そうしてしにたいの/コト、バ/可憐に、嘲笑を。
■そうしてしにたいの
枯れて しぬ より
散って しに、
この身が土へとかえって
万物の贄となる。
そうしてわたしは
しにたいの。
なのにどうして世界は
わたしがここから去ろうとするときだけ優しくするの。
どうか、同情はやめて。
何の未練もなく しのう と思ってたのに。
無事に しのう と思ってたのに。
優しいあなた、どうか邪魔をしないで。
■コト、バ
言葉は無意味に過ぎないと
哀しくあなたが囁くから、
言葉は不必要なのですかと
淋しくわたしは呟いた。
わたしの言葉が消えて、
あなたの言葉が滑り出す。
言葉は無意味に過ぎないけれど、
言葉は不必要ではないのだと。
それは、あなただからだと。
それは、言葉を発するのが
あなただからだと。
わたしはあなたにもっと
言葉を求めたけれど、
あなたの言葉はもう届かない。
だからわたしたちは、
哀しく淋しく、
理由を見つけて生きてゆく。
■可憐に、嘲笑を。
愛しいこの世界で
もしもあなたと二人なら。
あなたは冷淡に、微笑を。
わたしは可憐に、嘲笑を。
過ぎ行くこの瞬間を
もしもあなたと二人なら。
きっと互いを疎んじ、
ただただ終末を願うだけ。
手繰れ手繰れ 運命の糸
啜れ啜れ 今際の血
あなたはそうして懸命に。
わたしはこうして卑劣に。
早く今が過ぎないか、
空虚な時間の穴埋めに。
あなたはどうしてそんなに懸命に。
わたしはそれゆえこんなに卑劣に。
生きる時間を持て余し、
ただその一瞬の戯れに。
同じ世界に囲まれて。