慈悲深き兵器
とある星のとある時代。
恐ろしい爆弾が作られた。
なんと一瞬で数億の命を奪うという。
「これを用いれば戦争に勝つことができるぞ」
嬉々として語る王様に博士がてこてことやって来て言った。
「王様。私ならばこの兵器をさらに素晴らしいものに変えることが出来ます」
「さらに素晴らしいもの?」
「はい。今よりももっとずっと強い威力にできるのです。どうか私めにお任せを」
王様は喜んで博士に開発を任せた。
この爆弾……もとい兵器が今よりも強くなるならば、戦争中の国どころか世界中を支配できるかもしれない。
いや、出来るに違いない。
そんな王様の心とは裏腹に博士はこの兵器にとある機能をつけた。
その機能はつまり――。
*
「王様。完成いたしました」
「おお。素晴らしい。このスイッチを押せばよいのだな?」
「はい。このスイッチを押したなら多くの命が一瞬にして失われます。そして、その威力を知った者たちは二度と戦争など起こさなくなるでしょう」
「ふむふむ。では早速使ってみよう……これで戦争は終わるぞ!」
喜ぶ王様とほくそ笑む博士。
博士は満足気に自らの作り上げた兵器を見つめた。
とても素晴らしい威力の爆弾だ。
恐ろしい威力であるが故に命は何が起きたかも知らぬままに死ねる――あまりにも慈悲深い兵器。
博士は小声で呟いた。
王様に聞こえぬように。
「王様。この兵器の範囲は素晴らしいですよ。なにせ、この星も一瞬で消えてしまいますから」
――ひとまず、博士の目論見通りこの星で二度と戦争など起こらなかった。
まぁ、そもそも星がのこっていないのだが。




