055 過去編3 聖オルレリウス歴354X年九ノ月
「くそ、行かせない気か!」
「グギャア!」
ゴブリンは威嚇するように俺に棍棒を向けてくる為、俺は二人の元に行くことができずにいた。
……どうする?
こいつをなんとかして二人を助けたいが、俺にやれるのか?
くそ、こんなことなら稽古をさぼるんじゃなかった!
……だが、やるしかない!
俺は咳き込んで倒れているアレスと、蹲っていて泣いているアリシアを見て唇を噛み締め、足元に落ちていた木の棒を拾うと、ゴブリンに向かって構える。
「さあ、こい!」
「グギャグギャッ!」
ゴブリンが言葉を理解したかわからないが、俺に向かってくると、棍棒を力任せに振るってきた。
「うわあっ!」
俺は思わず、思い切り後ろに飛んで避けると、ゴブリンはすぐさままた俺に向かってくる。
その為、俺から攻撃するタイミングができず、その後はひたすらゴブリンの攻撃を避け続ける感じになってしまった。
だが、そのうち俺の体力が尽き始め、遂に足がもつれてしまい、そこをゴブリンの体当たり攻撃を喰らって吹き飛ばされてしまった。
しかし、ダメージが少なかった為、俺はすぐに立とうしたのだが、左足首に痛みを感じ膝をついてしまう。
どうやら、吹き飛ばされた時に左足首を挫いてしまったみたいだな……。
「ギギャギャッ!」
ゴブリンは勝ちを確信したのか、手を叩きながら踊りのようなものをした後、俺に向かってゆっくりと歩いてくる。
その時、アリシアが俺をかばうように抱きついてきた。
「駄目えぇーー!」
「アリシア、逃げるんだ!」
「やだやだやだ‼︎」
「お願いだ。門番がいるとこまで走るんだ」
「やだーー!キール兄様と一緒じゃないとやだーー‼︎」
「……アリシア」
俺はアリシアを抱きしめた後、ゴブリンを睨みつける。
しかしゴブリンは醜悪な笑みを浮かべ俺達の目の前に来ると棍棒を振り上げた。
だが、その時、俺はポケットから拾った木の実を掴めるだけ掴むと、思いっきりゴブリンに投げつけた。
「グギャッアアアーーー⁉︎」
木の実はゴブリンの顔や目に上手く当たり、ゴブリンは顔を押さえながら絶叫を上げた。
やった!
だけど、このままじゃ……。
その時、倒れていたはずのアレスがこっちに向かって走ってきた。
「うおおおおぉーーーー‼︎」
アレスは叫びながら木剣をゴブリンの頭に思い切っり叩きつけると、ゴキッという音とともにゴブリンは目を見開きながら鼻血を出して地面に倒れた。
「や、やったのかな……?」
「ああ。見事だったよ」
「……良かった。キールとアリシア第二王女は大丈夫?」
「俺は足を挫いたぐらいだけど、アリシアは大丈夫か?」
「うん……う、う、うわーん!キール兄様ー!怖かったよー!」
アリシアは俺の胸の中で泣きじゃくる為、頭を優しく撫でてやる。
「よしよし。怖かったよな」
「キール、ここは危ない。肩を貸すからとりあえず人がいるとこに移動しよう」
「あ、ああ、頼むよ」
それから俺達は門番のところまで行き事情を話してゴブリンの死体を見てもらうと、すぐに上の方に話がいき大規模な捜索部隊が作られた。
そして捜索部隊はオルフェリア王国領をくまなく探した結果、かなりの魔物が入り込んでいることがわかったのだった。
その為、現在は騎士団が魔物退治に駆り出されており、オルフェリア王国領は軽いパニック状態になっていた。
ちなみに俺は足の治療もあり部屋で読書をしながら休んでいたのだか、俺の隣で定期的にボヤキを入れる奴がいるせいで全く集中して本を読むことができなかった。
「はあ、僕も参加したかったな……」
「二十回だ……」
「えっ?」
「今日、同じ事を言った回数だ」
「二、三回しか言ってないはずなんだけとなあ。そんなことより、なんでゴブリンを倒した僕達を連れていってくれないんだろう」
「達じゃなくて僕だけだろう。それは、俺達がまだ八才で加護が現れてないからだろ」
「加護がなくったってゴブリンは倒せたよ!まあ、不意打ちみたいなものだったけど……」
「だがアレスは倒したんだ。あれは凄かったな」
「よしてくれよ。君と一緒に倒したようなものさ」
「ああ、俺の木の実魔法で目潰しを決めたからな」
「ははは!確かに凄い魔法だった!でも、キール、僕達だってやればできるのにさ……」
「まあ、焦るなよ。加護が現れる十才までに大人が驚くぐらい強くなれば誰も文句は言わなくなるさ」
「そうだね。剣士の加護を持つバロン第一王子も十才で外に行ってるしね!なんかやる気出てきたよ」
「それは良かった。そこでだが、アレスには俺の稽古相手になってほしい」
「えっ、キールもやる気出たの⁉︎」
「やる気というか、今回の件で自分の力のなさに反省したからな」
「頭を打っておかしくなってるかと思ったけど、まともな考えだったんだね」
「失敬な。怪我をしたのは足だけだ。まあ、とにかく足が治りしだい始めるからよろしくな」
「御意!」
アレスは真顔て敬礼をした後、ニヤリと俺に笑みを向けたので俺は拳を突き出すと、アレスも拳を突き出して当てあうのだった。
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