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63話 一刀、『本物』に出会うの事

 


一刀SIDE


何故か褒められた軍議から一日、与えられた天幕で剣の手入れをしていた時にそれは起こった


「一刀殿!」


「ん?愛紗、どうしたの?血相変えて」


「今陣の正面に数名の騎馬が現れたのですが……張任の使いだと……」


「分かった、俺もいく、華琳達には?」


「華琳殿には星、親衛隊の二人は翠が、霞には声をかけてきましたので風や徐晃殿も直に来るはずです」


「…良し、…それで相手は名乗った?」




「…確か、王塁、と」


………


……



…まさかの事態、というよりも相手の精神を疑いたくなる、一度はあれだけの策を労して忍び込んだ相手の陣に、表から堂々と入って来ようなどとんでもない胆力だ、少なくとも真似したいとは誰も思うまい


中央の天幕には先に武官達を集めてから桃香を中に入れる事になっているらしい、安全を考えればこれが1番良い方法だ


中には鈴々と王塁、他鈴々の部下と王塁の部下がいるらしい


「……随分と殺気立ってるな、天幕の外まで伝わってくる……」


「早く入った方が良さそうですね」


「うん、いこう」


開かれた天幕の入口をくぐれば案の定会議用の大きな机を挟んで鈴々側と王塁側に別れて睨み合う双方の姿


「……我等の将軍に対する数々の非礼、和平の使者という事で堪えてきたがもう我慢の限界!頭を下げていただこうか!」


 


「はっ!我等は事実を述べたまで、ガキにガキといって何が悪い?」


「き、貴様っ!!」


……埒があかないな、仕方ない


「双方そこまで、落ち着きなよ」


とりあえず張飛隊を手で制しながら割り込む


「おめぇら何してんだよ、少しは立場ってやつを弁えろや」


「し、しかし王塁様、我々は…」


「俺達は一応、御大将から選ばれてここ来てんだ、馬鹿な真似する奴ぁこの場で殺すぜ?」


あまりの殺気で一瞬王塁の部下達がたじろいだ


「つかよ、今の台詞うちの将軍様に言ってみ?間違いなく怒り狂うぜ、うちの将軍様はよ」


 


その殺気も一瞬にして霧散し、まるで何事もなかったような軽さで部下に声をかける王塁


「…はっ、少々非礼が過ぎたようです」


「うし、…俺の部下が失礼したな嬢ちゃ……っと、嬢ちゃんじゃ俺も失礼か、…張飛将軍、…で良いんだよな?」


「そうなのだ」


「なら張飛将軍、うちの部下の非礼、許していただけるかい?」


「気にしてないから良いのだ」


「おめぇら、こっちの将軍様の方がよっぽど大人じゃねぇか、ちったぁ反省しろよ?」


「はっ…申し訳ありませんでした」


「よし、んじゃてめぇら先出てろ、陣の外で待ってていい」


「お、王塁将軍っ!?そ、それは…」


 


「わりぃんだけど蜀の兵も一緒に出してもらえるかい?俺はそこの魏の将軍殿に用がある、他の人間にも遠慮して欲しい」


「……愛紗、鈴々、悪いんだけど席を外してもらえるかい?」


「か、一刀殿!危険です!せめて私めか鈴々を護衛に……」


「相手は一対一で話したいと言ってるんだ、俺もここは一人で話すよ、……心配してくれてありがとう、愛紗」


「うくっ!?……そんな風に言われてはこれ以上強く言えないではありませんか……私と鈴々は外で待ちます故、何かありましたらすぐにお声を……」


「ありがとう」


部屋を退出する者達を興味深そうに眺める王塁


「あんた、魏では偉いさんなんだろ?」


 


「そうは見えないだろ?」


「いんや、あんたの態度見てりゃあんたに従おうって人間の気持ち、何となく分かるぜ、……俺もそうだったしな」


「……劉璋の事か?」


「…さてね、ま、今はまだあんたは知るべきじゃねぇな、…今はさっさとわざわざ二人きりになった用の方を済ませようじゃねぇか、ほれ、場所と時間、場所はこの陣幕北西の村の酒家、ちいせぇ村だから酒家の場所を聞きゃあすぐ分かる、時間はいつでも良いとさ、あんたが出られる時間にいつでもってさ」


「いつでもって…」


「当日の昼から店が開く、でそのまま次の明け方まで店やってっからその間うちの副将軍殿はあんたを待ってるつもりさ、あぁ、後俺ともう二人の計四人で待ってっからあんたも護衛か軍師くらい連れて来てくれて良いぜ」


