青い薔薇/無音
字数が足りなかったので二つ一緒に公開してあります。
■青い薔薇
優しくないわ
ほら、棘があるでしょう
触れられないわ
ほら、血が伝うでしょう
絡まる朱 あなたの指に
細く捻れる 赤い糸
だけれど、わたしは悪くないわ
だって、これも何かを守るため
青く青く光るわたしの
花びらなの? 魂なの?
どちらでもいいわ、
そんなこと今さら
だって、もうこの茨の渦の中
綺麗ですか
ねぇ、こんなに枯れ果てても
見てくれますか
ねぇ、黒に染まっても
落ちた滴 わたしの頬に
雨より素敵よ あなたの涙
だけれど、わたしは素直じゃないわ
だって、これも誰かを守るため
赤く赤く落ちるあなたの
血潮かしら? 生命かしら?
どちらでもいいわ、
そんなこと今さら
だって、もうこの茨を抜けたでしょう
■無音
たっぷり傷ついた後に
癒されるのが、
たまらなく心地良いの。
さあ、早く、
わたしを八つ裂きにして頂戴。それから、優しく、
傷を撫でて頂戴。
ほんとにわたし、酔狂だわ。
アナタノ声モ響カナイ。
ただ欲しいのは、最高の治癒。
アナタノ声モ響カナイ。
なんて無音なわたしのこころ。
わたしもあなたも望んでいるのだから。
罵られて、蹴って殴られて、傷つき過ぎて一周して、元の自分に戻るのを。
ほんとにとても、酔狂だわ。
誰もが自分の存在を
否定したとして、
尚もそこに
居なければならないとき、
傷ついているのだと
気付かないほどに狂うのを、
望んでいるのだから。
アナタノ声モ響カナイ
なんて無音なわたしのこころ。