町と冒険者ギルド
町に帰るまで、3匹の狼の毛皮と肉は俺が持つことに。
機械の体のおかげで重くない。
町まではアイリスが先導してくれることになった。
道がわからなかったので、助かった。
森を抜けると、街道があり、道なりに行くとすぐに町まで着いた。
死の湖の近くを通ったらしく、道中危険な生き物には出会わなかった。
「並んでるな」
町は壁で囲まれており、入口には行列が出来ていた。
町に入る際に、皆身分証のような物を門番に提示している。
「よし、通っていいぞ。次の者前へ」
俺とアイリスの番になった。
「身分証を提示してくれ」
「はい」
アイリスは門番に紫色のカードのような物を見せた。
「よし、通っていいぞ。そっちの男も身分証を提示してくれ」
「すいません。持ってないです」
「そうか。なら、犯罪歴がないか、少し調べさせてもらうぞ」
「あ、はい」
門番はカメラのようなものを構えて、俺の全身を写した。
「よし犯罪歴はないようだな」
あ、今ので犯罪歴わかるんだ。
「それなら、税として銀貨1枚払ってくれ」
え? 町に入るのにお金払わないとダメなのか?
まずい。お金のこととかまったく考えてなかったぞ……。
『呆れてものも言えませんね』
わかってたなら教えてくれよ……。
『教えてどうにかなりましたか?』
……どうだろう。そう言われると弱い。
もともとお金なんて持ってなかったし、どうしようもなかったように思う。
……ん? いや、気付いていたら、事前にアイリスに聞けたじゃないか。
「どうしました?」
アイリスが聞いてきた。
やばい。どうしよう。
もう正直に言ってしまった方がいいか。
「あの、俺……お金持ってないんだよね」
「え?」
◆ ◆ ◆
「ごめん……」
「命を助けてもらったんですから、このくらいお安い御用です」
アイリスは笑顔でそう言ってくれるが、俺は罪悪感で胸がいっぱいだ。
結局、町へ入るためのお金は、アイリスに代わりに払ってもらった。
町へ入ることはできたが、その時、門番の人にすっごい蔑んだ目で見られた。
『ここの門番は見る目があるようですね』
遠回しに俺のこと貶すのやめて。
仕方なかったとはいえ、恥ずかしい行いだったのは分かってる。
ただ、そのせいで門番の俺に対する印象が最悪になってしまった。
『よかったじゃないですか。正しく認識してもらえて』
全然良くないから!
またあの目で見られたらと思うと気が滅入るな。
その後、アイリスと一緒に冒険者ギルドに行き、狼の毛皮と肉を換金して、お金を手に入れることができた。
狼の毛皮と肉を持って帰ってきてよかった。
金額は銀貨12枚になった。
アイリスと2人で分けて、俺は銀貨5枚受け取った。
町に入るときの税金分をアイリスに返したので、俺の取り分の方が少ない。
お金を分ける際に、アイリスは遠慮していたが、解体したのはアイリスだし受け取ってもらった。
ついでに、冒険者登録も済ませることにした。
冒険者証があれば、身分証として使えて、町に入るときの税金が免除されるらしいからな。
「私はここで待っているので、どうぞ行ってきてください」
アイリスは冒険者ギルドの中で待っててくれるらしい。
「ありがとう」
俺は受付へと向かった。
「こんにちは。ご用件はなんですか?」
「冒険者の登録がしたいんですけど」
「わかりました。まずは犯罪歴を調べさせていただきますね」
そう言って受付の女性はカメラのようなものを取りだして、俺の全身を写した。
「犯罪歴はないようですね」
便利だなそれ。
「確認が取れましたので、登録手続きに移ります。冒険者の登録には銀貨1枚が必要です」
そうなのか。
先に換金しておいて良かった。
今はお金があるから大丈夫だ。
俺は銀貨1枚を、受付の女性に渡した。
「はい。では、こちらの用紙に氏名をお書きください」
名前だけでいいのか。
って、文字って日本語でいいのだろうか?
『この世界の言語・文字情報は、最初から本機体にインストール済みです』
なるほど。
だから、違和感なく会話ができていたのか。
じゃあ、普通に書いても問題ないってことか。
俺が日本語だと思っているものは、実際にはこの世界の言語ってことらしいし。
「カイ・ユウトさんですね」
名前を書いた用紙を渡すと、受付の女性は何か作業をしてから1枚の白いカードを取りだした。
「こちらが、冒険者カードになります」
「どうも」
冒険者カードには、〈カイ・ユウト Cランク〉と書かれていた。
「冒険者についての説明は必要ですか?」
「はい」
「それでは説明しますね」
「お願いします」
「まず、冒険者のランクは、下からC、UC、R、SR、SSR、UR、Lとなっています」
あれ? なんかソシャゲで見たことあるようなランクシステムだぞ?
「依頼は、あちらのクエストボードで確認してください」
受付の女性が指し示した先には、冒険者の人だかりがある。
皆クエストボードの前で、どの依頼を受けるか考えているようだ。
「依頼には推奨ランクが設定されており、そのランクに満たない場合は受注できません」
てことは、最初はCランクの依頼しか受けられないのか。
でも、上のランクに上がれば選択肢が増えるな。
「ランクを上げるには、自身のランクと同ランクの依頼を一定回数達成することが必要です」
つまり、自分のランクより下の依頼を受けてもランクは上がらないってことか。
「基本的に、冒険者同士や依頼主との間に起きたトラブルに対して、当ギルドが干渉することはありません。ただし、犯罪行為に関しては厳しく対応します」
少々の問題が起きても、自己責任ってことか。
シビアだなー。
「以上です。何か質問はございますか?」
「いいえ、ないです。ありがとうございました」
俺は受付の女性に礼を言って、アイリスの元へと向かった。
「待たせたね」
「いえ、では行きましょうか」
俺はアイリスと一緒に冒険者ギルドを出た。
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