3話 華琳、立食ぱーてぃを開くの事
前の話よりかなり短くなっちゃいました
城に戻った後…みんなには一度解散しその酷い顔と格好を何とかしてくるように指示した
私も部屋で礼装に着替える
一刀が私の為に意匠したと言っていた服が今の私にとっての礼装となった、
(といっても使うのは今回が初めてだが…)
…確か名前は『ごすろり』と言ったか、一刀は私の為『だけ』にと仕事が終わった時や休みをこれの意匠に費やして作ったらしい
その時は照れから、
『仕事もせずにそんなことしてたのね、呆れたわ』
なんて言ってしまい、服だけ奪いとるようにして逃げてしまったが、そのあと部屋で夜中までこの服を眺め続けていたのは自分だけの秘密だ
…それが確か三国統一の戦のちょうど一月前だ
一刀は気づいていたのだろう、次の戦いが終われば勝っても負けても自分が私達の傍に居られない事を…
だから彼は自分の居た証を私の元に残した
少し派手なふりふりの袖と裾
いつもの髪止めは外し巻き髪をストレートに戻す、…何故そんなことしたのか、あえて言うなら何となく、この服を着て出る気になったのも巻き髪を解いたのも何となくなのだ
他のみんなは既に玉座に集まってるはず、王たる私があまり遅れても失礼だ、
早く行かなくてはいけないのだが今更ながら不安に駆られる
この服は自分に似合っているのだろうか?誰かに確認させてからの方がいいのだろうか…
あの時少しでも素直に着て見せれば良かった…初めてだから似合ってるかどうか少し自信がない…
しかしもう時既に遅し、春蘭達は行ってしまってるしそこらの侍女では結局形式通りの返事しか期待できないだろう
急ぎ部屋を後にする、仕方ない、行き当たりばったり等趣味では無いが時が惜しい
扉の前の衛兵二人がこちらを見てポカンとしている…
「扉を開けよ!」
「「は、はっ!!」」
ギギィ…
「みんな楽しんでる?」
「お待ちしてました!華琳さ……!?」
…春蘭があげた声に周りが振り向き
みんなが一瞬にして停止した…
「か、か…華琳様!?そ、その御召し物は…!?」
「…似合わなかったかしら…?一刀が私の為に作ってくれた品なのだけど…」
「そ、そんな…お美しいで…ブハッ!!」
…春蘭が鼻血を噴いて倒れた
「ちょっ!?春蘭!?」
「衛生兵!!衛生兵はおらんか!?」
秋蘭の悲鳴にバタバタと部屋に駆け込んでくる医療班達、春蘭のあまりの出血に一様にしてたじろいでいる
そんな中あっさりと重傷人に近付く影
「は〜い、風にお任せ下さ〜い、春蘭ちゃ〜ん、お首とんとんしますよ〜」
とんと〜ん
「けひっ!?」
春蘭の鼻血が止まった
「くっ…北郷一刀めっ!!やるわね、死んでまで私を困らせるなんて…」
ドクドクと鼻血を流しながら華琳の姿を目に焼き付けようと必死の桂花、ちなみに一刀は死んでない※彼女の中では既に死んでいます
「は〜い、桂花ちゃんもお首とんとんしますよ〜」
とんと〜ん
「あと〜、お鼻ちーんして下さ〜い」
チーン!!
桂花の鼻血は止まった
「ウヘッ…フヘッ…ハウァ…」
「…あ〜稟ちゃんが凄い事に〜…」
風の稟への対応が遅かったため床は稟の血で血の海だ
ちなみに蜀側は
「ふへ〜、華琳さんキレ〜…良いな〜、あの服、何処で売ってるのかなぁ…」
桃香は見取れ…
「救護兵、救護兵はおらんか〜!!魏の軍師達が〜!!」
愛紗はあまりの事態に救護の兵を探しに走って行ってしまった
「にゃにゃ!?敵襲かぁ!?鈴々の丈八蛇矛が火を吹くのだぁ!!」
今まで豚の丸焼きにかじりついていた鈴々が暴れ始め
「あらあら♪良いわねぇ〜♪作り方教えてもらえるかしら?」
紫苑はのほほんと事態の推移を観察中
「へぅ〜…曹操さん綺麗だねぇ、詠ちゃん♪」
「月も同じ格好なら月の方が断然かわいいに決まってるわ!」
「そんな事無いよ〜…でも少し私達の女中服に似てるね…」
月と詠はほのぼのとした会話をし、
「恋殿ぉ、こちらもなかなかですぞ!」「……ん…♪」
次々に食べ物を頬張る恋とその恋に餌付けする事に必死な音々音は我関せずといった雰囲気
「…どうせ私なんか…」
…ついでに白蓮は忘れられていた
周り全てを引っくるめ手を付けられないほどの大混乱に発展した会場
…結局華琳主催の『立食ぱーてぃ』は華琳の登場で大混乱の内に幕を閉じたのだった…