この男の実力は前ので十分理解している、他の護衛の実力がどれ程のモノか分からないが人数だけは合わせないと非礼に当たるはずだ


「あぁ、人数の事ならそっちの好きにしな、流石に万の兵に来られちゃ堪らねぇが俺らの方は全員武官だ、状況判断の軍師一名武官三名じゃ流石にきついだろ?武官は同じだけ、追加で軍師1〜2名ってんなら許すとさ」


「……随分と譲歩してくれるもんだね?」


 


「ま、本音言っちまうと俺らは譲歩しないとまずい立場にいるってのが本音だ、何せあんたが交渉に応じてくれたは良いが俺らはあんたに対してそれほどでかい交渉材料の持ち合わせがない、こういうところで上手くあんたに恩を売ってないと後で痛ぇのさ」


「……相手にそれ言っちゃって良いのか?」


「下手に勘繰られて恩を売られたと思われないよりマシじゃね?」


「…なるほど、確かに合理的だ…」


「んじゃ分かってもらえたら結構、俺帰るわ、こっちの手紙、劉備に渡しておいてくれよ」


「会って行かないのか、自分達の『敵』ってやつには?」


「蜀の地にいてあの頭軽そうな嬢ちゃんの顔知らねぇ人間なんざいねぇよ、それにな……」


 


男は別に何の事はないかの様に一言


 


「今顔合わせたら、俺、十中八九間違いなく劉備殺すし」


 


殺気もなく事実を伝えたという表現の良く似合う一言、多分間違いなくこの男は殺すのだ、これは既に『過程』ではなく確固たる真実、もう『結果』と呼んでもかまわないだろう


この男を桃香と会わせるのは危険、ならばこのまま帰した方がいい


「……一つ聞いて良いかい?」


「あん?」


「桃香……劉備の事はそんなに嫌いかい?」


「あぁ、大っ嫌いだね」


「……そうか」


一瞬の沈黙、だがすぐに自分で破った


「誰かいるかい」


「一刀殿!!どうかしましたかっ!!」 


間髪入れず愛紗が駆け込んできた、入り口に張り付いていてくれたのだろう


「ヒュ〜♪愛されてるねぇ〜♪」


「茶化さないでくれ、……王塁殿が帰るそうなんだ、一応警護の意味をかねてついて行く、愛紗はすぐに桃香を戻らせて」


「なっ!?か、帰るですと!?使者が相手の王に謁見もせずに帰るのですか!?」


「……会わせない方がいい(桃香が危険だ)」


「(どういう意味です?我々がキチンと護衛を…)」


「(桃香を本気で憎んでる、刺し違えてでも殺すってくらい危険な男なんだ、下手に近付けるよりこのままお帰り願おう)」


「そぅそ♪こんなやつ側にいたら百害あって一利なしってな♪」


 


