EP11ギルド所長議会
冒険者ギルド総本部-ここに今、あらゆる大陸に分布する冒険者ギルドの所長が招集されていた-ギルド総本部の統括者、ギルド大所長モゼウスが口を開いた。
「何故君達は、ここに招集されたか、知っているかい?」
そのギラつく眼光の内には怒り、彼から溢れ出る威圧感により、相当な実力者達である所長達も皆震えていた。
「はい」
そこにある男が手を挙げた。
「魔王軍の侵攻の件でしょうか?」
「その通りだ、だがしかしそれ以外もある-最近冒険者として登録されたヒロと言うものについてだ-だれか贔屓してるのではないか?」
「いえ、実は彼は今代の勇者と言うこともあり、非常に秀でた実力を持ちまして、別に贔屓などされては無いかと」
「毎回、高難易度の依頼を凄いスピードで解決してくれまして」
「なるほど、ならば何故その勇者は全くもって前線に現れない」
「なにぶん経験不足、故に経験を重ねているのかと」
「ふむ、宜しい、(宜しくは無い、何故本部にそんな大事な話をしっかり伝達しない報連相しっかりしろよ馬鹿どもがッッッ)-次の議題は先ほど出してくれた魔王軍侵攻の件についてだ」
「魔王軍侵攻は円卓の十二騎士団が食い止めていて、未だ拮抗中だとか」
「支援する冒険者達の数が減っている、このままではジリ貧だとのことだ」
「では、勇者を招集してはどうですか?-そろそろ経験は積めてる筈ですから」
「ふむ、、、なら期限を制定し次第、招集する、なら即刻時期を記載した予定表を送付しなさい」
「畏まりました」
こうした冒険者ギルド会議が行われていた-一方ヒロは、と言うと。
「ふぅ〜、、、終わり」
ゴールド帯の高難易度クエストでは、大鬼まぁホブゴブリンが更に長い時間を経てオーガに進化した存在者と、その地下の大帝国を蹂躙し尽くしていた。
「前に戦ったホブは知恵に長けて緻密な迷宮があった様に、こいつらも自身の力だけに依存しないでしっかり構造を組んでいて見事だ」
「それに単純な基礎スペックがホブの第三形態以上!光の定数より高いレベルで発揮したスピードで因果を反転、そしてエネルギーを発散した事象が発生しないに収束しながらも、パンチと言う事実が残り、俺に一撃を加えようとした、少しながらも因果を超えたパンチ、見事だった」
「だがしかし、それに頼り切りなのがいかんせん頂けないな、パンチもキックも所詮は倒すための道具なんだから、次を考えないでワンパンすることだけをロマンに据るのが悪いところだ-ってもうみんな死んでるか、、、」
ヒロは歩いて地下の大帝国を抜ける-外に出た瞬間、そこには数人の兵士がいた。
「なんなんだ、あんたら」
「我々はギルド総本部から使者として来ました、この手紙を渡しに」
「手紙?」
スッ、手紙を相手から受け取る-ヒロは手紙を開ける。
「何々?冒険者ヒロ様へ、ふむふむ、、、長々と丁寧語で取り繕ってるが、冒険者ランクが
ダイヤ帯最上位に達したら、魔王軍と人類の戦争の前線に即刻迎えって話だな」
「その通りで御座います、現在のランクを聞いても良いですか?」
「ゴールド帯だよ、だが今さっきオーガの地下大帝国を破壊したので多分プラチナム帯に行くと思います」
「なるほど、流石は今代の勇者様、常人ではとっくに到達不可能な超人の域に辿り着くとは」
「褒めても何も出ないぜ、そんじゃま俺はヘイワーの国に帰るんで」
「あ!勇者様!我々ヘイワーの国の王様にも伝言がありまして、折角でしたら、一緒に馬車に乗っていきますか?」
「良いんですか?ありがとうございます」
こうしてヒロは使者さんと一緒にヘイワーの国に向かうのだった-魔境ヘルグラスト-円卓の騎士団長と魔王軍の十二大魔将軍と言う、特に優れた12人の一般魔族に将軍位を与えられたもの達が戦闘を繰り広げていた。
「ふん、ふん!だりゃあ!」
「人にしてはヤルではないか!」
「喰らえ!我が百戦聖剣ハーデントの一撃を!」
第一席次の隊長リシアスは、聖剣を振り下ろす、光の柱が縦に伸び、振り下ろされたその破壊の力は、物理的には、面積60,000km²。
だがしかしその性質は単なる物理的な破壊力だけでは無い、衝突した存在や運命にすら干渉するほどの概念的な力も持っているとされていて、対象の強さにもよるが存在を消滅させることだって可能である。
その一撃で戦況は一変する、大体の魔物が消し飛んでいた、だが魔将軍達は、擦り傷程度しか与えられなかったのだった。
「行ける、行けるぞ!勝利の神は我々に傾いている!」
リシアスが大咆哮すると、味方全員が鼓舞され、畏怖の感情が消え去っていた。
「うぉぉぉ!突撃ぃぃぃ!」
「我々人類が勝つのだ!」
「ふん」
「はぁ!図に乗るなよ人間!」
十二将軍対十二円卓騎士団でタイマンしていた-兵士らはそのサポートや肉壁として各々の最善の選択肢を選び、完遂していたのだった。
魔王軍本拠地、その場所はもともと平和に満ちた良い場所だった、だが魔王の目覚めにより魔物や魔族が悪性を付与され、本来は落ち着いていた魔物や魔族に強い暴力的衝動が付与されていた。
魔王軍は、地下の土ではない、より神秘的な側面の地下の世界、獣人など亜人種が住む世界を侵略したのだ。
その場所を植民地、支配下に変えていくのだ、侵略と暴虐を繰り返し、彼らの住処を荒らしに荒らし尽くし、そいつらを我々の世界に無理やりに連れて来たのだ。
「痛い、痛いよぉ、戦いたく無いよお母さん!」
「あぁ、お前らはな、奴隷なんだよ!早く行け!人間を殺せ!」
彼らは、制約を完遂するには、誓約つまり強い代償を必要としている、龍人種の彼は強い筋肉痛に苛まれている。
その上、半顕在すると言う形式で、相当弱体化してるがこちらに存在することも可能、つまり
本質的には、概念的な生命体なのに無理やり連れてこられているのだ。
その龍人の子は、本来の実力の10分の1も無いままに戦わされていた。
「助けておがぁざぁぁぁん!」
ザシュ、ザシュザシュ、これは戦争だ、それ故に子を持つ親の兵士も、血涙を流しながら。
「、、、」
ぴちゃり、ぴちゃり、息が絶え、心臓の鼓動が消える、眼から光が消えるその時まで刺す。
「お前ら魔王軍は必ず、必ず皆殺しにしてやる、絶対だ!」
兵士達は、歯が粉々にならんとばかりに強く噛み締める、ここは孤独の冷戦なのだ、後世に受け継がれるべき戦争の愚かしさの教訓となる平和な世界を目指して、人間は魔王軍と戦うのだった。