066 揃う元疾風の剣
やれやれ。
どうするかな……。
俺が考え事をしていると、ワーロイ達は急に怒った表情になり俺を睨みつけてきた。
「おい、黙り込んでるって事は俺にびびっちまったのかあ。だけどなあ、今さら地面に頭擦り付けて謝ってもてめえは許さねえよ‼︎」
「そうよ!嘘吐きキリク、あんたに人生めちゃめちゃにされた分しっかり返させてもらうから覚悟しな!いくわよワーロイ‼︎」
「ああ!キリクゥーー!ぶっ殺してやる‼︎」
「キリク!痛ぶってやるわよ‼︎」
ワーロイとケイはそう叫ぶと二人の身体から突然、黒いもやの様なものが出てきた。
その瞬間、シャルルが俺に言ってくる。
「キリク!あの二人闇堕ちしかけてるわよ‼︎」
「わかってる。どうやらあいつら魔族に魂を売り渡したようだな」
俺は黒いもやの様なものを出す二人を見て目を細める。
闇堕ちか。
できれば活かしたまま捕まえて情報を聞き出したいが、まずは生かして捕まえられるか、戦って判断するか……。
そう思いながらも、剣を抜き放ち俺を睨みつけているワーロイを見ると、それも難しい気がした。
やれやれ、面倒だが自白剤を使って意識を奪う方向でいこう。
俺はそう考えた後、対魔族薬を取り出し剣に塗り付けるとワーロイ達に向かって走りだした。
「来い!キリクッ‼︎」
「行くぞ、ワーロイ」
俺はワーロイに向かっていき剣を振り下ろすと、ワーロイは真正面で受け止め、すぐに斬り返してきた。
俺はその攻撃を避け、もう一度に攻撃を仕掛けるがまたワーロイは俺の攻撃を防いでしまったのだ。
そんなワーロイに俺は内心驚いてしまった。
以前はシルバー級ぐらいの力しかなかったが、今はプラチナ級というところか……。
闇堕ちしかけてる状態でもここまで強くなるものなのか……。
俺はそんな事を考えながら戦っていると、ケイも動きだし俺に杖を向け魔法を唱えてきた。
「くたばれ加護無し‼︎第三神層領域より我に炎の力を与えたまえ……ファイア・アロー!」
ケイが唱え終わると杖から炎の矢が俺に向かって飛んでくる。
その炎の矢の大きさに俺はまた驚く。
なんせ、以前のケイが放つ炎の矢と比べると遥かに大きくなっていたからだ。
そんな炎の矢をなんとかかわすと、俺は投げナイフを取り出しケイに向かって投げる。
するとケイは横に飛んで避け、その後、倒れた状態で俺に向かって叫んできた。
「危ないじゃない!当たったらどうすんのよ‼︎」
「何言ってんだ。当てる為に投げたんだぞ」
「うるさいうるさい!嘘吐きの加護無し!ドレスが汚れたじゃないの!あんた絶対許さない‼︎」
「おい!クソ野郎!ケイになんてことすんだ!それに俺と戦ってるのに余所見してんじゃねえ!何様だ‼︎」
ワーロイはそう叫ぶと、怒気を含んだ表情で俺に斬りかかってくる。
しかし、既にワーロイの攻撃を見切ってしまっていた俺はそれを避け続けながら、どうやってワーロイ達を倒して情報を聞き出すか考えていた。
そして、考えが決まり戦いを終わらせようとしたその時、知った気配がこちらに近づいてくるのがわかり俺はワーロイから距離をとった。
この気配、なぜあいつらがスノール王国領にいるんだ?
俺は気配のする方を見ると元疾風の剣のメンバーだったマリィとルナがこっちに走ってくるのが見えた。
すると二人の姿に気づいたワーロイとケイは顔を見合わせ笑うと、二人に向かって手を振りだすが、それを見たシャルルは不安そうな表情で俺を見る。
「キリク、あの走ってくる二人組はあいつらの知り合い?そうすると敵なの?」
「わからない。元疾風の剣のメンバーだったんだが、マリィもルナも色々あって今はワーロイ達とは別に活動してるはずなんだが……」
「もしかしたら手配書を見て組んだ可能性があるかもしれないわよ。冒険者として私達を捕まえる為に……」
「そうなると厄介だな。ワーロイやケイと違ってあの二人は実力があるからな」
「そうなの?」
「ああ、実力があるだけじゃなく商人のマリィはトリッキーな攻撃をしてくるし、修道士のルナはサポート系の魔法が厄介だ」
「そうなると敵だった場合、私も出て戦った方が良いわね。マルー、あなたも戦う準備をしときなさい」
「えっ⁉︎ど、どうしたら?」
「当てようと考えなくて良いから適当に魔法をぶっ放しなさい。私がフォローするから」
「わ、わかったよ。ぼく頑張る!」
「とりあえず、ワーロイとケイも動きが止まったから俺達もマリィとルナが到着するまで様子を見よう。シャルル、二人の行動次第では頼むぞ」
「ええ、あの二人がキリクの邪魔をしないように頑張るわ」
そう言うとシャルルとマルーはマリィ達の方に武器を構えた為、俺は二人の背中を守るように立ち陣形をとり始めた。
だが、ワーロイとケイはそんな俺達に気づく様子もなく二人で上機嫌で会話を始めてしまう。
「おいおい、あいつらこんな遠いとこまで俺を追いかけてきやがって。もてる男は辛いな」
「はっ!どうせ居場所がなくなってこっちに逃げて来たら手配書を見つけて、その報酬に目が眩んだだけよ!」
「安心しろ、ケイ。俺はお前しか見てないぜ。まあ、あいつらがどうしてもって言うなら……あっ?」
ワーロイ達が喋ってる途中、銀色の丸いボールが飛んできて二人の足元に落ちるとシュッという音と共に中から銀色に光る粉が舞った。
「なんだこりゃ?」
「さあ?」
二人は疑問に思いつつ銀色に光る粉を触ったその時、異変が起きた。
「なんだ、皮膚が溶けてる?う、うわーー‼︎」
「ぎゃーー!何なのこれは!熱いぃぃーー‼︎」
ワーロイとケイの肌に銀色の粉が当たると火傷しだしたのだ。
俺はその銀色の丸いボールが飛んできた方向を見ると、こちらに走ってきながら笑ってるマリィがいた。
そして俺と目が会うと大声で声をかけてきた。
「キリクーー!私って良い腕してるでしょ‼︎」
「お見事です。マリィ。パチパチパチ!」
隣りで走るルナもニコニコしながら手を叩く。
それを見た俺達はマリィとルナが敵じゃないことを認識するのだった。
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