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姫重装と追跡者(クイーンボルデ)  作者: かずとん。
第一章『姫重装編』
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第12話「写真と決意」

イヴと少し話したあと、俺は散歩に出る。少し長めに話してしまったからか、空は既に明るい。散歩コースとして城の周りを歩くことにした。


「ちゃんと城の周りをみたことなかったし、丁度いいか。」


俺は城の玄関を出ると城壁に沿って歩き出す。城壁には見張り台がいくつもあり、そこに警備が交代で城の周りを監視している。警備が纏っている鎧の肩にマルドゥを示す紋章『聖竜(マエストロ)』が描かれている。


「そう言えばあの聖竜はどこにいるんだろ?」


歩きながら考える。召喚とかしてよびだしているのだろうか?


「どうせなら少し探してみようかな、また見てみたいと思っていたしな」


俺は適当に城の裏を歩き出す。明日には騎士団に入るか決めないといけない。昨日も考えていたら寝てしまったし、例え断ってもイヴは大丈夫だが他のエルフ達は...考えながら歩いていると大きな扉が正面に現れる。


「こんなものがあったのか、何か飼育してる場所だろうか?牛とか?」


俺は周りに誰も居ないことを確認して扉を開ける


「お邪魔しまーす、まぁ誰も返事はないわけだけど」


そう呟いていると


『誰ですか。ここは一般人が入る場所ではないですよ』


そんな声が聞こえた。あ、やばいと思ったが話しかけて来た方向を見ると。居た。あのデカイ聖竜(マエストロ)


「やっぱり、デカイ。というか誰かに話しかけられた筈なんだが....」


キョロキョロする俺に対してまた話しかけてくる誰か。


『私です。貴方の心に話しかけているのです』


俺は、目を点にして一瞬固まる。そして


「ど、ドラゴンが喋った!?これもエルフのドラゴンだからか?」


喋ったドラゴンにパニクる俺を無視して


『青年。ここは貴方が来る場所ではないです、去りなさい。』


「いや待ってくれ。なんで俺はドラゴンの喋ってる言葉がわかるんだ?!」


『ん?それは貴方がエルフの一族だからでは?』


「いやいやいや、俺の耳は人間だぞ?ドラゴンの力じゃないのか?」


『それはないです。そんな力はありませんし、それに私の言葉を理解できるのは上級以上のエルフとなります』


つまりは、中級エルフのマリア達にはわからないのに、なぜか俺はわかってしまう。謎なんだが


「たまたま聞こえてるのか?よくわからないな。疲れてるのかな」


『疲れたりはしていないですよ、貴方から流れ出てるオーラは光り輝いておりますし。』


聖竜(マエストロ)は顔を俺に近づけ、じーっと見てくると


『なるほど。カルティが貴方を選んだ理由がわかりました。貴方は凄い力をお持ちのようです』


「な、なんのことだよ?凄い力って」


『いえ、それより青年。悩んでいることの答えはでましたか?』


「なんで悩んでいるってわかったんだよ?カルティ王から聞いたのか?」


『いえ、貴方の心を見たのです。その問にお悩みのようですし』


俺は地べたにドカッと座る


「いや、悩んでるんだ。俺はマリアと約束したが、人を殺めるような戦には参加したくないんだ」


『今の情勢を聞いているからわかるでしょうが、エルフだけでなく、民も危機に陥ります。貴方には必ず国や民、エルフを救う力があります。』


「その力ってなんだよ?人を殺める力か?俺は嫌だ、いくら敵でも人間だ。できない」


聖竜(マエストロ)は鼻で笑う


『貴方が救いたいと言う気持ちはその程度だった、そういう事でしたか。なら去りなさい、この地を。』


俺はムカっとして立ち上がり


「ふざけるな!俺はマリア達を救いたいに決まっているだろっ!約束だって守るつもりだ!だけどまだ俺には覚悟がないんだ、戦に出て人を殺める覚悟を」


『なら、人を殺めないように戦うのです。人を殺めない装備で戦うのです。それを貴方ならできると私は信じています。』


「む、むちゃくちゃじゃないか!人を殺めずして敵は滅びないじゃないか!」


『それを可能にできると見込みカルティは貴方を選んだのです。もう一度よく考えてください、また明日こちらへいらしてください。答えを聞かせてください』


そういうと羽をバタつかせ、風に吹き飛ばされた俺は追い出された。


「いってぇぇえ!!な、なんだよ全く!.....むちゃくちゃ言いやがって......はぁ」


俺は立ち上がり後ろの飼育木屋をチラッと見てから城の中に戻った。部屋に戻るためにメインホールを抜けていくと


「クロス様、どちらへ行かれていたんですか?」


「あぁ、ちょっと散歩にな。マリアこそ何をしていたんだ?って格好を見たらすぐにわかったよ」


マリアは給仕の格好をしていた。


「丁度休憩なんです、クロス様?宜しければ御一緒に朝食をいたしませんか?」


そうか時間的に朝ごはんだったな、あの聖竜(マエストロ)とちょっと長話してしまったからな。腹もいい感じだし


「あぁ、じゃあ一緒に食堂に行こう。」


食堂を目指し廊下を歩く。マリアは半ぽ後ろを付いてくる


「クロス様、その。お返事はお決まりになりましたか?あの、私を気にかけて迷っているなら。気にせずに自分の答えをだしてくださいませ」


マリアは立ち止まりそう言ってくれる。マリアは覚悟ができているみたいだ、戦う覚悟。俺は男なのになかなか覚悟を決められなかった。だけど、ん?待てよ?あの聖竜(マエストロ)は何と言った?『人を殺めないやり方』とか言ったな....


「ま、マリア!人を殺めないやり方で勝つにはどうすればいい!?」


「ふえぇ!?な、なんですかいきなりっ、落ち着いてくださいませっ」


「あ、あぁ、悪いつい。それより人を殺めないやり方で勝つにはどうすれば...」


マリアはニコッと微笑みながら、クロスが出した質問に答えた


「刃物ではなく、武術、武道なら可能性はあります。私のエルフの力なら!」



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