プロローグ
諸事情により再投稿致しました。
---神暦1789年12月24日/カーリティア帝国,首都アラウェル---
今日は大魔獣クラスの狩りには行かず、行きつけの喫茶店で紅茶を飲みながら推理小説を読んでいる。「もう一年か...」今から丁度一年前、俺の人生に転機が訪れた。
---西暦2022年12月24日/フランス,パリ,エッフェル塔前---
いつも一人の俺にはクリスマスイブなどというイベントには全くと言っていいほど興味がない。街中の至る所でカップルだろう男女二人組を確認できる。「馬鹿どもめ...」別に羨ましいわけじゃない、学校でもプライベートもずっと一人で過ごしてきた俺だから価値がわからないだけだ。
近くに売店があったので、そこでエナジードリンクを買い、店の前で飲みながら携帯の通知を確認する、「お、今日配信やってんじゃん。」俺はVTuberのライブ配信をよく見ている、日本でそれが流行っていると聞いて試しに見てみたが、ユニークでいいなと思った。配信を見るためだけに丸一年費やして日本語を勉強したくらいだ。
20分ほど配信を見て、目が疲れてきたので上を向いた
だがそこで俺の目にはとんでもないものが映った、ビルの屋上で柵の外に立っている青年がいたのだ。「自殺しようとしているのか...?」俺は左手で握っていた空き缶を地面に叩きつけ、屋上に向かった。なんとしても阻止しなくては、目の前で自殺しようとしている者がいるのに、見放している訳にはいかない、
1分程で屋上に着いたが、その瞬間すれ違うように青年は飛び降りた、俺は急いで腕を伸ばし、青年を足を掴んだ、「クッ...このっ...!!」この青年見かけとは対照的にとても重い、俺じゃ持ち上げられる気がしない、「なんで...止めたんですか...」青年がそう言った。「なんでって...この状況で止める人間がいるもんか...」
俺は力を振り絞った、だがやっぱり持ち上げられない。俺はもともと腕力がさほど無い、剣士ではあるが機動力重視のスタイルなので体重も武装も軽い。だが諦めない、俺はもう一度力を振り絞った、すると奇跡的に青年の体を持ち上げることに成功した。
だがその代わり俺が落ちてしまった、でもこの高さなら俺は死んだりしない、軽傷で済む。そう思って着地体制に入ると、奇妙な感覚に襲われた。
その瞬間、俺の視界が黒く染まり、元居た場所から離れていく。
「俺...死んだのか...?」だが違った。瞬きするとそこにあるのは薄暗い路地裏だった、俺は光がある方に向かって周囲に警戒しながら歩く、路地裏を抜けると、驚くべき世界が広がっていた。中世的な街並みだ、「は...?」俺は今起きていることが理解できなかった。
明晰夢か...?そう思い、自分の姿を確認する、だが現実と全く変わりない、黒いジャンパーに、ベージュの長ズボン、背中にはショルダーバッグ、おまけに腰に吊るしていた片手剣までしっかりと存在している。明晰夢ならここまで精密に再現できるとは思えない。
「まさか...」そこで俺の中であまりにも信じがたい一つの可能性が脳裏に過った、間違いない、ここは異世界だ。日本の本で読んだことがある。トラックに轢かれそうになっている人を助けようとして身代わりになって異世界に転生したり、コンビニからの帰り道に転生したり。「マジかよ...こんなことが本当にあるとは...」
この時の俺はまだ知らなかった、この世界で新たな伝説を作ることになるとは。
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