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既視攻撃

ーーーーー<<<<<第壱章:街中観察>>>>>ーーーーー



「さてと、何から始めるべきなんだろうか最初は」


「さぁ、僕もさっぱりわかんないよ」


俺はトワネットの方をじっと見つめた。


「何?私だって知ってるはずないでしょ?」


「えっと...こういうのはまず最初に散歩を装っていろんなところを見て回るの」


4人の中では1番連合に所属した期間の長いヘズヴェラがそう言った。


「それから、異常な所があったら時間と簡潔な事項をまとめてメモか何かに書き留めておくの、まぁ時間も内容も覚えてられるのならメモなんて必要ないんだけどね。」


「無理に決まってんだろ」


「僕もそんなことできないなぁ」


「私もそんな器用な真似はできないわね」


口をそろえて言う。


「あはは、そりゃそうよね、だって私もそんなことできないもん、みんなノートとか手帳は持ってる?」


「俺は手帳を持ってる。」


「僕はミニノートなら持ってるよ。」


「私も手帳なら持ってるわね。」




「じゃあ大丈夫ね、それじゃ手分けして観察しましょ」




ーー*--*--*--*--*--


 俺はゼルウィン中央公園広場に来た。そこでは幼い少年少女らが仲良く遊んでいたり、老人たちが団欒している。


「ストレンジネスなんていねぇじゃねぇか」


いたって平和で異常性などどこにも感じられない。本当にストレンジネスなどいるのだろうか?それとも俺は来る街を間違えたのか?こういうことを思うのは連合での仕事を正義感や使命感ではなく、ただ単に楽しさややりがいだけで行おうとしているわけだ。


「んなこと言っても仕方ねぇよな...どうせ収穫がなくても収入くらい入るわけだしよ...」


自分にそう言い聞かせ、俺は雑念を取り払った。




ーー◯ーー□ーー△ーー×ーー


「なんか面白いことないかなぁ...早く撃ってみたいんだけどなぁ...」


僕はそう呟きながら、小さな袋を握りしめる。ノルニスたちは剣や杖だから袋に包んで気配を消す魔法をかければいいけれど、僕の武器はなんせ対物スナイパーライフルだから大きくてそれだけでは隠しきれない。だから袋にライフルを包んだ時に気配を消す魔法と、物体を圧縮させる魔法をかけられる。ちなみに袋から武器を取り出すと小さくなった狙撃銃が元のサイズに戻って使えるようになるらしい。なかなか連合ってのは凄い魔法を使えるみたいだ。少なくともヘズヴェラの数倍以上には。


「お、あんなとこに売店あんじゃん、なんか買ってこよっと」



そう言って売店に足を運ぼうとしたその時だった



「なぁ...お前山ほど持ってんだろ?」


どこか聞き捨てならぬ内容の言葉が僕の耳を過った。


「な...何をですか...?」


「あ?ふざけんじゃねぇよ分かってんだろ?」


「も...持ってるわけないじゃないですか...」


「とぼけんじゃねぇ!!さっき見たんだよお前がなんか買ってるときに財布にあった札をだ!!あれは軽く10枚はあったな」


「あんたたち何してんの?カツアゲがなにか?」


「あぁ?なんだずっと見てたのか?しかもお前どっかで覚えがあるような...どっちにしろ見てたんならタダじゃ返さねぇぜ?」


間違いない、こいつは昨日僕に絡んできた奴だ。幸いこちらのことは泥酔していたおかげもあってかはっきりとは覚えていないようだ。


「タダで返せないような真似なんかするんじゃない」


「うるさい黙ってろ、これは俺のやり方なんだ」


「だったら僕はどうすればいいわけ?ちなみに暴力で解決とかはできればしたくないんだけど」


「まさか大口叩いといて逃げるつもりか?」


「だって君、いかにも弱そうだもん」


「んだと?この俺様を怒らせるとはいい度胸じゃねぇか!?」


「本当にやるつもり?そのつもりなら僕は良いんだけど」


「上等だ!!」


僕は瞼を閉じて一瞬のチャンスを探る。


奴が近づいてくる。




僕が銃を使わずに戦える唯一の方法












ーーーーー今だーーーーー












クリティカルトレーシング


この技は過去の記憶の断片から他人の動きを完璧に再現し、その記憶を削除するもの。


僕は昔から物覚えが良かった、その利点を十分に活かす技だ。


昨日ノルニスが放った蹴り技を完全に再生する。


僕は膝を閉じつつ右足を高く上げ、閉じた膝を開いて思いっきり奴を蹴る。そうすると奴はとても既視感のある吹き飛び方で後退した。


その瞬間、ノルニスの蹴り技の記憶だけが完全に消滅した。


僕は前方で立ちすくんでいる男性の腕を掴んで、その場から立ち去った。


これで一つ分かったことがある。


奴は弱い


おそらくストレンジネスではないだろうと思う。

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