すげェー刀
(な、なんだこれは)
カルラは混乱していた。弱いと思っていた目の前の人間の容姿が変わり、髪は金色に、目は青色に変化していた。さらには先ほどより身長も伸びている。だいたい190cmくらいだろうか。その佇まいからは強者の覇気が感じ取れる。数秒前の人間とは明らかに別人であることは誰の目から見ても明らかだった。
トールがカルラに喋りかける。
「君悪い子だね、だから俺が目覚めちゃうんだよ。もっともっと良いことをしなきゃ♪」
カルラは急な変化に驚いてはいたが、自分の強さに絶対的な自信を持っていたので馬鹿にしたように言った。
「あっっはー! 俺は人を殺すことも、いたぶることも悪いことだと思ったことはねェーよ!! それにどーやったのかは知らねェーが物に頼るやつには負けるはずねェー!!」
ノープラン突っ込んで行ったカルラの拳を軽々と避けながらトールは言う。
「反省の余地なし、死刑執行だね♪」
「あ? かっこつけてんじゃねェーぞ! クソ凡愚が!!」
トールはニコッと笑って言った。
「大丈夫、君も強制的に理解できるよ♪」
「俺が逆におめェーが雑魚だって解らせてやるよ!」
トールは笑顔を崩さないまま刀を取り出して言った。
「黒楽天抜刀」
トールが黒楽天を鞘から抜くと黒楽天の刀身が姿を現した。その刀身は黒く、禍々しいオーラを放っている。
カルラはそのオーラに驚き、一瞬動きを止めた。その時間は0.1秒ほどだったが、トールはその隙を見逃さずに距離を詰める。
「やべっ」
カルラは慌てて右腕で防ぎ、左腕で反撃しようとするがそれはできなかった。カルラが自分の右腕がないことに気がついたからだ。カルラは反撃することを諦めてトールから距離を取った。
「おいおい、なんで防ぎ切れてねェーんだよ!!」
カルラは自分の体の硬さに自信があった。実際カルラを斬ろうとした者は何人か居たがカルラの体を傷つけることは疎かカルラを斬ろうとした刀は全て折れてしまった。
だから今回も右腕で防げば刀身が折れ、驚いた隙に反撃ができるだろうと思っていたのだ。しかし実際はどうだろう。刀身は折れるどころかカルラの右腕をあっさりと斬り落としたのだ。カルラが動揺するのも無理はない。ただカルラの動揺はそう長くは続かなかった。
「あっっはー! すげェー刀じゃねェーか!!」
「右腕を斬られてるのによく笑っていられるね♪」
トールがそう言うとカルラは余裕そうな笑みで言った。
「安心しろよ、おめェーの刀が俺を斬ることはもうねェーよ! 『蛇王装甲』」
その瞬間カルラの体が光ったかと思うと、折れていたはずの右腕が義手のような物によって補われていた。だが、特に他の変わったところは見当たらない。
「右腕を補ったからなに? それで俺との圧倒的な差が埋まったわけじゃないよ♪」
トールはカルラに一気に近づき、今度は仕留め損ねないように首に狙いを定めて確実に突き殺した。
(取った♪)
トールがそう思っていると頬に強い衝撃が走り、足が地面から離れ、次は背中に強い衝撃が訪れた。トールの後ろには木があった。そして視界の先には折れた黒楽天と無傷なカルラがあった。トールは起き上がり、口から溢れた出た血を拭いながら言う。
「おっかしいな、確かに刺した感触はあったんだけど…?」
トールが困惑しているとカルラが笑いながら言う。
「さァさァ、第2ラウンドと行こォーか!!」
「黒楽天修復」
トールは折れた黒楽天を修復し、真剣な眼差しでカルラと相対する。
「仕方ないね、油断しちゃった俺が悪いや♪ 本気で行くよ!!」
トール対カルラの戦いはまだ始まったばかりだ。
まだまだ始まったばかりとか言ったけど
次でトール対カルラは終わらせます!
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明後日くらいには投稿したいな(ボソッ