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073 スノール王国の黒熊と才女

「私は愚王だな……」


 がっくりと肩を落としながら呟くブレドの姿に、鍛治師の親方ドワーフは心底申し訳なさそうな顔して語りだした。


「紛失した武器の件さ報告したんら音沙汰ねえからお咎めなしと思ってたんが、そこまで思い悩んでおられていたなんて……。やはり、民の税で作ったもんだから一本でも大事なもんだということだべ……」


「……ん?報告?」


 ブレドはよくわからないという顔をするが、親方は涙ぐみながら再び喋りだす。


「更に紛失した剣を国王様自ら見つけてくるなんて!やはり貴方こそ民の上に立つ者、真のスノール国王だべ‼︎」


「えっ?」


 驚くブレドの目の前に鍛治師と弟子が涙を流しながら、頭を地面に打ち付けるように土下座をする。

 俺はブレドの肩を叩き真実の玉を見ると彼らは嘘を言ってる様子はなかった。

 その後、彼らに詳しく話を聞いたのだが鍛治師達は武器を作った後、しばらくして武器を紛失した事に気づき上に報告したのだが、その後、音沙汰がなかったそうだ。

 そこにブレドが来て直接怒られるのかと本人達は思って萎縮してしまったらしい。

 その後、彼らの話や発注書や納品書などを調べて照らし合わせた結果、ある人物の名が出てきた。


「報告した先はボナルか……。まさか、あいつが武器を流していたとは……」


「そいつは確か、お前の父親の側近の一人だったな。だが、ボナルは良識もあるまともな人物だったはずだが」


「ああ、だから私が国王になっても支えてもらっていたのだ。まさか奴が魔族と通じて……いや、操られてる可能性もあるんだな。よし、今の時間ならボナルは王都にある自分の屋敷に戻っている。至急兵士達を集めて向かうか」


「そいつらも操られてないか調べるぞ」


「もちろんだ」


 その後、俺達は精鋭を揃え、ボナルの屋敷の近くに行き、広い屋敷の周りを調べたのだが、なぜか屋敷を守る門兵が一人もいなかった。


「うーん、もう夜になるというのに門兵だけじゃなく見回りをする兵がいないのはおかしいな。やはりボナルはそうなのか……?」


 ブレドはボナルの屋敷を見て考えこんでいると、ブレドの側にいた重鎧を着た大男、スノール王国の黒熊と恐れられる、重騎士の加護を持つ騎士団長ベアードが溜め息を吐く。


「しかし、あのボナル殿とはな」


「まあ、そう言うな。ボナルも操られてる可能性があるんだ」


 ブレドはそう言うと後ろにいた青いフードを着た眼鏡の猫耳族の獣人、スノール王国の才女と呼ばれる魔導師の加護を持つ宰相フォウが眼鏡を弄りながら言ってくる。


「国王の言うとおりですねえ。しかし、刈っても刈っても悪い虫がこの国には現れますねえ。やはり、あの案で一掃したらどうでしょうかあ?」


「ああ、今回の件が終わったら徹底的にやるぞ」


「お、ついにやる気になりましたかあ」


「じゃあ、今からやるのは準備運動って感じだな!」


「まて、何度も言うようだが、ボナルや屋敷の連中は操られてるだけかもしれないからな!たく、そもそも何でお前達まで来るんだ。部下を貸してくれれば良かったのに」


「精鋭をくれって言ったから来たんだぞ」


「面白そうだから来たんですよお」


「くっ……。まあいい、部下は配置したな。なるべく周りに被害が出ないようにしたい」


「遮音と隠蔽の準備もしてますよお」


「安心しろ。屋敷から逃げようとしたやつは速攻でうちの部隊が潰すからよ。ところでそこの兄ちゃんも本当に来るのか?」


「キリクは今回の件を教えてくれた功労者だ。それに腕も立つから心配するな」


「へへ、キリク、楽しみにしてるぞ」


「あまり期待しないでくれ」


「国王が言ってるんだから期待しますよお」


「そうそう、しかもなんだか仲良さそうだしな」


「そうですよお、どういう関係ですかあ?」


「俺は国王様とは白銀の騎士を通しての知り合いっていうだけだ」


「あー、なるほど……。お前も合わせてやってるんだな。まあ、どうせ冒険者ギルドで仲良くなったくちだろ」


「はあ、白銀の騎士ですかあ。恥ずかしい台詞を近くで言われる身にもなってほしいですねえ」


「おい、白銀の騎士は立派なやつなんだぞ!私の友を馬鹿にするな!」


「「はいはい」」


 どうやらこの二人には完全にバレてるようで、適当な返事をしながらブレドを憐むような目で見ている。


「くっ、白銀の騎士、あいつの良さをわかるのは私だけだ……」


「国王よ、んなことはどうでもいいから中入ろうぜ」


「どうでもよくないが、よし、皆んな中にいるぞ。連中は殺すなよ。だが、完全に黒なら別だ。では行くぞ」


 ブレドの言葉と共に俺達は二手に別れ正面と裏手から入っていったのだが、屋敷の中には誰一人いなかった。


「誰もいませんねえ」


「けど、屋敷内に点いてる蝋燭なんかさっきつけたばかりって感じだぞ」


「まるで、屋敷の連中が全員、神隠しにあったみたいですねえ……。国王よ、どうしますかあ?」


「この状況は既におかしい。だから、どうにかしてボナル達を……そうだ、良いものがあった」


 ブレドは手をポンっと叩くと、懐から片眼鏡、モノクルを取りだした。


「これがあれば痕跡を辿れるかもしれないな」


 ブレドはそう言うとモノクルに魔力を込めて屋敷内を見回し、ある場所を見て声を上げた。

 ちなみにブレドが使用しているモノクルは魔のものや、その残滓を見る事ができる魔導具である。


「あった、闇人の持つ魔力残渣を見つけた。そこの書棚だ」


 ブレドの指差した書棚をフォウがすぐに調べはじめる。


「罠はなし……お、スイッチみたいなのがありましたよお。押しますねえ」


 フォウがスイッチを押すと書棚が横に動き出し、下に続く階段が現れたのだ。


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