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59話 一刀、交渉を盤石とするの事

一刀SIDE


俺はすぐに鈴々達の傍を離れ、桃香の下へと向かった、もちろん月と詠に会う為である


「失礼するよ」


「あ、一刀さん…こんにちは」


「やぁ、月、三人でお茶してたんだね、悪いね邪魔して」


「なんであんたがくんのよ…」


「…悪いとは言ったけどそこまで邪険にしないでくれよ詠〜…」


「近寄らないでよ!月に手出したら殺すわよっ!!」


「詠ちゃん、そういう事言っちゃ駄目だよ、一刀さんはいい人だよ」


「月!騙されちゃ駄目っ!!こいつの脳内はスケベな妄想でいっぱいなのっ!!」


「…いくら俺でも傷付くぞ…」


「傷付くのが嫌ならさっさと出ていきなさいよ」 


「アハハ♪一刀さんと詠ちゃんって本当に仲良しさんなんだね、良かったら一刀さんも一緒にお茶しませんか?私達ちょうど息抜きしてたんです♪」


本当にちょっとした息抜きなんだろう、机の上には竹簡や書簡が山積みのまま、お茶をしたらまたすぐ勉強といった様子だ


「桃香、悪いけど貴女の目は節穴、私とこれの何処が仲良いってのよ!」


「これ…物扱いかよ…」


「えぇ〜?だって二人とも楽しそうですし…」


「…桃香、貴女の目は節穴、決定、すぐに治療を受けにいく事をお勧めするわ」


「うぇ〜ん!月ちゃ〜ん!詠ちゃんがいじめる〜!」


 


…楽しそうな三人の邪魔するのは気が引けるのでとりあえず後にするか


「月と詠、悪いんだけどお茶が終わった後で良いから二人で俺の天幕に来てもらえるか?」


「…私達、ですか?」


「何?あんた私達に用だったの?」


「そ、だから二人で来てくれ、頼むよ」


「…あんた、変な事する気じゃないでしょうね…?」


「詠ちゃん!駄目だよ…ごめんなさい一刀さん…必ず一緒に行きますから…」


「ははっ、気にしてないよ、それじゃ後で頼むね」


「はい、それでは…」


「それじゃね♪一刀さん」


………


……



さて、後はしばらく部屋で…


「一刀殿〜っ!!」


「ん?」


 


向こうから慌てた感じで走って来るのは…愛紗だ


「愛紗、どうしたんだい?そんなに慌てて」


「北方よりこちらに向かう軍勢あり、多分…」


「敵か!?」


「お、落ち着いて下さい一刀殿!…遠巻きにしか確認してませんが旗は『典』と『許』、黒々とした鎧を纏っていましたので魏からの援軍かと」


「季衣と流琉か、なんだ、俺てっきり…」


「ふふっ、説明が足りませんでしたね、…今こちらから確認の兵を向かわせる為に距離を取って停止しています、一刀殿も参りますか?」


「そうだね、二人にも早く逢いたいし、俺も行くよ、あ、でも少し時間もらえるかい?ちょっと月ちゃんと詠に後で部屋に来てもらう事になっててね」 


「分かりました、出入口にて落ち合いましょう」


「分かった」


………


……



魏(援軍)SIDE


「ねぇ流琉〜、兄ちゃん僕達が来たの気付いてくれてるかな?」


「さっき停止の合図の銅鑼が鳴ったから多分中の人達には到着は伝わったんじゃないかな、もしかしたら迎えに出てきてくれるかも知れないよ」


「わぁ〜!」


「はぁ〜…」


季衣は待ち切れない程嬉しそうに、対して流琉は重い溜め息をついていた


「伝令!前方の天幕より騎兵5騎接近、陣幕に立てられた旗も5、緑地の『劉』、『張』、『関』、青地の旗は『張』と『十』!」


「兄ちゃんの旗だ!」


 


「青の張は霞さんだね、桃香さん愛紗さん鈴々ちゃんも来てくれたみたい」


「僕等だけで前進すれば良いのかな?」


「うん、こういう場合指揮官が戦闘の意志がない事を伝えに前に出なきゃ」


「そっか、んじゃあ前に出なきゃね、…おぉい!副官のおっちゃ〜ん!」


「はっ!」


季衣に呼ばれ、あまり印象の残らない男が現れた


「兄ちゃん達と会って来るから指揮よろしくね」


「蜀と合流しますので合図したら陣の中まで前進して下さい」


「分かりました、いってらっしゃいませ、許緒将軍!典イ将軍!」


 


………


……



一刀SIDE


前進してきた桃と緑の二人組に思わず手綱を握る手に力が入った


「兄ちゃ〜ん!」


こちらに向けてぶんぶん手を振る季衣の様子に笑みがこぼれる


そして恥ずかしいからやめるように忠告してるであろう隣の流琉の様子も何時もの事ながら苦笑を隠せない


双方の馬がある程度の距離で停まる、こういう場合一応儀礼的にもしっかりとした口上が…


「二人ともお疲れさま〜♪大変だったでしょう?さ、早く中で休んで♪」


…続かなかった


「…と、桃香様…」


「桃香お姉ちゃん、空気読めなさ過ぎなのだ」


「え?え?私何か変な事したかな?」


 


「流琉〜、入って良いってさ、早く向こうの人達に合図しなきゃ」


「あ、う、うん!」


ちょっと呆気にとられたらしい流琉が腕を上に伸ばし大きく回すと向こうの魏の兵達が一斉に進軍を開始する


先頭には副官らしき格好の男、それは良いんだが何故かそのすぐ後ろを幌馬車二台がついて来ている


「季衣、あの馬車、いったい何乗ってるんだ?」


「んとね〜、僕と流琉の武器が載ってるよ」


…岩打武反魔と伝磁葉々か、確かにあれを長距離の行軍で運ぶとするなら四頭立ての馬車位はいるだろうな


なんてあっさり考え目の前を通過していく馬車を眺めていると


「全軍停止!追って指示するまで待ちなさい!!」


 


いきなりの怒声と共に馬車が目の前で停止した


「…あ…あのさ流琉、俺、い、今の声、す、スゲェ聞き覚え有る気がするんだけど…き、聞き間違い…だよな?」


「…あの、その、…えと…ご、ごめんなさい!!」


「う、うおぉ…流琉〜…謝らないで嘘だといってくれ〜っ!!」


「一刀、現実逃避しても私がいる事実は変わらないわよ」


俺の目の前に優雅に降り立った曹孟徳はそう言って微笑むのだった…

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