第1話:雪の民
本編は既に終了しているので追加ストーリーとなります。
屋敷の中をぐるりと見て回った。
定期的に管理局の手が入っているからか埃などはあまりなく綺麗だった。
屋敷の詳しい説明はあとでするとして、大体カタログに書かれている通りの内装だった。
また、書斎には前の持ち主の本がたくさん残っていた。
「前の持ち主はどうしてこの屋敷を売り払ったんですか?」
「ここには一人の魔女が暮らしていたのですが二十年ほど前から行方不明になりました」
「なにそれ怖い」
呪いとかそういうの一切ないって言ったじゃん!
いや、二十年前だし知らなかったのかも。
あの受付嬢さん若かったし。
「いっこうに帰ってくる気配がなく、土地代も滞納していたので半年前から当局が引き取った形になります」
「もし持ち主が帰ってきた時はどうするのですか?」
「その場合は当局が対応するのでお客様がご心配する必要はありません。少なくとも家を手放す事態にはなりませんよ」
「良かったですねご主人様」
「ああ、そうだな」
前の持ち主が魔女かぁ。
いったいどんな人だったのだろう。
魔術書もたくさん残ってるみたいだし、今度レラに読ませてあげようかな。
きっと喜ぶと思うぞ。
ちなみに俺とリリアはスキルを貰ってる時点で魔法を使えない。
スキルと魔法が相反するのは世界的にも有名だ。
とても残念。
さてさて。
道具はすべてアイテムボックスにいれてあるので、本契約を済ませて今日中に移り住むことも可能だ。
このオプションスキルほんと便利だと思う。
「ご主人様。ご購入はいつ頃になさいますか?」
「今日からでもリリアが大丈夫なら今日中に行けるぞ」
「本当ですか!? やったー!」
リリアは早くここに暮らしたくて仕方がないようだ。
かわいい奴め。
屋敷から管理局までの帰り道で、俺たちは女の子とすれ違った。
リリアが女の子の服装に注目した。
「あの女性の方。変わった服装をしていましたね」
青い髪をしており、身長はリリアと同じくらい。
長いマフラーを首に巻いている。
黒を基調とした忍装束を着ている。
「あれは『雪の民』だ」
「雪の民?」
「メルゼリア王国の北側にあるスノーマウンテンに暮らしている種族だ。どういうわけか女性しか生まれない。婚活のために王都まで下りてきたのだろう」
地図で少女のステータスを確認する。
雪の民 主・募集中! レベル71
相変わらずレベルが高いな。
雪の民の共通の特徴は、
美少女、忠臣、不老、高レベル、くノ一。
夜枷が飛びぬけて上手い(←ここ重要!!!!!!)
まるで欲望のハッピーセットだな。
エルフ族と並んで男性冒険者の人気が高い種族だ。
奴らの価値観は独特で、自分よりも強い主に仕えることを至上の喜びとしている。
決闘を申し込んで倒せば主になることができる。
その代わりめちゃくちゃ強い。
王国にいる雪の民は全員レベル70以上。
しかも鷹剣と呼ばれる高速飛行剣術を持っている。
彼女達の主になろうとする野郎共はかなり多いものの99%は撃退される。
その強さは超一級品で、Aランクの剣士が文字通りボコられるレベル。
こっちが「えーい!」って斬りかかる間に相手はキンキンキンキンキンキン!と六回は斬っている。
婚活する気があるのかと思っちゃうほどの化け物じみた強さ。
余談ではあるが、
奴隷市場では100%見かけない。
奥歯に猛毒を仕込んでいるらしく、奴隷落ちした瞬間に自殺するからだ。
主のためだけに働くことをモットーとする種族だ。
ぶっちゃけ俺も欲しい。
メイドを雇うなら雪の民かエルフ族にしたいね。
メインスキル
○地図
・索敵機能
・罠探知機能
オプションスキル
○認識阻害の加護 対象に対しての他者の認識を変化させる。
○ポータル 登録した三地点へのワープ機能。
○召喚の加護 アイテムボックスと接続できる。瞬時に取り出すことも可能
○パーティ共有の加護 パーティの現在位置がわかる。連絡の加護と併用すれば通信も可能