16話 一刀、拠点脱出フェイズ?の事
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……
ふぅ…本日分の仕事終了…
華琳からの『女の子と過ごすの禁止令』発布から本日で3日目…一週間の禁止なので後4日…
「うおぉ!暇過ぎる!!」
…この3日外に出てやった事は調練の様子を眺めただけ、女の子達も華琳の指示なのか俺の部屋に近付きもしない…
淋しいな〜…
…俺が帰ってきたおかげで警備隊から再度警備隊長就任の依頼がいくつも出ているらしい、正直一度いなくなった身としては気が引けるが本人達からの依頼だから無下にもできない…
更に新人兵の訓練部隊の隊長まで依頼が来てる…そっちは秋蘭、霞、涼華の三人からでた
元々練兵を担当していた三人娘は西方の警備についているらしく、現在華琳と洛陽の警備に戻してもらえるように交渉中、早ければ来月にも戻って来るらしい(華琳を押し切るとはさすが魏の三羽烏…)
(彼女達が帰って来るなら練兵の心配はいらないけど、問題は涼華だよな〜…)
元楽進隊所属の彼女だ、凪とは顔見知りとは言え、沙和や真桜とはやってけるのか?
…不安だ…すっごい不安だ
沙和と真桜は時々だが俺の甘い所を舐めてる節がある、涼華がその態度を俺への信頼の証と取るか、俺を馬鹿にしていると取るかによって下手すれば涼華と彼女達の戦争が始まる…
「みんな仲良くしてくれないかなぁ…」
…ふぅ
……
…
「よし!…外でっか」
流石に三日目で我慢の限界だ、廊下で話をするだけでも良いからちょっと行こう
さてと、華琳に見付からずに誰かいそうな所、というと街が真っ先に思い付く
久しぶりに街の様子でも見て回るか
…
……
………
はぁ、やっぱり活気があるな〜、街の雰囲気はいなくなる前とほとんど変わりない
…さてと何処に行こうか
「あれ?…北郷さ〜ん♪」
後ろから声がかかった、このほんわかした声は、
「あぁ、劉備さん、それに関羽さんに張飛ちゃんも」
「これは北郷殿、お出かけですか?」
「魏の強い兄ちゃんなのだ〜!」
「三人揃ってお出かけですか?」
「はいっ♪蜀のみんなにお土産をと思って、ねっ♪愛紗ちゃん、鈴々ちゃん♪」
「そうなのだ!みんなに美味しい物いっぱい買って帰るのだ♪」
「鈴々っ!お主はお主が食べたい物しか買っておらぬだろう!」
「鈴々は買って帰った方がいい物を慎重に吟味してるのだ!」
「むぅ…鈴々の口からとは思えん…ちなみに鈴々、意味を知っておるのか?」
「にゃは♪知らないのだ、星が困った時言えって言ってたのだ」
「せ…星〜!!」
ゴゴゴッという擬音を発しながら青筋を浮かべる関羽さん…
「あの〜…」
「…はっ!す、すみません!北郷殿!!お見苦しい所を…」
真っ赤になって縮こまる関羽さん…何でこの世界の女の子達は素でこんなにも可愛いのだろう…
「…蜀のみんなは仲が良くて良いなぁ…」
つい漏れた呟きを三人は聞き逃さなかったようだ
「魏の皆さんは違うんですか?」
「はにゃ?魏のみんなは仲悪いのだ?」
「魏のまとまりには我々は敬服していたのですが違うのですか?」
三者三様だが意図する所はまるで一緒、こういう所に義とは言え姉妹としてのつながりみたいなものを感じてしまう
「…魏は蜀とは違う、華琳の覇を支えるべく集まった人間ばかりだから覇を目指す思いは強くともいざという時『和』を持たない、
だから蜀のみんなのように…劉備さんの目指す『和』に魅せられた人達のような仲間の為、みたいなのは少し欠けてるのかもね…」
自嘲気味に笑う、笑うしかないよな、彼女達を見ているとこんな事で頭を悩ませてる自分が恥ずかしいよ…
「…私はそうは思いません、北郷殿、貴方は少なくとも仲間の為に真剣に悩んでおられる、それは貴方のご様子からご自身の事では無いのでしょう、己の事ではない事で悩み解決策を模索する貴方の姿、そんな貴方だから華琳殿は貴方を傍に置き、魏の皆からは慕われる…少なくとも私の目からは好意的に映りました」
「関羽さん…」
「そうですよ♪北郷さん、こんなにみんなの事考えてるんだから、北郷さんの周りにはちゃんと人の『和』、あると思うな♪」
「劉備さん…」
「兄ちゃん強いし優しいから魏のみんな兄ちゃんの事好きなのだ!」
「張飛ちゃん…」
「皆が貴方を中心に曹孟徳の元に集まる、それが魏の結束の形なのでしょう、我々蜀とは違うがそれが魏の強さに繋がっているんだと思います」
…関羽さんが片膝を地に付ける
「…やはり貴方は魏に有りて桃香様と同じ願いを持つ者だったのですね…改めて名乗りましょう、我が名は関羽、真名は愛紗です、愛紗とお呼び下さい」
「鈴々は鈴々なのだ!今度からは鈴々と呼んで欲しいのだ!」
「あ〜!二人ともずる〜い!私の真名は桃香、桃香って呼んでね♪」
「三人とも、真名を預けてくれるの?」
「はい♪前から魏のみんなが信頼してる北郷さんなら良いかなって思ってたんですけど、さっきのお話を聞いて三人で預けちゃおうって♪北郷さんなら信頼できます♪」
「…ありがとう、なら俺も、といっても俺真名ないから一刀って呼んで下さい」
「はい、一刀さん♪」
「では私は一刀殿、と呼ばさせていただきます」
「兄ちゃんだと季衣と一緒だからお兄ちゃんって呼ぶのだ!」
「よろしく、桃香さん、愛紗さん、鈴々ちゃん」
て、何で三人とも不服そうなの?
「さん付けじゃなく呼んで欲しいな〜…」
「私も愛紗、と」
「鈴々、子供扱いしないで欲しいのだ!」
「それは、えぇっと、三人とも呼び捨てでいいって事?」
三人ともコクりと頷く
「…了解、桃香、愛紗、鈴々で良いかな?」
「はい♪」
「えぇ」
「なのだ♪」
この日俺は三人と買い物をして過ごした