笑顔で手を振る彼女の姿を見たら許せてしまう。



 リリアと楽しく遺跡攻略を進めていく。

 あっという間に目標の場所に到着した。


「あれ? 誰もいませんね」

「どうやら地下があるようだ。そこにいるのかも」


 俺は地面を指差した。

 謎の魔石族はその場から一切動こうとしない。


「奴はこの真下にいる」

「どうします? 辺りを探索して入口を探しますか?」

「……どういうわけか他に入口がない」

「はい?」

「おそらく、転移魔法陣でしか行けない隠し部屋だったんだと思う」


 既に効果がなくなってしまったのか、地図には魔法陣の反応がない。


「なるほど~。でも場所はわかっているんですから、いつもの頭脳プレイで行きましょう」

「頭脳プレイ?」

「私が変身して地面を破壊するんですよ」

「それを人は脳筋プレイというんだよ」


 リリアはスキルを発動してリリア様に変身する。


「変身完了よ。ご主人様、私から少し離れてちょうだい」

「わかった」


 リリア様と距離をとる。


「はあ!!!!!」


 地面に向かって本気パンチを放つ。

 爆発音が響いて遺跡が揺れた。

 地面に巨大な穴が空いていた。


「ふう……困ったらこの手に限るわね」


 この手しか知りません。

 地上から地下を覗き込む。

 暗くてよく見えない。


 地図で確認してみると、小部屋になっていることがわかった。

 謎の魔石族はまだ動かない。

 マジで動かないなコイツ。


 すると、ピコン!と地図から音が鳴った。

 地図が更新された。



 ヘカテー

 魔石族 レベル99



 先ほどまで不明だった魔石族の正体がわかった。

 なんと神級魔術師のヘカテーだった。



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