卓の向こうにいる王塁の言葉に思わずドキリとした


「すげぇだろ、細作やってっとこんな特技ばっか身につきやがんの、内緒の話してぇなら天幕の外でやんな♪」


「うっ…し、失礼した…」


「すまない王塁」


「気にすんなよ!俺もそうしてくれた方が楽なんだからよ、さっさと王様隠した方が身の為…ってか国の為だぜ」


「………愛紗」


「……はっ、桃香様をご自分の天幕までお連れしろ、私もすぐいく」


「はっ!」


兵達が急ぎ桃香の天幕へと向かうのを見送り王塁へと視線を戻す


「それじゃ俺も暇させてもらう、くれぐれも蜀王劉備殿によろしく、『あんたの頚は俺ら偽善斬党が頂く』ってな」


陣の外へと向かう男の背を俺と愛紗は黙って見送るしか無かった……

  あとがき†無双


「どうも、最近感想で絶賛キャラ薄中の北郷一刀です、てか俺ハムの人扱い?俺あそこまで薄いかなぁ…」


「まぁまぁ一刀♪気にしな〜い、気にしな〜い♪そんな事言ってるとキャラと一緒に髪まで薄くなっちゃうよ〜?」


「雪蓮っ!!本編出てないくせに失礼な事言いに出て来ないでくれっ!!」


「えぇ〜、良いじゃん別に〜♪本編盛り上がらないから苦肉の策でこんなのやってるんだから本編出てない分ここで遊ばせなさいよ〜♪」


「あぁ…華琳がいなくてやっと平和を手に入れたのに…新たな悪夢が…」


「悪夢なんて失礼ね〜!これでも私呉の王様よ?」


「良く呉って国として成り立ったよねぇ…」


「そりゃ〜冥琳が優秀だもの、私がいなくとも呉は永久に不滅よ♪」


「今この王様自分の価値全否定したよっ!?」


「好きなだけお酒呑んで、好きに寝て、好きにお城抜け出して、あぁん♪王様暮らし最高ぉ♪」


「…君いっその事、王位冥琳に譲れ、不憫過ぎるぞあの軍師…」


「心配いらないわよぉ♪あぁ見えて冥琳私がホイホイ預ける仕事片付けるのが好きなドMっ娘なんだから♪あ、でもベッドの中じゃドSよ♪」


「下品過ぎるよこの王様!!だ、誰か!!この人の暴走止めて〜!!」


「…その役目、私が引き受けよう…誰がドMでドSだって?……雪蓮?」


「ひぃ!?め、めめめめめ、冥琳!?ち、違うのよ!?今のはかず…」


「問答無用っ!!」


「ひぃっ!?」


「…どうやら雪蓮、今日はドSな私に会いたいようだなぁ?部屋ですぐに会わせてやる、今日は仕事が終わるまでみっちり見ていてやるから安心しろ、間違えたら鞭打ちだ」


「い、いやぁ!!か、一刀!!た、助けてっ!!」


「…雪蓮、さっき俺の名前出そうとしたよね?…よろしく頼むよ冥琳」


「心得た」


「か、一刀の裏切り者ぉぉぉぉぉ〜っ!!……」


「さぁ呉のメガ周喩砲炸裂、火計でドーンな展開となりましたが(意味不明)気を取り直して司会進行…って一人だと会話が成り立たないんだよなぁ…」


「では私が姉様の代わりにやるわ、…姉の不始末は私に片付けさせて」


「蓮華っ!!助かるなぁ、呉の必殺技だから呉の人いないとやりづらくってさ」


「…姉が余計な事をしたわ、…もう呉の面目丸つぶれよ…民に会わせる顔もないわ…」


「流石は呉の王族三姉妹唯一の常識人…姉の分まで苦労背負って…もう次世代の孫呉の命運は彼女にかかってるといっても過言じゃないね」


「か、一刀、わ、私を褒める暇があったらは、早く進行しなさい!」


「はい〜、ツン一丁入りました〜、それでは必殺技シリーズ呉編、ドゾ〜」


……


孫呉の柱石


代々仕えし宿将と軍師を従える王は背を顧みる事なく戦場を舞う鬼人となる


孫策軍士気上昇の後突撃、後方から弓等の支援が発生


「あはははははっ!私の頚!!欲しいなら命を賭けなさい!!」


「雪蓮が暴走してる、祭、頼むわね」


「やれやれ…年寄り使いが粗いのぅ…策殿を援護するぞ、黄蓋隊!付いて参れっ!!」


……


「姉様は必殺技でも迷惑掛けっぱなしなの…?」


「雪蓮らしいというかなんと言うか…」


「あぁもう!また一つ恥を…一刀、次!次行きましょう!!」


……


新たな時代を担う者


次世代の王に従うは二振りの剣と二種の知謀、多種多用な戦局への対応能力を持つ二種の軍師により戦場は呉の色に染め抜かれる


「聞け!呉の勇士達よ!!我等が呉の未来を担う礎となる!己の全てを戦の場で見せるが良い!!全軍!突撃っ!!」


「…鈴の音は黄泉路への道標、蓮華様の邪魔をするなら惑う事なくあの世に送ってやる!」


「邪魔です!蓮華様の前に立たないで下さいっ!!」


「いやいや〜、皆さん気合い入ってますね〜、ですが左翼の明命ちゃんがすこぉし右翼の思春ちゃんより出ちゃってますね〜、こういう場合亞莎ちゃんならど〜しますか〜?」


「左翼と本陣がのびきって仕舞わぬ様に後方の私か隠様の隊で本陣と左翼の隙間を埋めるべきではないでしょうか?」


「当たりで〜す♪では押し上げちゃいましょ〜♪」


……


「…次世代を担う軍師や将が五人しかいないのはやはり問題ね」


「でも他国の武将達と違って頭を使える娘達ばかりなのはかなり大きいと思うよ、魏なんてそういう意味じゃ筆頭武官様がちょっと頼りないから…」


「…否定しないわ」


……


親衛なる者達の讃歌


親衛隊隊長と元親衛隊隊員の連携は誰が見ても感嘆モノ、周りの兵は士気を盛り上げ、敵は戦意を失う


「亞莎、戦略にのみ固執し、己が身を遊ばせるような真似はしておらんな?」


「は、はい!大丈夫です、いけます!!」


「ならば行くぞ、亞莎」


「はっ!!」


……


「やっぱり亞莎って武官としての素質も相当なモノなの?」


「えぇ、あの娘は武官として採用されてその才を買われて文官に転身した変わり種だもの」


「流石は呉、能力の偏りがありませんねぇ…っと、てなわけで今日の『あとがき†無双』はここまで、次回は三国には残らずも現在集まったらもう一つの勢力として成り立つんじゃね?というあの勢力からゲスト登場です」


「それでは次回あとがき†無双、お楽しみに」


 あとがき†無双 終

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