列車で遭遇
俺は大転移門の前にスポーンした
「っててぇ...」
まだ仄かに肩の痛みが残っているが、傷自体は消えているからすぐに無くなると思う。周りを見渡すと武装している人間は9人、どうやら本当に残り人数は10人のようだ。
「おっ疲れさまー!!」
そこにいたのはヘズヴェラだった。「お、おう」
「今帰ってきたってことは合格したんだよね?」
「いやまぁ...そうだと思う」
「じゃあお役所に行って手続しなくっちゃ」
「役所か...場所わかんねえんだが」
「じゃあ案内するね、でもお役所に行くのなんて久しぶりだからちゃんと道覚えてるか分からないけど」
俺は流されるように歩き、役所にまでついていった。
「中は意外と質素な造りなんだな...」
役所の中は飾りっ気がなく、奥に手続きカウンターがあり、木の床に赤い絨毯が敷かれていて、ベンチが複数並べられているだけの何とも言えない感じである。だが少し落ち着ける場ではあるなと思った。
「えっと...俺は何をすればいいんだ?」
「とりあえず”その他”の窓口で色々やってもらいましょ」
「りょーかい」
俺は”その他”の窓口に駆け寄った
「お客様、ご用件は何でしょうか?」
「えっと戦士免許の手続きなんですけれど...」
「はい、かしこまりました。それでは住民番号の確認を行いますので、手のひらを拝見いたしますね」
「わかりました。」
ん?住民番号?なんだよそれ、多分俺登録してないぞ?どうすんだよ...
「フェビル・コンフィメイション・レジデントナンバー・セーブ・アクティベート」
受付人には心の声は当然届かないため、お構いなしに術式を唱える。おそらく術式の言葉の意味から察するにコンフィメイション(Confirmation)が確認という意味で、レジデントナンバー(Resident number)が住民番号で、セーブ(save)は保存という意味だろう。
「お客様、こちらでお間違いないでしょうか?」
受付人がそう言うと、前にはディスプレイが出現した。
内容はと言うと
氏名 Nolnis・Einwan
性別 男性
年齢 18
住民番号 CT・M・1771・6379
生年月日 神暦1771年6月18日
と書いている、異世界に転生した時に勝手に登録されたのか?となると、かなりありがたい話ではある。これで公共機関からのサービスなどを容易に受けられる。
「あ、はい。合ってます。」
ホントに合ってるのかは分からないが、適当に答える。
「では免許証を発行するために顔写真を撮らせてもらいますね」
「あ、はい。」
顔写真の撮影なんて自動車免許取った時以来やってなかったから久しぶりだなぁ...
「フェビル・フォトグラフィー・セーブ」
術式を唱えると、受付人の前に現像された写真がひらひらと落ちてきた。
「こちらでよろしいでしょうか?」
受付人はその写真を差し出した。映りは悪くない、よしこれでOK
「全然問題無いです。」
「それでは明日、免許証をお届け致しますので、宜しくお願い致します。」
「分かりました」
というと受付人は奥に去っていった。
「おーいヘズヴェラー、終わったぞー」
「じゃあ買い物して帰りましょ、今日はパーッとやるわよ」
「そんな豪勢な料理はいらないぞ」
ーー◯ーー□ーー△ーー✕ーー
僕は役所に向かった。「あの男は一体何者なんだろう...?」あの異常な回避速度と移動速度、あれはきっと生まれつきの才能だろう。
「すいません、戦士免許の手続きお願いしてもいいですか?」
「かしこまりました、それでは住民番号の確認を行いますね」
そういうと受付人の女性は術式を唱え、僕の前にはディスプレイが表示された。
氏名 Stofy・Patriel
性別 男性
年齢 17
住民番号 CT・M・1772・3087
生年月日 神歴1772年7月27日
「お間違いないでしょうか?」
間違っているところはどこも無し(住民番号は覚えてない)
「大丈夫です」
免許は明日発行されるようなのですぐに家に帰ることにした。
自宅のあるライラックまでは列車で20分と言ったところだろうか。
「駅はえっと...」
戸惑いながら歩いていると、女の子にぶつかった。何故か弓を背負っている。
「あんた、ちょっと気を付けなさいよね!!」
その女の子は怒ってるみたいだ...
「すいません...」とりあえず謝ってその場から去る。
スタタタタっと小走りで駅に向かい、切符を購入して改札を通る。
「まもなく3番線ホームよりサウスフロント線フレイティア行き急行列車が発車致します」
「やべっ」
僕は急いで階段を駆け下り、列車に飛び乗った。その直後に列車の扉が閉まった。「危ない危ない...」ほっと一息ついて、周りを見渡すと列車内は比較的空いているようで自由な席に座れる。
僕はなんとなくドアから一番近かったロングシートの真ん中に座った。
「ふぅ...?」向かいの席を見ると、どこかで見覚えのある服装をした男が座っていた。隣の女の子と話をしてるみたいだ。
「あのスナイパーはホントに強かったなぁ...あ?」その男とピタッと目が合った。コンマ数秒の沈黙の後、僕とそいつは声を合わせて
『あぁ!?お前あの時の!!』
「え?お二人さん知り合い?」その女の子がそう言った。そうすると僕たちはそちらに顔を向けて言った。
「こいつが俺を撃ったスナイパー!!」
「こいつ僕の弾を全部避けた人!!」
「へ、へぇ...」女の子は呆れている。まぁ突然叫びだしたもんだからしょうがないっちゃしょうがないのかな。
ーーSーーW--O--R--D--
「で、なんでお前がついてきてる訳?」
「いーじゃん別にさ、戦友なんだし」
「お前と戦友になった覚えなんてねぇよ」
「お前じゃなくてちゃんと名前で呼んでよ」
「はいはい、分かったよストフィー」
「まぁまぁ二人共、喧嘩は良くないよ...」
なんでか良くわからないが、このストフィー・パトリエルというショタ属性を持った男が俺とヘズヴェラの後をつけてきている。
「それでストフィーはなんでついてきてんの?」
「君は多分これから夕飯だろうしそれ作るのヘズヴェラちゃんだろうし、料理作るの上手そうだったから」
「ストフィー...お前なかなか目が良いな...」
「お、当たりだった?」
「大当たりの大当たりだ、ヘズヴェラの作る料理は滅茶苦茶美味いんだぞ」
「お世辞は辞めてよ...」
「いやいや、お世辞じゃなくて本心だから」
「絶対君の料理美味しいじゃん」
「じゃあ思いっきり不味い料理作ろうかしら」
「それは辞めてくれ...」
「え...?」
「冗談よ冗談、とっておきのを作ってあげるわ」
アルファポリスでの重複投稿を始めました。もしかしたら今後はそっち中心かもしれないです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/475898271/834430319/episode/3540057
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