戦士免許取得試験 ー上ー
---神歴1788年12月26日,クローバー,ヘズヴェラの家---
「あれ、ノルニスがいない、どこに行ったのかしら?」私は屋根裏に登っていつまでたっても起きてこないノルニスを起こそうとした...のだが、肝心なノルニスは布団から消えている。
「もしかして...」と思い、私はお弁当を持ってクローバー草原に向かった。
「フェビル・ドゥンケル・フレイム・ミキシング・アグレッション・アクティベート」
俺は両手広げて前に伸ばし、ダークフレイムの呪文を唱えると、目の前に臙脂色の光が発生し、その場で弾け飛んだ。「はぁ...」俺はため息をついた、これで発動失敗56回目だ...なんで発動しないんだ...ダークフレイムという名前には男子の心を揺さぶる何かがあるようで、なんとなく習得したいとは思ったのだが、そう簡単にはいかないようだ。
「あ、やっぱりいた」
振り返るとそこにはヘズヴェラがいた。やっぱり勝手にいなくなったのは悪かったかな...
「昨日はなんか...ごめんね。」ヘズヴェラは俺に対して謝った。謝ることなんて何もないだろうに、なんだか気を悪くさせてしまっているようだ。「いやいや、こっちこそすまん。」俺も反射的に謝る。「そ...そうよね。」
「あ、そうだ、ダークフレイムの出し方教えてくれよ」
話題を変えるために適当なことを言っておく
「うん、全然いいよ」
---数日後---
---神歴1789年1月10日/首都アラウェル,カーリティア議会議事堂,大転移門前---
俺は数日間魔法の修練をし、剣技を磨き、己を僅かではあるが鍛え上げた。
“1789年度戦士免許取得試験”準備は万全、あとは本番を待つのみ。
「まもなく試験の方、開始させていただきます。」
男性の声だ、この人はどうやら案内人らしい。注意事項などはしっかり耳を澄まして聞いておこう。
「それでは当試験、ルールなどについてご説明させていただきます。当試験は1対1のトーナメント制ではございません。全参加者同時対戦のバトルロイヤル制とさせていただきます。」
バトルロイヤル!?まさか異世界でそんな単語が出て来るとは思わなかった。そんなゲームでするようなことは実際にやれって言うのか...全くぶっ飛んでやがる。
「戦闘に使用させていただく場所は、直径10㎞の正方形の仮想世界となっています。戦闘などで負傷限度値に達した方は、そのままここの転移門に全回復状態で送られます。そのまま残り人数が10人となった時点で試合終了、その時点で残った参加者は全員試験合格とさせていただきます。使用可能武器は、剣・槍・弓・銃・杖の5種類となっております。他種類の武器の持ち込みは禁止させていただきます。」
「それでは、1789年度戦士試験、始めさせてもらいます。それでは、検討をお祈りいたします。」
案内人がそう言うと、俺は吸い込まれるように白い世界に包まれ、森の中にスポーンした。
周りには木と茂み以外何もない、とりあえず洞穴でもあればそこに隠れておくことにして、まずは探索する。もしかしたら戦闘時に有利になる物が設置されているかもしれない。
そう思い息を殺しながらノソノソと歩いていると、奥の茂みでカサカサッと何かが動くのが分かった。「誰だ!?」俺は剣の柄を握り、茂みを凝視した。するとそこからバサッと何かが飛んで出た、相手はローブで身を包んでいるせいで顔は分からない、だが片手剣を腰に吊るしてある、これなら対等な戦いができるだろう。
「フェビル・フレイム・アグレッション・アルマー・アクティベート」
そいつが術式を唱え抜剣した。その瞬間、相手の刀身が真っ赤に燃え盛った。
マズい、攻撃特化炎属性武装付与魔法だ。こうなれば俺も同様の措置を取る。
「フェビル・エルヒタン・アグレッション・アルマー・アクティベート」
俺は攻撃特化雷属性武装付与魔法の術式を唱えた。そして抜剣する、すると俺のフランス軍用鉄剣の刀身が黄色の光を放ち、電流を走らせた。
そのまま剣と剣同士を叩きつけ合った。金属の大きな音を立てて両者が弾き飛ばされた。
俺は怯まず相手の方に走り、剣を振るった。だが相手も怯まないのは同じで防御されてしまった。だが俺はすぐに剣を離し、足の方を狙った。そうしたらようやく一発入れることができたが、相手にとってはそんな傷は気にしないようだ。そうな風に安心していると、相手は信じられない速度で接近し、俺の腹を攻撃した。次の瞬間、俺は大きく怯み、吐血した。「ガハッ...」油断してしまった。「フェビル・ヒーリング・アクティベート...」俺は岩の後ろに身を隠し、咄嗟に回復魔法を唱え、傷を緩和した。
「フェビル・クロシオン・アクティベート」
相手は腐属性魔法を唱え、岩を溶かした。どうやら相手は相当な魔法の手練れのようだ。「こりゃヤベェぞ...」俺はあれを出すことにした。
「フェビル・ドゥンケル・フレイム・ミキシング・ブースト・アグレション・アクティベート」
俺は一番の得意魔法、ダークフレイム(威力爆上げ版)を放った。
「フェビル・プロテクション」
相手には簡易防御魔法で防がれてしまった。だがここまでは計算通り「おリャァァァァァ!!」俺は相手の隙をついて腰から対角線上の肩まで大きく切り上げた。
相手は一瞬で負傷限度値に達したようで、黄色い閃光を傷口に走らせ、大きく出血させながらその姿を消した。
「勝った...のか?...」俺は心を休ませた。だがそれも束の間、後ろから何かが来ていることに気が付いた。「おいおい、マジかよ、次から次へと」
投稿間隔が少し開いてしまい申し訳ありません。リアルが少し忙しくてなかなか執筆できませんでした。
余談ではありますが、先月まではフォートナイトをこれでもかというくらいプレイしていたんですけど最近はあまりやってません、何故なんでしょう。
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