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第13話:リリア様とのデート

 リリアとリリア様は同一人物だ。

 スキルによって性格がクール補正されているものの、リリア様と喋ったことはリリアも覚えているし、逆もしかりだ。

 リリア様とリリアと切り分けて考えると、もう片方を傷つけてしまう恐れがある。


 そこを検証するのが今回の目的だ。

 断じてリリア様のおっぱいを見たいからではない。


「リリアに頼みたいことがある」

「私にできることならなんでもやりますよご主人様」

「リリアのスキルの検証をしたいから付き合ってほしい」

「……!! つ、ついに解禁ですか!?」

「うむ、リリアも立派に戦えるようになった。そろそろ良い頃合いだろう。次の段階に進もうじゃないか」

「ありがとうございます!! では早速変身しますね!! ご主人様、もう一人の私の姿を見て、ときめかないでくださいよ~!!」


 リラはステータス画面を表示させて、シャキーンとかっこいい系のポーズをとる。


「変身!」


 リリアはスキルボタンを押した。

 数秒間ほどリリアが光に包まれる。


 変身後のリリアが姿を現した。


「変身完了よ」


 さっそく変身してくれた。

 スキルの効果でリリアは大人の姿へと成長する。

 160センチへと伸びて巨乳美女になった。


 俺は変身後の姿をリリア様と呼んでいる。

 リリアと書いたら変身前、リリア様と書いたら変身後の姿を指していると思ってくれ。

 会話文ではいつも通りリリアと呼ぶつもりだ。


 改めてリリア様を凝視する。

 スタイルは抜群でリリアの時にはなかった胸のボディラインがはっきりしている。

 あのおっぱいを揉んだらきっと気持ちがいいだろう。


 俺は巨乳が好きだ。

 女の胸はデカければデカいほどいいと思っている。

 リリアもいずれああいう風にデカくなるのだろうか。

 夢が膨らむな!


