2.第1の危機
飛んでることに気付いた当初こそ驚いたもののやがてリスノスケは落ち着きを取り戻します。
ザシュッ!
「チャアアア!?なに!?虫!?なんで!?」
などと、飛行中にプロペラに吹っ飛ばされた甲虫の死骸がリスノスケの横を通り抜けていくといったアクシデントもあったりしましたが、ともかく自分を落ち着かせました。
「これがニンゲンの道具なら、いますぐ危険ってことはないはずだよね」
今のところドローンは安定して飛行しており、墜落するような気配はありません。
それにリスノスケのお姉ちゃんは『ニンゲンはリスを食べようとしない』と言っていました。
このままニンゲンのところに連れていかれても無事に帰ることができるはずです。
「っていうか、跳びおりられないかな?」
少し落ち着いてきたリスノスケは機体の上にいくつかある凹みの縁を掴んで頭を乗り出し、下を眺めてみます。
普段から高い木に登って枝から枝へと跳び移ったりしているので、高い所に居ること自体はそれほど怖くありません。
「あー、この高さじゃ跳びおりるのはムリ……あ!」
飛んでるドローンの先、開けた地にいたイタチを見つけたリスノスケが思わず声を上げました。
「でもボク空飛んでるから関係ないよね」
◇◆◇
一方こちらは凜乃輔。
カメラの先にイタチを見つけた凜乃輔もリスノスケ同様「あ」と声を上げました。
「ちょうど撮りやすそうな所にいるなー。ちょっと寄って撮ってみるか」
◇◆◇
「チャアアアアア!?なんでー!?」
そのままイタチの頭上を飛んでいくと思ったドローンが何故かわざわざイタチ目掛けて飛んでいくのでリスノスケはビックリして叫びます。
一方、最初は驚いていたイタチでしたがドローンの上から顔を覗かせたリスノスケを見つけると一瞬でハンターの目になります。
イタチは、低空飛行で自分の横をすり抜けようとしたドローン上のリスノスケに向ってジャンプしました。
「チャアアア!?」
幸いイタチの攻撃は届きませんでした。
しかしすぐに方向転換してドローンを追ってきます。
そしてドローンに向ってジャンプ。
「チャアアア!?なんかスピード落ちてない!?っていうかなんで高く飛ばないのー!?」
◇◆◇
「こいつドローンに恨みでもあるの?凄い勢いで襲いかかって来るんですけど?いや、いい画は撮れてるんだけどさ」
凜乃輔はモニターの画面を分割し、前方を撮るカメラと後方を撮るカメラの両方の映像を見ながら操縦しています。
イタチが追ってこれそうな高度と速度を保って操縦し、イタチが後方から襲いかかってくる映像を撮っています。
実際はドローンではなく、その上に乗ってるリスノスケを狙っているのですが凜乃輔にはそんなことは分かりません。
イタチの勢いに少々戸惑いながらも撮影を続けます。
「まあ、攻撃全然届いてないけど。も少し高度を下げてもいいかな……」
◇◆◇
「なんか低くなった!?」
更に高度を下げたドローンにリスノスケは焦りました。
「い、いや、この高さなら逆に跳びおりて茂みに転がりこむのもアリかも」
リスノスケが覚悟を決めて跳ぶタイミングを測りだし、ドローンが更に高度を下げた瞬間、イタチは今日何度目かの跳躍をします。
イタチの影がリスノスケを覆って
「チャアアア!」
リスノスケが悲鳴を上げた次の瞬間
ガツッ!
「キュウ!?」
ドローンを跳び越えたイタチは前方の石に頭をぶつけ、気絶してしまいました。
ドローンが高度を下げたので目測を誤ったのです。
「た、たすかった?」
ドローンは高度を上げ、辺りを旋回します。
◇◆◇
「え!?何?あのイタチ大丈夫か?」
気絶したイタチを見て凜乃輔は焦ります。
ドローンの高度を上げ、旋回させてイタチの様子を見守ります、
幸い、イタチは少しの間を空けて起き上がりました。
特に大きな怪我や後遺症も無さそうです。
「あ、ああ、良かった……さて、そんじゃ他行くか」
凜乃輔はドローンの高度を更に上げて移動させるのでした。




