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職業選択の自由1 ~ネクロマンサーを選択した男~  作者: 新米少尉
職業選択の自由
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決勝戦 イザベラとの再戦

 ゼロは分銅を回しながらイザベラと間合いを取る。

 イザベラのサーベルの間合いの外で分銅の射程内という微妙な距離を保つ。

 今日は鎖鎌に連結してあるボーラは外してある。

 そんな小細工が通用する相手ではない。

 背後に立つレナは様子見をしているようで、魔力の変化は感じられない。


「まずは、戦いの場を綺麗に整えましょう」


 イザベラの声にヘルムントが浄化の祈りを展開した。

 強力な浄化の結界が闘技場全体を包んだ。


「ヘルムントの浄化は強力ですの。これでアンデッドは呼べませんわよ」


 イザベラは勝ち誇ってゼロにサーベルを向ける。

 ゼロは分銅を回しながら結界の様子を見ていたが、表情を変えることなくイザベラに冷たい視線を送る。


「それはどうですかね?」


 言うや否や無造作にスケルトンナイト3体とスペクター2体、ウィル・オー・ザ・ウィスプ1体、そしてバンシーを召喚した。

 いずれもが上位アンデッド、浄化にはある程度の耐性がある。


「強力な結界ですが、彼等ならば問題なさそうです。さあ、死霊術師の戦い、その身で存分に味わってください」


 ゼロの合図でアンデッド達が前進する。


「相変わらず、ホントに忌々しいですわ!」


 イザベラも浄化の祈りを展開し、それにスケルトンナイト1体が捕らわれて姿を消した。

 しかし、直ぐにゼロの前に這い出してくる。


「無駄ですよ。彼等を止めるには私を倒すしかありません」


 アンデッドがイザベラを取り囲んで次々と攻撃を加え始めた。

 スケルトンナイトの物理攻撃、スペクターの衝撃魔法にウィル・オー・ザ・ウィスプの火炎魔法にバンシーの氷結魔法の波状攻撃である。

 イザベラはそれらの攻撃を難なく躱すが、その間隙を突いてゼロの鎖鎌の分銅が投擲され、更にレナの雷撃魔法が襲う。

 それすらも全て捌いたイザベラはゼロに向かって跳躍して距離を詰める。

 鎧を身に纏っているとは思えない高い跳躍でアンデッドの包囲を飛び越えたイザベラはゼロに肉迫する。

 ゼロは分銅を引き戻そうとするが間に合わない。

 イザベラのサーベルがゼロの喉元に突き出される直前、ゼロの光熱魔法が光った。

 咄嗟に身体を倒して避けたイザベラだが、その額をゼロの魔法が掠め、一筋の傷を刻んだ。

 しかし、イザベラは引かない。

 そのままゼロに体当たりしてゼロを押し倒すとゼロに馬乗りになってサーベルを振り下ろす。

 スケルトンナイトがゼロとイザベラの間に大盾をねじ込んでイザベラのサーベルを受け止めた。

 その隙に後方に飛び退いたゼロは直ぐにイザベラに飛びかかり、鎌を振り下ろす。

 振り下ろされた鎌をサーベルで受け流したイザベラはサーベルの柄でゼロの腹部を打ち、ゼロが体勢を崩したところに首筋を狙ってサーベルを振り抜いた。

 間一髪、ゼロは鎖を張ってイザベラのサーベルを受け流し、即座に分銅を振るう。

 唸りを上げた分銅がイザベラの横腹、鎧の装甲が薄い部分を直撃した。


「グッ!」


 重い一撃を受けて動きを止めたイザベラを狙ってアンデッド達が躍り掛かるが、その動きが鈍い。

 ヘルムントが広範囲浄化を維持しながらより強力な浄化の祈りを展開し、それにスペクターと槍装備のスケルトンナイトが捕まって姿を消す。

 他のアンデッドの攻撃もイザベラに躱された。


「やはりアンデッドの動きが鈍い。一度戻しますか・・・。いや、彼等無しでは勝ち目が無くなりますか・・・」


 ゼロは再度スケルトンナイトとスペクターを召喚しながら光熱魔法でアンデッドを援護した。

 レナもゼロの動きに呼応して雷撃魔法でイザベラを追い詰める。

 ゼロ達の猛攻にイザベラは攻勢に転じられずにいた。


「このまま押し切れる、なんてことはないでしょうね」


 守りに入っているとはいえイザベラの動きにはまだ余裕がある。

 ここで判断を誤れば一気に形勢は逆転するだろう。


「やはりここは攻めの一手です!」


 ゼロは自ら前進して分銅を投擲し、イザベラの持つサーベルに絡みつかせた。

 一気に引き戻し、イザベラの体勢を崩そうとしたその時、イザベラはなんの躊躇も無くサーベルを手放した。

 虚を突かれたゼロが逆に体勢を崩す。

 その隙にイザベラが一気に距離を詰める。

 やはりアンデッドの追撃が間に合わない。

 ゼロは鎌を横薙ぎに振るうが身を翻して躱され、首筋に回し蹴りの直撃を食らった。

 イザベラのキツい一撃にゼロは吹き飛ばされ、鎖鎌を手放してしまう。

 転がるゼロにサーベルを回収したイザベラが追撃をかける。

 レナが火炎弾で援護し、ゼロも袖口に隠した投げナイフを投擲して牽制してイザベラの追撃を鈍らせようとする。

 そして、イザベラが火炎弾を躱し、ナイフを叩き落とす間にどうにか体勢を立て直したが、軽い脳震盪を起こしたのか足元がおぼつかず、膝をついてしまう。


「ここまでかしら!」


 イザベラがとどめの一撃を繰り出そうとしたその直前、アンデッド達がゼロを守るようにイザベラの前に立ち塞がり、更にその目の前にバンシーが氷の防壁を作りだす。


「チッ!ホントに憎々しくて忌々しいですわ」


 イザベラは後ずさりながら舌打ちする。


「聖職者の方にそう言ってもらえると光栄ですよ」


 ゼロはゆっくりと立ち上がって剣を抜いた。

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