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職業選択の自由1 ~ネクロマンサーを選択した男~  作者: 新米少尉
職業選択の自由
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決戦 二つの死闘4

 ゴッセルの攻撃の直撃を受け、壁に叩きつけられて意識を失っていたゼロだが、数分と経たずに目を覚まして飛び起きた。

 直ぐに状況を確認する。

 ゴッセルにはオメガ、サーベル、スピア、2体のジャック・オー・ランタンが猛攻撃を加えている。

 攻撃そのものはゴッセルに通用していないようだがそれでも次々と加えられる攻撃を振り払うためにゼロに近づくことができずにいた。

 自分の身体の状態を確認してみれば、胸と肩が酷く痛む、骨にヒビ位は入っているかもしれないが、戦いは続けられる。

 ゼロは剣を構えて隙を窺った。

 ゼロの狙いを感じ取ったジャック・オー・ランタンがゴッセルの正面から業火を浴びせかけて視界を塞ぎ、サーベル、スピアが左右から斬り掛かる。

 その瞬間を狙ってゼロはジャック・オー・ランタンの炎の中に飛び込んだ。

 炎を突き抜け、地を這うように姿勢を低くしてゴッセルの左脚目掛けて剣を振り抜く。

 モースの打った剣は魔王の強靭な身体に負けることなくゴッセルの左脚を刈り取った。

 バランスを崩して倒れるゴッセルにサーベル、スピアが剣や槍を突き立てるが彼等の武器ではゴッセルに通らない。

 ゼロが斬り掛かろうとするが、その時、ゴッセルから異様な魔力の高まりを感じた。


「直ぐにそいつから離れなさい!」


 後方に飛び退きながらアンデッドにも退避を命令し、飛び退いたゼロの前にシールドが大盾を構えて立ち、アルファが氷壁で守りを固める。

 その瞬間、ゴッセルの魔力が爆発的に広がり、退避が遅れたサーベルがバラバラに吹き飛ばされた。

 退避が間に合ったオメガ達ですら勢いに巻き込まれて壁に叩きつけられる。


 ゴッセルの身体が更に変質し、より強靭な脚部が再生し、2本あった右腕は結合して太い1本の腕が生まれ、身体も一回り大きくなった。


「余がここまでの痛痒を受けたのは初めてだ。普段はゴッセルが矢面に立っていたものだからな。余に戦いを挑んできた人間は・・・千年ぶりか?あの時に勇者を名乗っていた人間を塵も残さずにすり潰してやったものだ」


 赤い目でゼロを見下ろしながら静かに語るゴッセル。

 先ほどまでも圧倒的だった力が更に増大している。


「先ほどまでは絶望的とは思っていませんでしたが・・・これは、本当にキツいですね」


 そう呟くゼロだが、それでもこの戦いに負けるつもりはない。


(どうしますか・・・。小手先のごまかしやはったりは通用しませんね)


 ゼロは周囲を見渡した。

 バラバラになったサーベルも復元し、オメガ達もゼロの前に集結してゴッセルに対峙している。

 

「やはり、真っ向勝負しかありませんね」


 更にデュラハンとスペクターを2体ずつ召喚した。

 ゼロの前にオメガ、サーベル、スピア、シールド、デュラハン2体、ジャック・オー・ランタン2体が並び、背後にはアルファとスペクターが2体控える。

 

「小細工無しの全力戦闘ですっ!」


 ゼロの命令の下、11体のアンデッドが魔王ゴッセルに挑みかかった。


 一方、こちらでも力を解放したゴッセルに対峙していたレオン達はゴッセルの攻撃に晒されて防戦一方になっていた。

 カイルとルシア、セイラの守りだけでは足りず、聖騎士のイザベラ、アランも守護の祈りを展開している。

 そして、レオンが皆の守りの中で槍の耐久力に任せてゴッセルの剣撃を辛うじて受け流しているが、それが精一杯だ。

 ダメージを受ける度にルシアが回復してくれるが反撃に出られなければ手詰まりである。

 そして何よりもセイラの消耗が深刻になっており、祈りを続けてはいるものの立っていることができず、両膝をついている。

 新米聖女故にシーグルの神の加護を掛け続けるのが著しく負担になっているのだ。


「このままだとセイラさんが危ない。こうなったら一か八かっ!」


 レオンが無理に反撃を強行しようとするが、それをイザベラに止められる。


「無謀なことはお止めなさい!今は耐えて一瞬の機会を見定めなさい!」


 イザベラの声にレオンは踏みとどまるが、レオンとてこれ以上ゴッセルの攻撃を受けきることは難しくなってきている。


「くそっ!何か手はないのか!」


 歯噛みするレオンだが、ゼロ同様に諦めてはおらず、不利で追い詰められた状況からも起死回生の一瞬のチャンスを狙っていた。

 

 ゼロもレオンもゴッセルを相手に最終局面を迎えつつあった。


 その頃、地下墳墓に潜ったオックス達は墳墓内を彷徨っていたアンデッドの攻撃を受けていた。

 それは脅威にもならない下位アンデッドから地下墳墓の主たる帝国皇帝一族のそれまで、多数のアンデッドに囲まれながらもその中を突き進んでいた。


「竜人の誇り!小官の槍捌きをとくと味わうがいい!」


 先頭にコルツが立ち、槍を振るって突破口を開き、それにライズとイズが続く。

 レナ、リリス、イリーナ、リズが援護しながら後を追う。


「凄い数だな!ゼロは1人でこの中を突破したのか!」


 殿を守るオックスが背後から迫るスケルトンを叩き潰す。


「周りに残骸が無いわ。ゼロのネクロマンサーの力に抑え込まれて戦闘にすらならなかったんだわ」


 レナがコルツの更に先に雷撃魔法を撃ち込む。

 

 一刻も早くゼロの下に行かなければならない。

 8人は地下墳墓を道を切り開きながら駆け抜けた。

 ゼロが戦う最深部まであと少し。

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