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004 逃げてきた冒険者

 あれからレクタルを出て、同じ領内にあるブランシュの町に向かって舗装された道を歩いていたのだが、錬金術に必要な素材が少なくなっていたのを思いだした。


 確か、道を外れた山の中に名前のない小さな村があったな。

 素材を採るにしても村長あたりに声を掛けた 方がいいか。


 俺はそう考え、山道を進み、丸太小屋が数軒あるだけの小さな村に到着すると、早速、村長に挨拶をしにいった。


「これは、旅の人がわざわざこんな小さな名もなき村にどんなご用で?」


「俺は冒険者をしているキリクという。すまないが、ここら辺で少し狩りと採取をしたいのだが」


「ええ、構いませんよ。今は狩りをする者はブランシュに出稼ぎに行っていますので。それに最近畑を荒らす大型のボアが出てまして、もし良ければそのボアを狩って頂けるとありがたいのですが……」


 ボアか。


 ボアは猪みたいな姿だが頭に角が生えてる魔物で、強さとしてはブロンズ級の冒険者から狙える相手である。

 ちなみにその皮や骨は装備品の素材になり、肉は食料に、血や心臓部にある魔石は錬金の材料にもなる。


「村に魔物避けはしてないのか?」


「残念ながらうちの様な小さな村ではそれを買うお金がないので……」


「なるほど、では、ボアの狩りは素材を摂らせてもらう代わりに引き受けよう」


「本当ですか⁉︎それは助かります!」


「じゃあ、早速始めさせてもらう」


「はい!」


 俺は早速、荒らされてしまった畑に向かうと、カブやイモが辺り一面に食い荒らされていた。


 なかなか酷い有り様だな……。


 俺はそれから畑の周りを調べ、ボアの足跡を辿りながら山の中を進んでいくと、すぐに茂みの中を移動している大型のボアを発見した。


 かなり大きいな。

 無難に麻痺薬を使うか。


 俺は弓を取り出すと、腰のベルトに付けてる麻痺薬が入った小型の銀の試験管の中に矢の先を突っ込んでから、ボアの首付近を狙って矢を放った。


「ブギィーーー‼︎」


 上手く急所に当たりボアが倒れたので近づいたのだが、案の定、大きな体には矢が通らなかったなからしくボアはまだ生きていた。


 やはり麻痺薬を塗って正解だったな。


 俺は痺れて動けなくなっているボアに、ナイフでしっかりとどめを刺すと、他の魔物の気配がいないことを確認してから、手早く解体し、血に肉に皮、そして心臓部にある魔石を分けてから収納鞄にしまっていく。


 さて、本命の素材採取を始めるか。


 俺はそれから薬草や錬金術に必要な素材を集めていく。

 そして、十分集まったところで村に戻ることにしたのだが、村に戻ると村長がほっとした様子で声を掛けてきた。


「キリクさん、大丈夫でしたか?」


「ああ、大型のボアを狩っておいたぞ」


 俺は収納鞄からボアの頭を出すと、村長は大喜びして俺に頭を下げてくる。


「本当に助かりました」


「周りにボアの気配もなかったし、しばらくは大丈夫だろ。ところで花壇を作れる場所はないか?」


「花壇ですか?」


「ああ、弱い魔物が避ける草花を採ってきたからそれを植えたいんだが」


「おお!そんなものがあるのですか?すぐに場所を案内します」


 村長はそれから、村人何人かを集めてきたので、皆んなで花壇を作り、魔物避けの草花を植えた。


「草花が採れる場所も教えて頂いて、本当にありがとうございました。もう、今日は遅いので空き家で休んでいってください」


「それは助かる」


「では、キリクさん、案内しますね」


 そういうと村長自ら一軒の使われていない、丸太小屋に案内してくれたのだが、中は掃除も行き届いており綺麗な状態だった。


「では、ゆっくりとお休み下さい」


 村長がそう言って去った後、早速、今回採った材料で回復薬や塗り薬を作りを始めたのだが、しばらく作業に勤しんでいると外が急に騒がしくなった。

 どうやら、村長と誰かが言い争いをはしているようだった。

 その為、俺は丸太小屋を出て声が聞こえる方に行くと、村の入り口に三人の冒険者がいて、そのうちの一人と村長が言い争っているのが見えた。

 しかし、その言い争いをしていた男が、俺に気づくと急に矛先を変えて俺を睨んできた。


「おい、こいつが何でここにいんだよ!」


 男の視線を追って俺に気づいた村長は頭を下げてくる。


「これはキリクさん、うるさくして申し訳ありません」


「いや、気にしてないが何か困った事態なら俺が対応するぞ?」


「いえ、彼らには帰って頂きますので」


「ふざけんな!こっちは命からがら逃げてきたんだぞ!」


「そんなのは関係はない」


「息子が助けてくれって言ってんだそ!」


「バン、お前はもう息子じゃない。自分がこの村で何をしたかわかっているだろう!」


「そんなの昔の事だろ!じゃあ、せめて今夜だけでも空いてる家に泊めてくれ」


「今は空きはない」


「くそ!そいつに空き家を貸してんだろ!お前出ていけよ!」


 バンは俺に詰め寄ろうとしたが、村長が間に立ち塞がる。


「この方は村を助けてくれた恩人だ。それに一度、泊めたらお前達は居座るだろ。やり口はわかっているんだぞ」


「くっ!」


 バンは村長じゃなく、何故か俺を睨んできて指差してきた。


「この加護無しが町で何て言われているか知ってるか!嘘吐きに役立たず野郎だぞ!」


「お前はなんて事を!大型のボアを退治してくれただけじゃなく、魔物避けの草花も持って来てくれたんだぞ!」


「はっ!それが本当かどうか疑わしいな!」


「確かに大型のボアの頭を確認したぞ!」


「それが町で買った可能性だってあるだろう!」


 バンの言葉に、騒ぎを聞きつけて集まってきた村人達はざわつき始めるが、村長は怒った顔でバンに詰めよっていく。


「バン!お前って奴は!だから、戻ってくるなと言ったんだ!さっさと帰れ‼︎」


「うるせえっ!こいつが出てけば良いんだ‼︎」


 バンはそう叫ぶと俺を睨みつけながら剣を抜いて切っ先を俺に向けてきた。


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