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067 風変わりな魔王

「一応聞くが、マリィ、ルナ、お前達は敵ではないんだな?」


「ええ、私達はギネルバ商会関係者を追って来たのよ」


 マリィがそう言うと、ルナが冒険者ギルドが出した、ギネルバ商会関係者を捕縛しろという依頼書を見せながら言ってきた。


「そしたら、あの二人がいまして追いかけようとしたのですが、二人から闇の力を感じたので慌てて聖霊神イシュタリア教会に行って、セイクリッドボールを取っできたんですよ」


「なるほど」


「それで、キリクはあの二人をどうする気?」


「できれば捕まえて情報が知りたかったが、お前達の方が詳しいんだよな?」


「ただ、闇の力に関しては情報がないから捕まえて吐かせたいのよね。まあ、あの二人からは無理そうだけど……」


 マリィはそう言って、今だに焼け続けて転げ回る二人を呆れた顔で見つめる。

 するとルナが言ってきた。


「あの様子ですと、なりかけの状態ですね。それならケイからなら話を聞けるんじゃないですか?」


「ワーロイは元々、話ができる奴じゃないからな」


「まあ、とにかく二人を捕まえましょう。最悪はキリクが自白剤を持ってるんだし飲ませればいいわ。ついでに、パーティーにいた時に何考えていたのか聞き出してやるわ」


 マリィはそう言って、転げ回る二人を睨む。

 そんなマリィにどうせ苛々するだけだろうからやめておけと思いながらも、二人を捕まえようとすると、突然、空からあの道化師がワーロイ達の近くに落ちてきた。


 ドスンっ‼︎


「痛いでええぇす‼︎ってあまり痛くないですねぇ!おや、皆さん揃ってどうされましーーたか?」


「なんで道化師⁉︎」


 マリィが驚いて道化師を見ると、道化師は背筋を伸ばして丁寧なお辞儀をしてきた。


「はあーーいぃ!自己紹介しまあすねぇ。わたしスペードのクラウン、ピエールと申しますですう!よろしくーー‼︎そしてさようならあぁーー‼︎」


 そう言うやいなやピエールと名乗った道化師は痛みで転がり回っているワーロイとケイの襟首を掴むと、あっという間に空を飛び去ってしまった。


「な、なんだったの……」


「逃げられたのは確かだな……」


「全く、反応ができませんでした」


 俺達、三人が去っていった方向を見ていると後ろの方で武器を構える気配がした為、振り向くとシャルルがマリィとルナに刃先を向けていた。

 それを見たマリィとルナは何でというような表情をして俺を見てくる。


「……お前達はワーロイの件では味方だったが俺達の件に関してはどうなんだ?」


「あっ、そういう事ね。ネドに貼られてる手配書なら見たけど、あれを貼ったのも偽名を使ったギネルバ商会の幹部の一人、タクロムなのよ。だから、私達はその件でも敵ではないよ」


「だとさ、シャルル」


 俺がそう言うとシャルルは剣をしまいマリィ達に向かって頭を下げた。


「疑って悪かったわ。ごめんなさい」


「気にしないでよ。私だって同じ立場ならきっと疑っちゃうしね」


「そうですよ。それと手配書の方もすぐに撤回されるそうですから安心して下さいね」


 ルナがそう言って微笑むとシャルルはほっとした表情になって言った。


「良かったわ。これで冒険者から襲われる心配はなくなったわね」


「だが、ギネルバ商会のタクロムって奴にはこれからも狙われそうだな」


 シャルルはほっとした表情になったが、俺の発言にがっくりと肩を落としてしまうが、そんなシャルルにマリィが申し訳なさそうに声をかけた。


「……あのう、その事で質問が……。私とマリィは南側の出身なので魔族には抵抗がありません。それを踏まえて手配書のマルーさんという方が魔族と言うのは本当なんでしょうか?」


「一応、念の為に確認しておきたいだけなんだけど駄目かな?」


「そういえばルナとマリィは南側の出身だったな。シャルルにマルー、どうする?嫌なら答える必要はないぞ」


 俺がシャルルとマルーの方を見ると、シャルルが俺に疑問を投げかけてくる。


「二人が南側の出身だと言ったけど、南側出身は魔族に抵抗がないの?できれば抵抗がない理由を教えて欲しいのだけれど……」


「良いぞ。ただし南側にいる魔族はイレギュラーだから、ネイダール大陸の常識とはかなり違う事を頭に入れておいてくれ」


「わかったわ」


「南側にある巨大なダンジョンの最深部には、人と争う気がない風変わりなラビリンスっていう魔王がいるんだ。しかも、その迷宮の上に人が都市を作るのを許可してるんだが、そこに混じって人族と敵対しない魔族が店を経営してるんだよ」


「そんなところがあるなんて知らなかったわ」


「まあ、知らないのはしょうがないだろ。普通は商人や冒険者をやってないかぎり、せいぜい隣り町か自分の領内の情報しか知る事はないだろうからな」


「確かに住んでるのは小さい町だったから隣り町の情報ぐらいしかなかったわね……。あっ、そうなると、キリクがマルーに言ってた安全な場所って南側の事なのね」


「まあな。だが、できることならマルーの好きな場所にいるのが一番良いんだが……」


 俺はそう言いながらシャルルの後ろに半分隠れているマルーを見ると、ちょうど目が合い隠れてしまった。

 しかし、すぐに俺達の方に出てくるとマルーは深呼吸をした後にフードを下ろしたのだった。


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