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意思持ちドールの生きる道  作者: わかるぱ
12/19

トイレならあっち

 イアは困惑していた。

「あ、あのー、、、クロノさんがここに来てと言うから来たんですけど、どちら様でしょうか」


 クロノに来いと言われた場所に来たら知らない女の子2人とお人形が立っていたのだ。

「我はララなのだ!!」

「わ、私はルルなのであります‼︎」

「私はスズよ!!」

 ララとルルとスズが自己紹介をする。


「わ! 人形がしゃべった!?」

 イアが驚くとスズはふてくされながら言った。

「人形だって喋りたくなる時くらいあるわよ!」

「そ、そうなんですね」

 イアが困惑しながらもとりあえずツッコミを放棄する。

「普通の人形はないと思う、、、」

 代わりにルルが突っ込むがスズは華麗にスルーし、こう言った。

「この私が戦闘訓練を施してあげるわ! 感謝しなさい!!」

「戦闘訓練なのだー!!」


 イアは突然のことで頭が回らない。

「えっ!?」

「クロノに頼まれたからお前を強くしてやるのだー!」

「お客様にお前なんて言っちゃダメであります‼︎」

「イアって呼ぶのは変な感じがして、こう、ムズムズするのだ!!」

「文句言わないのであります‼︎」

「文句じゃないのだ!! 言い訳なのだ!!」

 また双子ワールドが始まろうとしていた。慌ててスズが止める。


「ほら! 早速訓練するわよ!!」

「あ、あの、訓練って私は一体何をすれば」

「ライトスピア」

 イアが言い終わる前にララが魔法を放つ。その魔法はイアの頬に掠り、イアに傷をつける。


「え?」

「クロノから容赦するなと言われたのだ!」

 ララがそう言うとルルが捕捉で説明してくれる。

「致命傷からは私がお守りしますが、それ以外は放置なので多分、、、血はいっぱい出るのであります」

「私は暇だから来ただけよ!!!」


 イアの顔がどんどん青ざめていく。

「じゃあ、頑張って避けるのだ」

 ララはニヤリと笑みを浮かべ魔法を放つ。

「ライトボール!」

 イアが慌ててしゃがむと、ライトボールが当たった地面がえぐれていた。

「ま、待って!」

 イアが叫んでも魔法を打つ手は止まらない。


「ライトスピア、ライトスピア、ライトスピア、ライトスピア!! わっはっはっはっ!!我に傷を付けられたら今日の訓練は終わりなのだー!」

(傷をつけるって武器もないのにどうやってやんのよ!)

 イアが心の中で文句を言っているとルルがララのことを止める。

「一旦ストップ」

 しかしそんなことじゃララは止まらない。

「今乗ってきたとこなのだ!!」


 ララはルルと会話している時も魔法を打ち続けている。

「仕方ないのであります、影縫い」

 ルルは影魔法を使って無理やりララを止める。

「何するのだー!! これじゃ戦闘訓練できないのだ」

 ララは暴れるが魔力を温存して戦闘訓練を長くやるつもりなのか脱出するための魔法を使わない。魔法を使わないララではルルの捕縛魔法からは逃げられない。


 ルルはその間に用件を伝える。

「クロノさんから預かった槍をイアさんに渡してないのであります」

「あ、すっかり忘れてたのだ!! スズ、槍を出すのだ!!」

「あ、そうだったわ!! 悪かったわね!」

 スズが謝り、槍を無限収納から取り出して渡す。


「なんでよ! 攻撃受け損じゃんか!!」

 これにはさすがのイアも文句を言う。するとララは余裕の表情で言った。

「しょうがないのだ、1分間はここから1歩も動かないでやるのだ」

「えっ? いいの!?」

 いくらイアが弱いとは言っても、動かない相手に槍を突き刺すのは簡単である。

「もちろんなのだ!」

「なら遠慮なく!」


 イアがララに向かって走る。しかし、イアの槍がララに届く直前、ララが叫ぶ。

「クリアシールド!!」

 するとララの前に透明な壁が現れ、イアの攻撃を防いだ。

「ちょ、ずる!」

「わっはっはっはっはっはっ!! 魔法を使わないとは言ってないのだ」


 その後もイアの槍が動かないララに当たることはなく1分間が経過した。

「さぁ、反撃なのだ!!」

 ララが魔法をイアに向かって放とうとすると、馬車の外から叫び声が聞こえてきた。

「誰かあぁぁぁ!!! そこの馬車に乗っている人、私を助けてくださーい!!!」


 ララは無視して魔法を打とうとするが、ルルが真面目な顔をして止める。

「ララ、普通の魔物ではなくかなり異様な姿をした人間が獣人を襲っているようです。もしかしたら蛇王教の者かもしれません。こういう時の対応はクロノがやると決まっていますが今回は私たちも出るのであります」


 ルルは遠見の魔法を使って外の状況を把握してララに伝えた。これに対して、ララは渋々了承する。

「むぅ、了解なのだ。ルルが魔法で見たなら間違いないのだ。残念だけど戦闘訓練は中止なのだ。お前はここで待っているのだ」

 そう言ってララとルルは馬車の外に走っていってしまう。


 こんな状況でもスズは呑気にお茶を飲んでいる。

「取り残されたわね。向こうのことはララたちに任せてお茶会でも開きましょう」

 そう言ってスズがイアにお茶を勧めるが、イアはなんだかソワソワしている。

「あら? そんなにソワソワしてどうしたのかしら? トイレならあっちよ?」


 スズが聞くと、イアは走りながら言う。

「私は足手まといかもしれないけど、やっぱりみんなが心配だよ!!」

 イアが走り去るのを見てスズはお茶を嗜みながら言う。

「トールの人形以外はトールの許可がないとこの馬車から出られないというのに、、、」

読んでくれてありがとう!!

感想やアドバイスなどお待ちしております!!

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