13話 …お慕いいたしております、の事
このキャラは感想掲示板に依頼を頂いた投稿キャラを元に作者がアレンジを加えたものです。詳しい設定は感想掲示板のHN、流浪人さんの投稿をご確認下さい
涼華の日記
○月×日晴れ
…私の敬愛する天の御遣い様であらせられる北郷殿が帰ってきた
今日の蜀との模擬戦で部隊の指揮をするとの事、私は有らん限りの声で副官に立候補し、見事あのお方の副官に抜擢された
そして北郷殿が
「于禁隊は右翼に展開して夏候両将軍と典韋将軍に指示を仰ぐ事、頼むよ」
と私の肩に軽く触れた……このままこの士官服は肩を切り取ってお守りにして持ち歩く事にする
「ふぅ…本日の執筆終了です!」
今日の日記は本当に素晴らしいこの半年間自分書いた日記の鬱々としたこと…
まさに日記…日を記すとはこの事だ、日毎悪化する自分の精神状態を連綿と伝えてくる文面…読むだけで鬱になる…
だが今日からの私は違う!北郷殿の帰還によって私は生きる希望を得たのだ
「もう自殺教官などとは呼ばせません!」
…そうなのだ、私は他の隊の人間からは『自殺教官』などと呼ばれているのだ…
天の国に北郷殿が帰ったときいて私の人生は3度目の終わりを告げた…
兄妹二人だった私の兄者は董卓へ与して連合との戦で死に、生きる術などなかった私は天からの迎えを待つ身となった…
しかし、そんな行き倒れの私をあのお方は救い、私に生きる機会を下さったのだ
私は兄上から伝授された戦斧術と形見の戦斧『曇天』を磨き魏の兵になる為必死で努力した
結果は最悪…入隊当初の成績は後ろから数えればすぐに見つかると言われる程
おかげで希望したとき北郷隊ではなく秋蘭様の隊に配属され、当時蜀のおかしな動きの見られた定軍山へと出兵したのだ
…どうしようもなかった…手柄を立ててなんとか北郷隊へ異動して貰おうなんて甘い事を考えていた
蜀の執拗な追跡に秋蘭様も典韋将軍(秋蘭様には部下の時真名を授けていただきました)も絶望感でいっぱいで
『北郷殿に助けて頂いた命ここで無くすのかな』
とか
『助けて頂いたお礼もせずに死ぬのかな』
とか思ったら本当に怖かった
だから北郷殿が来て下さった時に命懸けで戦ってくれた姿が兄上の姿と被ったのだ
私の為に必死に路銀を稼いで来た兄上…
私達を助ける為に己の時間がなくなるのを承知で救援に来た北郷殿…
その時に私の尊敬は崇拝に、慕情は愛情へと変わってしまった…
あの方の為なら死ねる、あの方に愛される為に生きる、それが私の全てになった
そしてそれは唐突に終わりを告げる
私は天下を統一した酒宴の席で北郷殿を探した
…今日こそ伝えねば、私の気持ちを…
周りを見渡し北郷殿と曹操様が出ていくのを見かけた
…悪いとは思ったが好奇心からついて行ったのだ
そしてその時を迎えた
私は走った…頭の中では今のは何かと必死に自問自答している自分…
北郷殿に何があったのか理解出来ず一睡もせずに朝を迎え…曹操様より魏の将兵へと伝えられた言葉を聞いて私は絶望した…
以後洛陽に帰った後私は三度自殺を計り、三度とも助けられてしまったのだ…
おかげで付いたあだ名が自殺教官や自刃将軍など不名誉なものばかり、北郷殿に聞かれてはもう二度と顔など合わせられない
さぁ、明日は北郷殿の帰還祝いの席があるらしい、曹操様、夏候惇将軍、親衛隊のお二人に、軍師殿達、ついでに蜀の皆さん達は午前中に城下の視察が有るらしい、せっかくの機会、上手く使って北郷殿に思いを伝えねば!
…さてと、明日の準備も終わったし、後は明日を待つばかり
私はそのまま瞼を閉じ深い眠りへと落ちていった…