 リリアが永遠のロリであることを知るのはずっとあとになるのだが、

 物語には一切影響しないので先に明記しておこう。

 このおっぱいはスキルの影響であって、未来の姿というわけではない。


「私にやってほしいことってなにかしら?」

「大したことじゃないんだ。リリアのステータスが日常生活で支障をきたさないか確認したい。だから今日は俺と一緒に付き合ってほしい」

「つまりデートのお誘いってわけね」

「そういうことになるな。了解してくれるか?」

「もちろん。ご主人様の誘いを断るなんてありえないわ。早くデートにいきましょう。待ちきれないわ」


 リリア様もノリノリのようだ。

 性格はクールになっても価値観はリリアと同じみたいだ。


「どこに行きたい?」

「まずは王都の東側を見て回りたいわ。まだ詳しく見ていなかった気がするもの」

「オッケー。リリアを立派にエスコートしてみせるよ」

「ふふっ、楽しみにしているわね」


 さっそく出発だ。

 現在の時刻は10:00。

 リリア様とたくさん遊ぶぞ~。

 俺達は町へと繰り出した。


 さてさて。

 まずは一つ目のミッションだ。


 デートの基本と言えば手を繋ぐことだ。

 どうやって手を繋ごうか。

 リリアならともかく、リリア様に手を繋ごうと提案するのは少々緊張する。

「遠慮しておくわ」と断られたらどうしよう。

 外見が大人っぽくなるだけでここまで緊張するのか。


 俺の心配は杞憂だった。


「ご主人様。もしよければなんだけど……」


 リリア様のほうから提案があった。

 はっきりと言葉には出さないが、

 彼女の視線から何を言わんとしているのかくらいわかる。


 自分の右手をチラチラと見ている。

 緊張のせいか顔が少し赤くなっている。


 今度は俺の方から手を差し伸べた。


「お姫様。もしよければ俺と手を繋いでくれませんか?」

「ええ。とても嬉しいわ」


 リリア様は嬉しそうに微笑んだ。

 リリア様と手を繋いだ。

 さらにお互いの指をそっと絡ませた。


 リリア様と王都の観光スポットを回っていく。

 クールな返事こそ多いが、その目はとても輝いており、年相応の反応が可愛らしかった。


「人間の街は何度見ても飽きないわね。歩くするたびに新しい発見があるわ」

「リリアに喜んでもらえてうれしいよ」


 リリア様はとてもご機嫌だ。

 時計台で時刻を確認すると12:00になっていた。

 そろそろランチの時間だな。

 リリア様はどういった店に連れていくと喜ぶんだろう。


 リリアと価値観は同じっぽいから、ホットドック屋とかに連れていくととても喜びそうだが、

 一応デートだから若者向けのおしゃれな店に連れて行った方がいいのかな。

 こればかりはわからない。

 選択ミスをするのも怖いし、素直にリリア様の希望を聞いておこう。


「そろそろ昼食の時間だな。リリアはどういったのが食べたいんだ?」

「そうねぇ……。なんだか甘いものが食べたい気分ね」

「なるほど。じゃああそこのパフェ屋さんとかどうだ?」 

「ええ。そこに行きましょう」


 リリア様とお店に入る。

 当然であるが奴隷としての扱いはNGだ。

 テーブル席へと案内される。

 リリア様と向かい合うように座った。


 どうやらパフェ専門店のようだ。

 たくさんのメニューが並んでいる。

 なにを頼めばいいのかさっぱりわからないので定番のメニューを頼むことにした。

 俺はチョコレートサンデーを頼んだ。

 リリア様はストロベリーサンデーを頼んだ。


 数十分後、注文したメニューが到着した。

 とても美味しそうだ。

 チョコレートアイスを口に運ぶ。

 チョコの甘みが口へと広がる。

 大人の味だ。


 リリア様もストロベリーサンデーに満足しているようだ。

 彼女の笑顔が一番の喜びだ。


「ご主人様も一口いかが? とても美味しいわよ」

「どれどれ。一口もらおうかな」

「せっかくだから私が食べさせてあげるわ」


 リリア様はアイスと苺をスプーンですくって俺の口に近づけた。

 これは恋人同士にしかできない幻の食べ方。

 リリア様にあーんさせてもらった。

 甘酸っぱい苺とリリア様の愛情が口に広がった。

 とても最高だ。

 この店を選んでよかった。


「こっちの私とばかり楽しんでいると変身前の私が嫉妬するかもね」


 リリア様がそう言った。


「同一人物じゃないのか?」

「同じ存在よ。記憶も共有しているし、価値観もまったく同じ。でも心のどこかでは『今の自分』を見てほしいという気持ちになってしまうものよ。『こちらの私』ばかり構っていると、変身が解けた後に『あちらの私』が拗ねているかもしれないわね」

「もう……。リリアは意地悪だな。そんなこと言われるとご主人様が困っちゃうじゃないか」

「ふふっ、ごめんなさいご主人様。一緒にいるのがとても幸せでご主人様をからかいたくなったのよ」


 リリア様は明るく笑った。

 彼女の笑顔を見て、俺は自然と口元を緩めた。


 午後は公園でくつろぐことに決まった。

 本屋で絵本、屋台でホットドックとオレンジジュースを買って、公園へと到着した。

 休日は家族連れでにぎわっていた。

 子供が楽しげに走っている。

 平和だなぁ。


 アイテムボックスよりシートを取り出して芝生に広げる。

 二人で寄り添うように横になった。

 俺はリリア様に絵本の読み聞かせをする。


「すごくロマンチックな物語ね。これに登場する騎士様はご主人様みたい」

「俺はこの騎士のように強くないよ。でも、リリアが悪い魔女に囚われたなら命がけで助けにいくよ」

「……ご主人様。本当に大好きよ。この時間がずっと続けばいいのに」


 リリアは俺の頬にキスをした。

 順調に好感度が高まっているのを感じる。

 エスコートに失敗したらどうしようと思ったけれど、ご主人様としての努めはしっかり果たせたようだ。

 デートは無事成功した。



 検証結果その一。

 変身しても彼女の価値観は同じ。



 夕方になった。

 公園にいる人々も帰り支度を始めている。

 そろそろ俺達も家に戻ろうかな。


 公園をあとにして、リリアと手を繋いだまま道を歩いていく。


「今日は本当に楽しかったわ。また誘ってくれるかしら?」

「もちろん。リリアさえよければいつでも」

「その言葉を聞けて安心したわ。こうしてアナタと一緒に道を歩く。それだけでこんなに幸せだと思わなかったもの」

「俺もリリアと一緒にいれて幸せだよ。頼りないご主人様かもしれないけれど、これからもよろしく頼む」

「こちらこそ。リリアはいつでもどの姿でもアナタを守るわ。悲しみからこの私を救い出してくれた愛するアナタのためならば、私はどんな敵もこの手で倒してみせるわ」


 リリアはそう言った。

 夕日に照らされた彼女はどんな絵画よりも美しく見えた。


 冒険者ギルドの前を横切ったタイミングだ。


「なんだと!? やるのかテメェ!」

「上等だオラ!」


 なにやらギルドの中が騒がしい。

 窓から覗いてみると広場のところで喧嘩が起きているのがわかった。

 冒険者同士での喧嘩は珍しくない。

 あいつら喧嘩っ早いからな。


 ただ、今回は少しだけ特殊だった。

 青年が他の冒険者にボコボコにされていた。


 あの青年には見覚えがあった。

 俺のことを真の仲間じゃないって見下してクビにした剣士クラウスだった。


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