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勇者天使、堕天使に仕事を奪われる〜神に選ばれなかった近衛兵士の独白〜

作者: 狐子リエ
掲載日:2025/12/27

※本作は短編として完結していますが、反響次第で不定期に続きを書くかもしれません。

「どうしてなのですか、アテナ様!?

どうして私ではなく、あの堕天使を使ったのですか!?」


私の名はグラナロス。

天の近衛団(あまのこのえだん)に属している天使だ。

そして今、私が与えられるはずの仕事を堕天使に与えたことに対して、神を問い詰めていた。


「それはね、グラナちゃん? 貴女に非があったわけじゃないの。」

アテナ様は、まるで落ち着けとでも言うような、そんな冷たい声色で言う。


「貴女より、ファーシア……貴女の言う堕天使の方が適任だった。ただそれだけなの。それは、上級天使の貴女ならわかるはずでしょ?」


わからない。

私だったら、今回も八年もかけずに任務を成し遂げてみせる。

それに、堕天使は元天使見習い。

戦闘力的にも合理的な判断には思えなかった。


「貴女が向いてなかった理由は単純なの。」

さっきまで座っていたアテナ様が立つ。

そして、こちらを見下ろした。


「貴女は神になるには向いていなかった。あの子にはその素質があった。それ以上でも以下でもないの。」


神になる?

そんなこと聞いていない。


私が知っているのは、"アスピアと言う人物の能力を開花させる"と言うことだけ。

それがどうして堕天使に神の素質があると言う話になるのだ。


「まぁそう言う話だから、帰っていいわよ。」


……冷たく感じるセリフだが、これもアテナ様なりの優しさだろう。

この言葉を言う時は大体、アテナ様の御尊父の機嫌が悪い時。

これ以上話していたらどんな罰則を喰らうかわからない。


実際、それで軍備交渉を続けた上官の1人が処分を喰らったのを覚えてる。

……と言っても半年ぐらい残業が増えるだけだが。

ここは黙って引き下がることにする。


「わかりま」

「あっ、そうそうグラナちゃん。言い忘れてたことがあるんだけど。」

私の言葉を遮り、アテナ様が言う。


「来年の天の近衛団入団試験は厳しめにね? 今回の堕天事件は私のミスによるものが大きいけど、次やったらお父様がどんな手を使うかわからないもの……」

「はっ、わかりました。」

私はそれだけ言い、部屋を出た。



私の仕事を奪ったあの堕天使を、私はまだ許せていない。

全く、あの堕天使関連の人物がほとんど無罪なのが不思議だ。

ステラという天使は、この5日間でむしろ仕事場の環境が良くなったとか言っていたし、ハイカラ?とやらは多少の罪には問われたらしいが、すぐに復帰したらしい。


まぁ、アテナ様にとっても貴重な人材だったからだと思って納得しておくことにしよう。


そんなことを考えながら廊下を歩く。

すると、後ろから声をかけられる。


「あれっ?

姐さん、なんかしょげてません?

まさか、アテナ様への説得、失敗したんですか!?

珍しいですね、姐さんにしては!」

「だから、姐さんって言うなと言ってるだろうニコル。それにしょげてなどいない。」

「えぇ〜そうっすか? まぁ、そう言うことにしときますよ。」


そう言って揶揄ってくるのはニコル。

見た目はボーイッシュだが天使に明確な性別はない。

だから、今でも呼び方に迷う。


「それとも、次は僕が説得にいきましょうか?」

「いいから、早く戻るぞ。」

「はいはい〜」


はぁ……こんな奴でも実力だけは確かなのが厄介なんだよなぁ……

彼女(仮)は20年でこの天の近衛団二番隊……副隊長まで上り詰めたエリートだ。

全く、私の50年が馬鹿らしくなる。


私は会議室のドアを開ける。

すると、仲間たちが中でもう待っている。


「お前ら、席に着け。天の近衛団二番隊作戦会議をするぞ。」

「作戦会議と言っても、結局殴って守ってってゴリ押し戦法に収まるのが僕らすっけどね。」

「ニコルさん、隊長がすごい睨んでますよ。」

「あっ姐さん、そんな怒らなくてもいいじゃないっすか!?」


はぁ……と私はため息をつく。

こいつはいつもと変わらないなぁ。


さっきニコルを諌めていた彼女はセラピス。

この二番隊の中ではヒーラーの役職を務めている。

……と言っても、格闘術に関してはトップレベルだが。


「隊長、本日の議題は何ですか?

流石にアテナ様に振られた…って話ではないですよね。」


そう言う彼はラムス。

天使の中では珍しく、かなり男性的な見た目をしている。

役職はタンクを務めてるけど、戦闘力は……まずまずってところだな。

だが、防御力に関しては確かなもので、そこへの信頼は他の隊員からも厚い。

それに事務仕事が早いのも助かってる。


「あぁ、今回の議題はこれだ!」

そう言ってホワイトボードに大きな文字で書く。


〜勇者天使、堕天使に仕事を奪われる→これからどう活動していくのか〜


「勇者天使って厨二病っすか?

姐さんも可愛いとこあるっすね。」

「うるさい、さっさと始めるぞ。」


私は堕天使に負けっぱなしになるつもりはない。

さぁ、これからの隊の方針を……運命を決める会議を始めよう。

補足

本作主人公のグラナロスは天の近衛団二番隊の隊長を務める天使。

本編の主人公ファーシアの堕天によって、本来任されていたアスピアの相棒という役割を奪われる。

大きく予定とずれたため、これからの活動方針を見直そうと言う話。

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