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6話 骸骨修行

 骸骨は立ち上がり棺桶の中から出てきた。



 その骸骨は頭に兜をかぶり、体には鎧を纏い、右手に剣を、左手には盾を持っている。



「これはスケルトンウォーリアーだな。最初の相手にはちょうどいいだろう。では優よ、我の能力を使わず倒してみろ」


「空間の裂け目をつくる能力を使わずに倒すんだな。分かった、やってみる」



 俺は左手から天地刀を抜き、構えてみる。



 スケルトンウォーリアーはゆっくりとこちらに近づいてくるので、俺は試しに首を狙って斬りかかってみた。



 すると、スケルトンウォーリアーは反応して盾で俺の攻撃を受けてきた。



 さらにその後すぐに剣で俺を狙って攻撃してくる。



 俺は少し態勢を崩していたために反応が遅れ、慌てて後ろに飛んだ。



 敵の剣は床に当たり、床を破壊した。



 あまりにも威力が高すぎる。


 一度でも食らえば致命傷なのではないか。



 後ずさる俺に、天地之剣は厳しい口調で言う。



「何を怖気づいているのだ。優はかつて魔王を倒したのだ。その戦い方を思い出せばこの敵など一捻りであろう」


「分かってるよ。でもあの攻撃は食らったらやばそうだから慎重にならざるを得ないだろ」


「スケルトンウォーリアーの攻撃は遅い。その動きを見極めて隙をつくのだ。それに徹すれば簡単に倒せる」



 確かにこの敵の動きは明らかに遅い。



 一撃の重さを見て警戒していたが、天地之剣が言うようにかなり戦いやすい部類なのかもしれない。



 俺はスケルトンウォーリアーがこちらに近づいてくるまで待ってみる。



 スケルトンウォーリアーは充分に俺に近づくと、右手を大きく振って俺に攻撃してきた。



 俺はその攻撃を避け、敵の右腕を切る。



 天地刀の切れ味は鋭く、骨は綺麗に切り落とされた。



 スケルトンウォーリアーはそれでも今度は左手に持った盾を俺にぶつけようとしてきたので俺はまた攻撃を避けて今度は首を狙って斬った。



 頭を失った骸骨は動力を失い、前に倒れるのだった。



「そうだ。うまく倒せたな。しかし、この程度で終わっていては何もできんぞ。次の棺桶を開けるのだ」



 俺は一度天地刀をしまい、天地之剣に急かされるままに次の棺桶を開けた。



 棺桶の中の骸骨は黒い古びたローブを身に纏っている。



 俺が蓋を開け終わると、突然その骸骨から火が吹き出してきた。



 俺は慌てて後退する。



「どうやら次はスケルトンソーサラーのようだな。我の能力に慣れるために利用するとしよう。優よ、次の攻撃は我の能力で攻撃を吸収するイメージを持ちながら異空間を発生させろ。それは、空間の裂け目とは異なる性質を持つ」



 俺は天地刀を構えてスケルトンソーサラーの次の攻撃を待つ。



 スケルトンソーサラーは棺桶の中からゆっくりと出てきて杖を構え、杖の前が突然輝くと雷が飛んできた。



 俺は天地刀を振って異空間を発生させた。



 雷はその異空間に吸い込まれるように入っていき、異空間が閉じると共に消えていった。



「うまく入ったな。優、我の能力には次の段階がある。今吸収した攻撃は異空間に閉じ込めてあるのだ。今度はさっきの雷を出すイメージをしながら刀を振れ」



 いきなりの天地之剣の説明に俺は少し戸惑うが、俺はさっき吸収した雷の攻撃をイメージしながら天地刀を振り、異空間をつくった。



 天地刀の前に異空間が発生すると、そこから雷が敵に向かって飛び出した。



 雷は敵の左腕に直撃し、攻撃が当たった部分は焦げて変色した。



「そうだ。これは敵の攻撃を無効化して攻撃仕返すだけでなく、異空間にあらゆる魔法を攻撃手段として閉じ込めておくことができるのだ。このスケルトンソーサラーにしばらく攻撃させて異空間に魔法を溜めておいた方がいいだろう」


「確かにこいつの攻撃をとっておけば便利そうだな。無制限に溜められるのか?」


「我はエルドラークの神だ。管理できる空間に制限はない」


「そいつは頼もしいな。分かった、ありったけストックすることにするよ」



 スケルトンソーサラーは今度は鋭く尖った水を槍のように飛ばしてきた。



 俺は天地刀で異空間を発生させて攻撃を吸収する。



 その後も俺はスケルトンソーサラーの攻撃を吸収し続け、炎と雷と水の三属性の合計百回分くらいのストックが溜まった。



 スケルトンソーサラーはそこでこちらに歩いて近づいてくるようになり、俺に到達すると杖を振るって攻撃してきた。



「魔力切れのようだな。この敵はもう仕留めても構わないだろう」



 どうやらこのスケルトンソーサラーはもう魔法を発動できないらしい。



 俺は杖による攻撃を避けて敵の足を切って倒し、首を斬ってとどめを刺した。



「魔法を吸収するためにかなり時間を使ったな。次の棺桶が終わればで一度休むがいい」



 俺は内心まだやるのかと思いつつも次の棺桶を開けた。



 棺桶の中からはマントをたなびかせ刺突剣を持った骸骨が颯爽と出てきた。



 その立ち振る舞いは今までの二体と比べてより人間らしく、俊敏そうなその動きから手強いことを俺は直感した。



「これはスケルトンナイトだ。今までのようにはいかないぞ、気を付けろ」


「どうやって戦えばいいんだ?」


「隙を見て我の空間の裂け目をつくる能力を使え。幸い敵に能力を警戒するだけの脳はない。何度か使えば敵は戦闘不能に陥るだろう」



 天地刀の能力の使用許可が出たために俺は少し安心していたが、スケルトンナイトの動きを見て俺はすぐに我に返った。



 スケルトンナイトはこちらに瞬時に距離を詰めてきて刺突剣で俺の顔を狙って突いてきた。



 俺はその攻撃を避けて敵を切るつもりで天地刀の能力を使った。



 空間の裂け目がスケルトンナイトの体にのめり込む。



 しかし、スケルトンナイトは俺の攻撃を無視して刺突剣で俺を突いてきた。



 敵の刺突剣が俺の頬をかすめる。



 空間の裂け目はスケルトンナイトの体を半分飲み込み、スケルトンナイトは上半身だけとなって前に倒れてきた。



 俺はすぐさま敵の首を斬ってとどめを刺した。



「上出来だ。少し能力の発動に集中しすぎて気が緩んだな。本来の敵であれば一度能力を見せれば警戒されることを頭に入れておけ。同じ手は二度と通用しないということだ」


「ああ、分かったよ天地之剣。約束通り休憩させてもらうよ」



 俺は一度天地刀を左手にしまって部屋の隅に座り、持ってきた食料を食べ始めた。

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