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11話 一刀、思いを伝えるの事

 


場所は変わりまして玉座の間


…残念ながら現在時刻はだいたい夜中の2時位…


「さぁみんな、いろいろと聞きたい事があるでしょう、一刀へ聞きたい事、質問させてもらいましょう」


円卓の中心に立たせて質問責め…華琳、新手の嫌がらせだな…


みんながハイハイと手を挙げる…そうだよね、この行為はみんなが聞きたい事がある=俺が愛されてる証拠だよね、決して華琳の嫌がらせに荷担してる訳ではないよね?


「では春蘭からいきましょう」


「は!…北郷、聞きたいのだが貴様はこの半年何をしておったのだ?前に比べ別人のように逞しくなったようだが…」


「半年ではなく3年分だしね…」 


霞に説明した通りに説明すると


「…秋蘭、どういう意味だ?」


「…流琉〜、兄ちゃんの話わかった?」


案の定、理解できないのは二人のようだ


「二人共、後で説明する」


秋蘭、あしらい方、上手くなったね…


「…向こうからこちらに来ると三年が半年、しかしこちらで一年経ったのに向こうに行ったらかわりなし、か…」


理解ができた面々は小難しい顔をしているが、このままではらちが開かない


「他に質問ある人いる?」


みんな向こうでの俺の生活を聞ければ満足だったらしい、逆に一人も挙がらない…これはこれでちょっと寂しいかも(TωT) 


そんな中季衣が手を挙げる


「ねぇ兄ちゃん、さっきから持ってるその袋何?」


周りのみんなが『よくやった季衣!!』


みたいな視線を送ってる、これが俗に言う『多分お土産なんだろうけど貰う側からは恥ずかしくて聞けないよ』の法則だ(笑)


「あぁ、こっちの世界である程度役に立てそうな本やなんかをね」


本と聞いて嫌そうな顔をする季衣、春蘭、沙和、真桜、霞…予想通り


「どういった物を持ってきてくれたのかしら?」


興味ありげなのが華琳、秋蘭、風、稟、凪、流琉で、


『俺が持ってきた』という事実がなければ読みたい桂花


一山を華琳の前に山積みし


「こっちは華琳達向けで文学、農業、医学、用兵とかその他諸々、向こうで帰って来てから使えそうなのを片っ端から」


もう一山は真桜の前に積んで


明らかに真桜が嫌そうな顔をしてる


「こっちが料理、機械からくり、服飾、酒造技術なんかの本」


本に興味のなかった武官5人が釣れた


しゃ〜!!計画通り〜!!


パラパラと本をめくる華琳


「…なるほど、向こうでも努力はしていたようね」


俺の書いた要約を読みながら頷く華琳


「俺にできるのはそれくらいだったしね、みんなと一緒にいられる様になるまでできる事やろうって思ってさ」


「…だからといって私との約束を一度違えた罪は大きいわよ、一刀」


 


『華琳』から『曹孟徳』へと


まるで空気まで入れ替わったみたいな凜とした空気が流れる


「あぁ、罰は受ける」


俺も臣下として受ける


「命で償わされるかもしれないわよ」


「華琳が望むなら仕方ない、でも助命嘆願は受け入れてもらえるかい?」


「内容によるわね、聞くだけ聞いてあげる」


「ありがとう華琳…俺、向こうに帰って気付いちまったんだ、華琳が俺を胡蝶の夢に例えた時の言葉、俺がこっちの世界に迷い込んだのか、こっちの世界の北郷一刀が未来を見てきたのかって…俺は初め何の因果でこの世界居て、何をする為に居るか全く分からなかった、ただ分からないまま死にたく無くて、華琳に助けられて、その助けてくれた手に縋り付いて必死に生き抜く事だけ考えてた」


「えぇ、初めの頃の貴方はそうだったわ」


「そして帰って気付いたんだ、俺を自分が生きるのに必死で俺を生かしてくれたみんなの為に何ができたんだろう、って…俺は本当の意味で華琳達の為に戦えたのかなって…だから、だからな、俺…今度は帰る為に生きるんじゃなくみんなの為に、みんなの傍にいたいんだ、みんなの傍にいて、俺の持ってる力全てを国の平和の為に使いたいんだ」


「…なるほど、自分のためではなく今度は民や私達の為に力を振るうと」


「あぁ」


「そう言ったからには命を差し出す覚悟は出来ているのでしょうね?」


 


「むしろ今まで覚悟してなかったのがいけなかったんだ…もう一度だけ俺にチャンスくれないか?華琳…」


今まできつく眉根を寄せていた華琳の表情がふっと柔らかくなった


「それが向こうで貴方が得た教訓?」


「いや、まぁ、教訓ていうか、自分で決めた誓いみたいなものなんだけど…」


「ふふっ、良いわ、貴方の覚悟見せてもらった、北郷一刀、死罪だけは罷免してあげる」


「で、代わりに何をすれば?」


「あら、察しが良いじゃない」


…そりゃあ華琳の態度見たら一目瞭然だけど…


「簡単よ、私に貴方の国の言葉を教えなさい」


「あぁ、本なら俺の書いた注釈とか読めばだいたいわかるように…」


 


「…もう一度だけ言うわね、私に貴方の国の言葉を教えなさい」


「……ハイ……」


そんな怒らなくても良いじゃないか…


「…では今日はお開きね、遅いからみんな休みなさい、明日は蜀からの要望で模擬戦の再戦になったから一刀の帰還祝いに勝利をあげましょう」


…蜀との模擬戦?


「華琳、良いかな?」


「何?」


「明日の模擬戦、俺も参加していい?」


その場の空気は異様に冷たかった

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