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7話 路地裏で見たもの

 家から持ってきた食料を食べ終えた俺は、気になるので時間を確認した。



 次元の門付近で俺の部屋に置いてある時計を確認したところ、1分程度しか時間が経過していなかった。



(一時間くらいで1分か。およそ60分の1ってところだな)



 特に元の世界での時間を節約する意味はあまりないようにも思えるが、俺は魔王城で仮眠をとることにした。



 ベッドが無いと眠りづらいかと思ったが、スケルトンソルジャーと戦って疲れていたからか、俺はすぐに眠りに落ちた。



 天地之剣は何を思ってか、眠っている俺の傍にずっといたらしい。



 俺が目を覚ますと天地之剣は嬉々として俺に訓練再開を催促してきた。



「優よ、棺桶はまだまだあるぞ。いつ敵と遭遇するかも分からない。できるだけ戦いに慣れておくべきだ」


「分かったよ。まあ仮眠をとって回復したし、張り切っていくか」



 俺は4つ目の棺桶を開けた。



 中には黒装束を身に纏った骸骨が入っていて、俺が蓋を開け終わると外に出てきた。



「今度はスケルトンニンジャだな。その戦い方は変則的だが、今の優なら倒すことができるだろう」



 忍者も異世界にいるのかと俺が関係のないことを考えていると、それを戒めるかのようにスケルトンニンジャが手裏剣を投げてきた。



 三つの手裏剣が鋭く回転しながら俺に向かって飛んでくる。



 俺は横に大きく飛んですべての攻撃をかわした。



 スケルトンニンジャはどこからか小太刀を抜いて俺に距離を詰めてきた。



 俺も左手から天地刀を抜いて応戦する。



 俺は何度か切り込んでみるが、スケルトンニンジャの小太刀によって俺の攻撃は防がれてしまう。



 仕方がないので俺は空間の裂け目をつくり、小太刀をそこへ吸い込んだ。



 スケルトンニンジャはそれに反応して距離をとる。



 俺がすかさず距離を詰めようとするとスケルトンニンジャは何かを地面に叩きつけた。



 その途端に煙幕が発生し、辺り一面煙に覆われた。



 スケルトンニンジャが移動する気配がしたが、気づくと手裏剣が俺に向けられて投げられていた。



 俺は遅れて反応するが、手裏剣の一つが俺の腕をかすめて傷をつくった。



 俺は天地刀の能力を使い、空間の裂け目に煙を吸い込む。



 敵を目視した俺は次の手裏剣の攻撃をかわすことに成功し、距離を詰めて敵の首を斬った。



「見事だ。しかし、天地刀の能力に頼りすぎているように思える。次の敵からは能力を使わずに倒すがいい」



 それからも天地之剣の勢いは止まらず、俺はスケルトンソルジャーと戦い続けた。




 そして、最初から数えて10体のスケルトンソルジャーを倒し終えると、俺は少し腹が減ってきたので買い出しに行くことにした。



「少し戦い方が分かってきた気がするよ。それじゃあ一回食料を買いに行ってくるから、また戻ってきた時は次元の門を頼むよ」


「了とした。では行くがいい」



 俺は魔王城の三階から次元の門を通って家に戻り、外に出た。



 俺が住んでいる場所は住宅街であるため、コンビニまでは少し歩かなければならない。



 急ぐ理由もないのだが、俺はこちらの世界にいる時間が勿体無いような気がして走ってコンビニに向かった。



 コンビニでできるだけ保存の利く物を中心に買って俺は帰り始めた。



 帰りは歩いていたが、できるだけ早く帰るために路地裏を通る。



 路地裏でキスをしている男女がいたが俺は気にせず通ろうとする。



 しかし、壁側にいた男の違和感に俺は気づいた。


 いや、気づいてしまったというべきだろう。



 俺が男の方をよく見ると、顔の形がどんどん崩れてきて、最終的には灰のようになって消えてしまった。



 俺はできるだけ平生を装ってそのまま帰ろうとするが、その女が話しかけてきた。



「あなた、見たわね?」



 俺はそれでも歩き続けたが、次の瞬間俺の右足が何かに引っ張られた。



 俺はその場に荷物を置いたが俺の体は引っ張られ続けて宙に浮く。



 見ると、鞭のような物が俺の右足に巻き付いていた。



 俺は、咄嗟に天地刀を出し、その鞭を切った。



 天地刀を出したことにより、俺の背後には天地之剣が出現する。



「敵と遭遇したようだな、優よ。天地刀の能力は一度しか通用しないと思え。使いどころを誤るな」



 天地之剣が俺に話しかけてくるが、この女には天地之剣が見えていないため、俺はできるだけ天地之剣に反応しないようにする。



「へえ、テランかと思ったけど。あなた、アストリア王国の人かしら~?」



 ロールがかった金髪に端正な顔をしたその女性は、日本人ではないことは分かる。




 それに加え、初めて聞くテランという言葉。



 おそらくこの女は異世界から来ている、俺はそう直感した。



「坊や、あなた美味しそうな見た目をしてるわね。でも生憎私は今おなかいっぱいなの。だからね、せめてできるだけ楽しく遊んでから殺してあげるわ」



 女は右手に持った鞭を再びこちらに伸ばしてきた。



 鞭は俺の左手に巻き付いたので、俺は天地刀で切ろうとする。



 しかし、敵は瞬時に俺の左手を鞭で引っ張り、俺が態勢を崩したところに距離を詰めてきた。



 女の左手にはダガーが握られている。



 俺は一度ダガーを天地刀で受け止めるが、俺の刀は弾かれ、そこを狙って敵がダガーを刺し込んでくる。



 俺はぎりぎりのところでその攻撃を避け、敵を狙って天地刀の能力を使い、敵に斬りかかった。



 空間の裂け目が発生し、女の左腕を飲み込む。



 しかし、空間の裂け目が敵を飲み込み終わる前に、敵の左腕がちぎれてしまい、敵は後退した。



「今のは危なかったわね。精霊の力かしら?もう手加減はしないから」



 天地刀の能力という一度きりのチャンスを逃してしまった。

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