061 闇人との戦い
なんなのこいつは……。
死霊術師の不気味さを何度も見てきたのに、目の前の道化師からは更に突き抜けたものを感じてしまった。
それに疑問も生まれた。
この道化師は何者なのかと……。
そして気づく。
死霊術師じゃない……。
この闇の力は……。
「……まさか、闇人」
私がそう呟くと、道化師は大袈裟に拍手しだした。
「おおおぉおおーーーーめでとうございまーーすうぅ。正解ですよ!凄い凄いすごーーい‼︎」
「……そう、死霊術師達じゃ役に立たないから、あなたみたいな危ない仲間が出てきたって事ね」
「はて?仲間?仲間ってなんでしょーーね?それ、食べれます?」
道化師はオーバーに首を傾げた後、目だけこちらに向けニタっと笑う。
「ひっ!」
マルーがどうやら道化師を見てしまい、震えながら私にしがみつく。
すると、それに気づいた道化師は慌てる様な動きをした後、泣くような仕草をしだした。
「酷いですねぇぇーー。わたしは皆んなを楽しませる道化師ですよーー!」
「嘘をつくな!」
私はつい苛々してしまい、怒鳴ると道化師は不気味な笑みを浮かべる。
「はい、嘘です!というこーーとでえぇ、さっさと回収させて頂きましょううう」
道化師はそう言ってどこらともなく複数のボールを出しジャグリングし始める。
そして、そのまま私達に向かってきた。
「マルー!離れて!」
「うん!」
私はマルーが十分距離を置いたことを確認すると、剣を抜き魔法詠唱する。
「第三神層領域より我に炎の力を与えたまえ……エンチャント・ファイア!」
詠唱が終わると持っていた剣から炎が出て周りを照らしだす。
私はその剣を道化師に向けると怖がるどころか大袈裟に喜びだした。
「わーおー!明るくなりましたねーー!暗くてボールを落としてしまわないか心配だったんでぇーーすよ。これで落としても探せますう!」
「くっ、一言が苛々するわ……。なら、あなたを燃やしてもっと明るくさせてあげるわよ!」
「怖い怖いこわーいぃ……のかな?」
道化師はジャグリングをしながら首を傾げたのだが、その際に目線を私から外したのを見逃さなかった。
私は一気に踏み込み道化師の間合いに入り、剣を振り下ろす。
確実にいけたとそう思っていたのだが、道化師はすでにそこにいなかった。
しかも、剣の軌道にはジャグリングしていたボールの一つが浮かんでおり、ボールを斬った瞬間、弾けて爆発したのだ。
ボンッ‼︎
その爆風に私は吹き飛ばされるが、ダメージが思ったよりも少なかったのですぐに体勢を立て直し道化師を探す。
すると少し離れたところに道化師が立っており、笑顔で私の足元を指差してきた。
その瞬間、嫌な予感がしてその場から飛び退くのと、足元にボールがいつの間にか全て置いてあり弾けて爆発してきた。
ボンッ‼︎ ボンッ‼︎ ボンッ‼︎ ボンッ‼︎
その爆風の威力は先程とは比較にならず、私はかなり吹き飛ばされ、地面に叩きつけられてしまう。
「がはっ‼︎」
地面に叩きつけられた瞬間、呼吸が一瞬できなくなったが、なんとか立ち上がると再び剣を構える。
そんな私を見た道化師は大袈裟に拍手しだした。
「いやああぁ、素晴らしい。よく耐えましたーーねぇ。わたしの力のなさの賜物ですよお。あれ?わたしに力がないのは困りますねえ。ああ、忘れてました。殺さない様に抑えてたんでしたあーーよ!でも、あなたは殺しても良かったんでしたねぇ」
「くっ……」
私はその言葉を聞いてゾクっとしたが、気力を振り絞り剣を構えていると、道化師は私の方にステップしながら向かってきた。
私がやらなきゃ……。
私は覚悟を決めて道化師に向かっていき斬りかかるが、道化師は飛び跳ねながら攻撃をかわし、私に隙が出来た瞬間、体当たりしてきた。
私はやられると思ったその瞬間、どこからか矢が飛んできてピエロの尻に刺さった。
「ぐぎゃあーー‼︎」
「だれ⁉︎」
突然、飛んできた矢に私は辺りを見回し、そして驚く。
それは月夜に照らされてこっちに向かってくる人物がキリクという冒険者だったからだ。
◇◇◇◇
やっと二人を見つけたと思っていたら、案の定何者かに襲われていた。
その為、急いで矢を射ると襲撃者に上手く当てることができた。
俺は驚いてこちらを見ているシャルルに声をかける。
「大丈夫か?」
「え、ええ。危なかったけど、あなたのおかげで助かったわ」
「あれは道化師だよな……。なぜあんなのに襲われてるんだ?」
「キリク、あいつは闇人よ」
シャルルに言われ、現在、尻に矢が刺さった状態のまま痛みで飛び跳ねてる道化師を見る。
「なるほど、闇人ならもう少し強い麻痺薬でも良かったか。なら、これも使うか」
俺は小さな硝子の試験管を取り出すと、道化師の足元に投げつける。
すると地面で硝子が割れてすぐに白く光る煙が上がっていき道化師を包んだ。
「ぎゃあああぁーー!苦しーーい‼︎」
道化師は苦しそうに喉をかきむしりながら地面を転げ回る。
「対魔族薬だ。闇人にもどうやら効くようだな」
俺は剣を抜き、道化師に向かって行こうとすると、道化師は慌てて赤い風船を出して浮かび上がった。
「ふ、不意打ちなんて卑怯でーーすよ!」
「悪かったな。次は正々堂々と戦ってやる。だが、今回は駄目だ」
俺はそう言うと弓を構えるが、それを見た道化師は慌ててボールを沢山出し、俺に向かって投げつけてきた。
「あれは攻撃が当たると爆発するから気をつけて!」
シャルルの言葉に俺はボールを避けてから、もう一度弓を構えたが、既に道化師の姿は月明かりの下にはいなくなっていたのだった。
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