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27話 旅は道連れお供は二人


夕方、蜀のみんな+俺の旅の無事を祈り宴が行われる運びとなった


俺もみんなとのしばしの別れを惜しむ為酒にもあまり手を出さずみんなとの話に花を咲かせていたが唐突に華琳が


「一刀、貴方に餞別があるわ」


なんて言い出した


「餞別?いや、そりゃ助かるけど…」


「そ、なら選びなさい」


その言葉と共に今の今まで宴でワイワイやっていたみんながすっくと立ち上がり一列に並ぶ


「さ、選びなさい」


「え?え?」


「貴方への餞別代わりに誰か二人を供に付けてあげる、さ、誰が良い?」


「いや、誰が良いって…」


みんながじっと俺を見つめてる(若干一名から選んだら殺すという視線を受けてはいるが…)


う〜ん…夏候姉妹は華琳の護衛があるから無理、霞がいなけりゃ魏の騎馬隊は動けないし、流琉と季衣も護衛と…って魏の武将は駄目じゃん!


…軍師なら三人の内一人位連れてって良いかな?


「風」


「なんですか、お兄さん」


「蜀まで一緒に来てくれないか?」


「良いですよ〜、風は今度はお兄さんを支える事にしましょ〜」


他の子達の視線が厳しくなる…華琳、君の餞別、帰ってきた時の事考えるとひたすら不安だよ…


「一人は風で決まりね、では後もう一人は?」


みんなの視線に熱意…もとい強い殺気を感じる俺…正直選べない…


「…華琳、君の護衛を考えるとこれ以上将軍職の人間は引き抜けないよ」


秋蘭も俺の言葉に相槌を打つ


「ふむ、確かにそうだな、華琳様の御身を護る将までは出すわけにはいくまい、ならば今ある程度自由が利く将を一人連れて行けばいい」


「自由が利く将?誰かいるのか?」


「今に来る」


…俺には秋蘭が一瞬笑ったように見えた


「し、失礼します!」


ぎくしゃくした動きで部屋に入ってきたのは…


「…徐公明、連絡を受け参りました!」


華琳の前に膝をつく涼華


「涼華、貴方には明日から蜀へと向かう北郷一刀の護衛を担当してもらうわ」


何ですとっ!?


「はい!」


了解しちゃった!?


「一刀」


「え?」


「涼華は知ってるわね?この娘を護衛に付けるわ」


「えと、俺に選ばせてくれるんじゃなかったの?」


「先程貴方の挙げた指摘と同じ指摘が他の将からも出てるの、その中でもう一人付けてあげるんだから我慢しなさい」


我慢しなさいって…


「あの…北郷殿…ご迷惑…ですか…?」


あぁ…そんな潤んだ瞳で見つめないで〜!!


「護衛、よろしく頼むよ」


「は、はい!よろしくお願いします!」


頭を下げる彼女の様子に安堵の溜め息をついた秋蘭と霞の姿を俺は見逃さなかった…


「みなしゃ〜ん!いったいなんの話ししれるんれすか〜?」


「…桃香、飲み過ぎよ」


「えぇ〜…みなしゃんが飲まなしゅぎなんでしゅよ〜!」


「桃香落ち着きなさい、貴方酔っ払い過ぎよ、少し風に当たって来なさ…」


「華琳しゃん!!」


桃香が突然声を荒げる、その声は流石に一国を統べる王足る威厳があり、華琳ですら言葉を継げなかった


「華琳しゃん、わたしはじぇんじぇん酔ってましぇん!ほら、その証拠に…」


真っ直ぐ俺の方に歩いて来る桃香、なるほど、足取りはしっかりしたものだ、これで呂律さえしっかりしてりゃあ酔っていないと言えるだろう


「エヘヘ〜♪かっずとさ〜ん♪今酔ってらい証拠見せましゅね〜…」


「いや、証拠って完全酔ってま…」


チュッ♪


彼女の唇が俺のと重なる…まるで普段からの挨拶みたいな自然なキスに俺はただ慌てるばかりだ


「と、桃香さん!?」


「…一刀しゃ〜ん、私の事はと〜かって呼んでくらさいっていったれしょ〜」


ぷんぷんと怒った様子の桃香…いや俺がさんを付けたのは今のに対応出来なかっただけで…


「…一刀」


ジャキリ、っと背中越しに冷たい殺気が迫る…やばい…この殺気は『本物』だ


「華琳、ちょっと待ってくれ、今の俺には非は…」


「一刀…いつの間に桃香達と真名を呼び合うような仲になったの?」


「いや…華琳さん」


「また私の知らない所で女の子に手を出してたのね」


華琳さん!華琳さん!!その笑顔は怖い!怖いから!!


「すいません、ごめんなさい、申し訳ありません、街をふらついてた時に預かりました、反省してます、この通り」


この世界に来て初めての土下座です、俺にプライドとか求めないで、プライドと命は天秤にはかけられないから!


「一刀、一発で許してあげる」


「はい…」


ぎゅっと目をつぶる


「いくわよ…春蘭!」


「ほんご〜…覚悟するのら〜」


一発って春蘭!?


しゅ、春蘭の平手打ち…





死ぬ!!


「ちょ!待って…」


「もんど〜むよ〜ら〜!はをくいしばれほんご〜!!」


パーン!!


…俺は人間の頬を張ってあんなに綺麗な音がするのを知った、と同時に人間はあそこまで軽やかに飛ぶのかと感心していた


が、その後俺の後頭部を襲った激痛により、俺は意識を手放す事と相成ったわけである…

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