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083 宝具解放

 そういえばここにはミナスティリアがいたんだったな。

 しかし、霊薬を使って一時的に勇者の加護を取り戻した俺に反応して来るとは……。

 そうなるとミナスティリアは大丈夫なのだろうか?


 俺は意識を集中し、ミナスティリアが仲間と一緒にいて安全であるのを確認する。


 良かった。

 なら、やることは決まったな……。


 俺は二つの宝具に向かって心の中で呼びかける。


 もう、前の力の半分も出せないし、この力は短い時間しか使えない。

 その間だけでも力を貸してくれるのか?


 俺の問いかけに二つの宝具が軽く光る。


 わかった。

 なら、力を貸してくれ。


 俺はゆっくりとレバンテインの柄を握ると、二つの宝具は光りだし、鞘になっていたアレスタスの鎧は俺の身体を覆っていきフルプレートの鎧に変わる。

 すると、それを見ていたブレドはニヤリと笑い、ベアードは口を大きく開けて叫んだ。


「あ、あ、アレス様ーーー⁉︎」


「……ベアード、俺はキリクだ、わかったな」


「えっ、いや、あの……えっ?」


 混乱しているベアードの方を見ながらブレドが俺に声をかけてくる。


「キリク、ベアードにはしっかり口止めしとくから心配するな。それより行けるか?」


「ああ、これなら確実にやれる」


「そうか、いつも無理をさせてすまないな……」


「気にするな。それじゃあ、頼むぞ」


 俺は、破壊された壁の穴から飛び出し、そのまま道化師のいる高さまでアレスタスの鎧の力を使って飛んでいく。

 すると、誰も自分のいる場所に来ないと思っていた道化師は、飛んでくる俺の姿に驚き慌てはじめた。


「な、な、な、な、なんですかああぁ⁉︎あなたはーーああ⁉︎」


「お前を倒しにきた亡霊だ」


「ふ、ふざけないでくだーーさい‼︎わたしはあの城を破壊しなけーーればあああぁ、ならないのでーーす‼︎」


「それをされたら困るからお前を倒すんだよ」


 俺はレバンテインを掲げながら、空いた手を胸の辺りに置き、魔力を高めながら呟いた。


「レバンテイン宝具解放。アレスタス宝具解放」


 俺が言い終わると同時にレバンテインとアレスタスの鎧が輝き始め、太陽のように辺りを照らしていく。

 それを見た道化師は焦っていたが、魔法が完成し魔法陣が輝き出すと余裕を取り戻し嬉しそうな顔になる。


「ざあああんねえええーーんですう‼︎わたしの命を捧げたこの魔法でえぇぇ!あの城と一緒に死んで下さあああぁーーーーいいいぃぃいいぃ‼︎」


 道化師は両手を振り下ろすと、魔法陣から巨大な火球が現れ城に向かって落ちていく。

 しかし俺はレバンテインを火球の方に向けずに軽く適当な方向に振るった後、一言呟いた。


「滅せよ」


 その瞬間、一瞬で王都全体を黄金の光りが包み込んでいく。

 その際に巨大な火球と道化師、そして王都を襲ってる死霊術師や召喚された魔物は一瞬で跡形もなく消え去ってしまう。

 それを確認した俺は大きく溜め息を吐いた。


 ふう、終わった。


 俺はまだ王都中が光りに包まれてるうちに城に戻っていく。

 中ではブレドとベアードが待っていて、ブレドは俺に頭を下げ、ベアードにいたっては恭しく跪いてきた。


「おいおい、二人ともやめてくれ」


「いや、キリク、お前はスノール王国を救ってくれた英雄だ」


「アレ……キリク殿、このベアード貴方様のご活躍を間近で見れるなんて感激でございます‼︎」


 ベアードは感極まっているようで涙を流しながら迫ってくる為、俺は若干引き気味になる。


「お、おおげさだな。それに涙を流すほどじゃないだろ……」


「何を言ってるのですか!あれはまさに英雄譚で歌われるような内容ですぞ!」


「い、いや、あれくらいなら、そこにいる国王様だって昔ならできたぞ」


「いや、これでは無理でしょう」


 ベアードが即答で答えた為、隣りにいたブレドは若干涙目になっていたが咳払いをすると俺に話しかけてきた。


「ま、まあ、昔の私でもあれは流石に無理だぞ……。それよりも、キリク、身体の方は大丈夫か?」


「いや、今回は宝具を使ったせいかもう霊薬の効果が切れそうだ」


 そう言ったと同時に霊薬の効果も消えていき、再び俺の力も封じられてしまった。

 更にレバンテインが俺の手から離れ、アレスタスの鎧も俺の身体から離れると二つの宝具はまた一つの形になりその場で床にゆっくりと落ちていった。


「ブレド、その宝具はミナスティリアが来たら返してやってくれ」


「ああ、しかし勇者達にどうやってお前の事がバレないように話すかな……。それに国民もおそらくお前の勇者としての姿は見たと思うぞ」


 確かに、空に魔法陣が浮かべばそちらに目がいき、近くにいた俺にも目がいくか……。


「なら、一瞬だけ、友である国王様に勇者の力が宿ったとかは駄目なのか?国を救いたいという心が英知神アレスに届いたとか適当に言えば」


「キリク……。お前、一応勇者だろ。なかなか罰当たりなこと考えるな……」


「じゃあ、どうするんだ?俺は絶対にバレたくないぞ」


 せっかく、宿で気持ちを整理して改めて冒険者キリクとしてやろうと思ってたんだからな。


 そんな事を思っているとベアードがボソリと喋りだした。


「正体を隠さないといけないという事は国王より聞いております。なので、アレス様の英霊がスノール王国を救ったというのはどうでしょう?」


「そうか!アレスはこの地で死んだ事になってるからな。スノール王国を救う為に英霊として現れこの二つの宝具を使って救った。良い案だなベアード!よし、決まりだ!……っておい、キリク⁉︎」


 ブレドに言われ俺は自分の状況を確認すると、いつの間にか床に膝をついていたので立とうとすると一気に力が抜けていき、倒れてしまう。

 そんな俺の側にブレド達が慌てて駆け寄る。


「……悪い、限界……みたいだ。ブレド……もしもの時は……」


「……わかっているよ」


 俺はブレドの言葉を聞いて安心し、意識を手放すのだった。


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