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076 商人の情報力

 あれから、俺達はボナルの屋敷や地下水路を調べたが情報になるものは出なかった。


「これ以上は何も出ないな。今日はここまでにしよう」


「じゃあ、俺は宿とか探さないといけないからそろそろ戻るぞ」


「キリク、ご苦労だったな。明日は謁見の間に来てくれ。今回の件の報酬を出す。それとこれは今渡しておこう」


 そう言うとブレドはモノクルを俺に渡してきた。


「これで西側に行って魔王の残滓を調べられるな。だが、闇人を探すのに今後もこれは必要じゃないのか?まだ使うなら俺はどこかの店で探すぞ」


「安心しろ。城に戻れば沢山ある」


「そうか、じゃあ、これはありがたく受け取っておくよ。それと明日の件は了解した」


「頼むぞ」


 そう言うとブレド達は城へと戻っていった。


 明日は城か。

 そういえば、ザンダーが明日マルー達を城へ連れて行くと言ってたな。

 もし、会えたらどこか飯が美味い店でも連れていってやるか。


 俺はそんなことを考えていたら、食堂でシャルルやマルーと食事をしてから何も食べていないことに気づいた。


 忙しい一日だったからな……。

 適当に何処かで食事でもするか。


 それから、適当な酒場に入り食事をとっているとナディアと他の商人達が入ってきた。


「あ、キリクさんじゃない。もう、仕事は終わったのね。じゃあ、一緒に食べましょうよ」


 ナディアはそう言うと商人達と一緒に俺の周りに座ってきて酒や食事を注文していく。

 その後、皆んなで乾杯し落ちついてきたところで商人の一人がエールを飲みながら喋りだした。


「ボナル伯爵とそのご家族が亡くなったらしいですね。それもこの町に潜り込んだギネルバ商会のタクロムが原因らしいとか」


「いえ、ボナル伯爵の死は闇人が絡んでるって情報よ。ねえ、キリクさん」


「……お前ら、情報が速いな」


「ふふ、私達はこういう情報も扱ってるのよ。この集まりもそれが目的ね。で、どうなの?」


「まあ、両方正解だな」


 俺はエールを飲みながら答えると、皆んな顔を見合わせた後、顔を寄せ合い話はじめる。


「そうすると、この町に闇人が入って来てるということか……。明日からうちの店の警備を増やした方が良いな」


「はあ、うちの店はボナル伯爵の屋敷から近いから、当分閉めた方が良いな。いや、隣りの小国にしばらく逃げるか……」


「ファレス商会は在庫を色々な国や町に持ってるから羨ましいよ」


「まあ、その分運ぶのが大変なんだけどね」


「しかし、闇人もそうだけどギネルバ商会のタクロムにも気をつけないとね。なんせ、あいつの情報が途切れちゃったからなあ」


「タクロムか……。なんかその人って本当に本人なのかな?僕が知ってる奴とはちょっと違う感じがするんだけどな」


「違う?どういう感じに違うんだ?」


 俺が突然、彼らの会話に割り込んだので皆んな一瞬驚いた顔をするが、俺はマリィに教えてもらったタクロムの話しをすると何人かは神妙な顔になる。


「確かにその話しの通りクズの悪人ではあるけど、闇人と関わるほどの度胸はないはずなんだけどな」


「ああ、人に対してはどこまでも強く出れるけど、魔物はからっきしっていうからな。そういえばあいつビッグラッドに遭遇しただけで失禁して気絶したって聞いたぞ」


 それから、皆んなの知っているタクロムの話しを聞いたのだが、俺が会ったタクロムとはずいぶんと印象が違っていた。


 話を聞くかぎり間違いなく俺が会ったのは別人と考えた方が良いな……。

 しかし、ここまで色々とありすぎると西側に行きずらくなるぞ……。


 俺はエールを一口飲んだ後、溜め息を吐くと、それを見たナディアがニヤニヤしながら肩を叩いてきた。


「キリクさん、元気なさそうだから私が元気付けてあげるわよ。アレでね」


 ナディアはそう言うと、派手な格好をした男の吟遊詩人を手招きして呼び寄せた。


 やはり、そう来るよな……。


 周りにの商人達も乗り気になっており、ナディアと一緒になって吟遊詩人にリクエストをする歌を相談しあっている。

 そして吟遊詩人を呼ぶ口実ができた俺はもう既に蚊帳の外になっていたので、俺はナディア達の会話を聞きながらホットエールをちびちび飲んでいた。


「たまにはオルトスの酒浸り生活にします?」


 ……ここにはそんなのがあるのか。

 まあ、想像しやすいが……。


「ブレド王の奥様は恐妻家はどうかな?」


 ……よく、このスノール王国でそんな歌を許したな。

 普通、そんなの歌ったら罪にならないか?


「私は見た!勇者アレスの○○はどうでしょう?」


 その○○は知りたいような知りたくもないような……。


 そんな感じでしばらくナディア達は何を歌ってもらうか悩んだ挙句、最終的には勇者アレスの英雄譚に決まったのだった。

 それから酒場は吟遊詩人の歌に合わせ、酒を片手に盛り上がる客で溢れかえった。


 相変わらずなんでこんなに盛り上がるんだ……。


 俺はそう思いながらちびちびホットエールを飲む。

 その後も、何曲か歌われたのだが全て勇者アレスの英雄譚だったので、少し気になっていた他の曲が聴けず、俺はちょっぴり残念に思うのだった。


◆ 次の話が気になるという方は


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