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065 闇の力を手にする元仲間達

 あれから、俺達はネドの町を出た後、追跡されない様に森の中を移動し、王都に向かっていた。


「ねえ、キリク、ちょっといい?」


「なんだ、マルー」


「キリクが攻撃した人達だけど……ぼくの魔法ではせいぜい怯む程度のはずなんだけど、なんでキリクが攻撃したらあんなに風になったの?」


「それは、精神系の攻撃は使い手によって強さが変わるからな。戦いに関して素人なマルーが使った場合は怯む程度かもしれないが、戦いなれてる俺に付与すればあれくらいは効果がでるんだ」


「そうなんだ。キリクって黒魔法にも詳しいんだね」


「ま、まあ、冒険者だからな。それよりお前達は冒険者ギルドに行ったらどうするんだ?」


「冒険者ギルドに私達の知り合いがいるから今後の事を相談とかしようと思ってるの。自分達の町に戻ろうにもまた死霊術師が来たら困るしね。それにマルーは私達の町に戻ったら、またなかなか外に出れなくなっちゃうからどうにかしてあげたいのよ」


「なるほど。それなら、俺の方でも、信用できる人物に相談してみよう。ただ、向こうで手配書が出ていなければいいんだが……」


「……そうよね」


「まあ、そうなってたら別の手段を考えればいいが……その前にやる事が増えそうだ」


 俺はそう言って先の方を見ると、シャルルが急いでマルーを引き寄せて剣を抜いて構えた。


「待ち伏せね……」


 シャルルがそう言うと同時に、茂みの中からゆっくりと武装した集団が現れた。


「そのようだな」


「……どうする?さっきみたいにマルーに武器付与をしてもらう?」


「いや、こいつらからは殺気を感じる。生きたまま捕まえる気はないようだ。それに……そいつらに隠れてる奴、出てこい!」


 俺がそう言って武装した集団の後ろを見ると、隠れてたそいつらはゆっくりと顔を見せてきた。

 その姿を見て俺は内心面倒臭い奴らが出てきたと思ってしまう。

 なんせ、因縁のある相手だったからだ。


「ワーロイとケイか……」


 俺は二人を見て呟くと、ワーロイとケイが俺を蔑んだ目で見てくる。


「よお、嘘つき野郎!魔族の仲間にまで堕ちるとはなあ。まあ、俺達はお前がそういうクズ野郎だって最初からわかってたけどなあ!」


「そうよ!嘘吐きキリク!あんたにはしっかり正義の鉄槌を喰らわしてやるわ!」


 二人はそう言った後、鼻息荒く睨みつけてくる為、俺は溜め息を吐く。

 すると隣りにいたシャルルが俺を心配そうに見てきた。


「なんか、凄い恨まれてるみたいだけどあの二人はなんなの?」


「もう解散してしまったが、俺が入っていた疾風の剣のメンバーだ。そして、解散の原因を作った連中でもある。しかし、また問題を起こしてるとはな……」


「もし、やりくいなら私が相手しようか?」


「いや、あいつらは俺がやる。シャルルはマルーを守りながら襲って来る奴の相手をしてくれ」


 俺はそう言って武器を抜くと、ワーロイは俺を指差しながら武装した集団に命令する。


「魔族以外は殺せ!ああ、できればあの加護無しのむかつく野郎は生きたまま捕らえろよ。止めは俺が刺したいからなあ」


「もう、ワーロイ!俺達でしょう‼︎」


「ああ、悪い悪い!」


「「ぎゃはははははっ!」」


 二人はそう言って馬鹿笑いをする。

 しかし、武装した集団は淡々と魔石を取り出し、各々の武器に当てると俺達の方に向かってきた。

 俺はそれを見て思わず舌打ちしたくなってしまう。


 全員魔導具持ちか……。

 後ろにいる奴は金に余裕があるということか。

 だが、頭はあまり良くないらしいな。

 なんせ、あの二人を雇ったんだからな……。


 俺はそう思いながら毒薬を塗った剣で、向かってくる相手を最小限の動きで傷を付けていき倒していく。

 すると何人かが逃げるようにシャルルの方に向かっていってしまう。

 そんな連中を追おうとしたら、シャルルがマルーを守りながらあっという間に倒してしまった。


「こいつら弱いね」


「ゴールド級ぐらいの強さがある相手を、こんなあっさり倒せるんだ。お前が強いのだろう」


 俺はそう言いながら襲ってきた連中を次々と倒していると、それを見ていたワーロイは地面の石を蹴りながら怒りだした。


「おいおい、三下を寄越すなんてあの野郎もっとマシな奴らを雇えよ!おかげで俺様、自ら出る羽目になっただろうが‼︎」


「ワーロイ、一応、私達も力は試す約束だったし良いじゃない。私達の超強い力を見せてやろうよ」


 ケイがニヤニヤそう言うとワーロイはすぐに機嫌がなおり、俺を蔑んだ目で見てきた。


「くくっ、そうだな。おい、加護無し!俺の力を見ちまったら、チビっちまうぜえ。はあ、全く俺みたいに顔も頭も良くて強いなんて神は本当に罪作りな事をするぜ。ははは!」


「それを言うならこんなに美しくて頭が回るだけじゃなく強い私もよ。ふふふ!」


 二人はこちらの様子を気にすることもなく笑い合う。

 そんな二人を俺は呆れて見ていると、最後の一人を倒したシャルルが同じく呆れた表情で俺に言ってきた。


「あいつら、やばいわね。なんか変なものでも飲んでんじゃない?」


「前はあそこまでおかしくなかったはずだと思う……。いや、言ってて自信がなくなってきたな」


 だが、実際にワーロイ達からは微かだが怪しい気配がしていた。


 この気配、闇の力か……。

 どうやらワーロイとケイはやばい連中と関わってるようだが、おそらくは魔族だろうな。

 だが、こいつらは直接魔族と取り引きできるほどの頭はないはずだ。

 つまり、後ろに誰かいるということだが、十中八九、金を出してる奴だろうな……。


 俺はそう思いながら二人を見てから溜め息を吐く。


 ふう、まともに会話ができない二人からは間違いなく情報は聞き出せないだろうな……。


 俺は今だに馬鹿笑いしてる二人を見ながらそう思うのだった。


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